米中通商協議開始とイラン緊張の高まり

米国株式市場は続伸し、S&P総合500種が終値ベース で最高値を更新した。米中貿易戦争による米経済成長の腰折れを防ぐために、連邦準備理 事会(FRB)が来月にも利下げに踏み切るとの観測が押し上げ要因となった。

利下げの予測は確信へと変わり、注目は米中首脳会談へと移行した。

米アップルが追加関税を批判

米アップルは、トランプ米政権が計画する対中追加関税に反対する意向を示した。導入されれば、同社の米経済への貢献が低下し、世界市場における同社の競争力が損なわれると主張した。同社の見解が20日、政府のウェブサイトに掲載された。

トランプ政権は先月、中国への制裁関税の第4弾として、携帯電話など約3000億ドル分の製品に最大25%の関税を課す計画を表明。トランプ氏は習主席との会談が不調に終われば実施するとしている。

同社が政府に提出した文書には、アップルが米財務省に納める法人税額は米企業最大であることのほか、同社が昨年公表した今後5年間で米経済に3500億ドル超の直接的貢献を行う計画も記されている。

米中高官の通商協議開始

中国商務省は20日、中国と米国の高官が、それぞれの首脳の指示により通商協議を実施すると発表し、米国には対話に必要な環境作りを期待すると表明した。商務省の高峰報道官は定例会見で、米国が国内産業界の声に耳を傾け、関税を引き上げると脅したり貿易戦争を仕掛けたりすることを止めるよう望んでいると述べた。

中国側は、米国とは追加関税の全面撤廃など3つの問題で引き続き意見の隔たりがあると指摘。この3つの「原則問題」で妥協はできないとしている。米中は、輸入品の購入と「バランスの取れた」通商合意文書についても意見の隔たりがある。

ただ高報道官は、構造改革、実施メカニズム、知的財産権の保護、一段の市場開放といった問題で米国と合意できるかとの質問には、楽観的な見方を示した。

「両国には莫大な相互利益がある。対等な対話を通じて互いの懸念事項に配慮すれば、問題を適切に解決する方法が確実に見つかるだろう」と述べた。

イラン無人機撃墜

米国とイランの緊張が高まっている。

トランプ米大統領は20日、イランが米軍の無人偵察機を撃墜したことについて、イランは「極めて大きな過失を犯した」と述べた。

これを受け、トランプ大統領は「イランは極めて大きな過失を犯した!」とツイッターに投稿した。だた米国がどのように対応するかは現時点では不明。民主党ペロシ下院院内総務はこの日、米国にはイランと戦争を行う意図はないと述べている。
トランプ氏はその後、米国は報復のためにイランを攻撃するかとの記者団の質問に対し、米国が攻撃するかは「近く分かるだろう」と述べた。

これを受け、原油価格は5%上昇した。

総括

追加関税示唆などの牽制はあるものの、米中ともにポジティブな発言もある。

全世界は、この貿易戦争に対して経済的発展を阻害するという見解を示しており、最優先の解決事項である。

一方、株式市場は、軟調な経済指標または貿易戦争、英国EU離脱、地政学リスクがあるなかで、高い指標をみせている。

貿易戦争がポジティブに進展しても、米国の利下げとなっても株価はバブルと言える高値となる。

トランプ大統領は、大統領再選に向けてこれを演出しようとしているのか、というのは深読みでしょうか。

出典

ロイター 6/21 米国株式市場=S&P最高値で終了、来月にも利下げとの観測で

ロイター 6/21 米アップル、対中関税に反対表明 「世界市場で競争力低下」

ロイター 6/21 中国と米国、高官級通商協議を実施へ=中国商務省

ロイター 6/21 イランによる米無人偵察機撃墜、「極めて大きな過失」=米大統領

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