原油

【4/19】苦境に立たされる産油国 -原油による代理戦争

17日に開催された主要産油国による増産凍結会合はサウジアラビアがイランの参加拒否を許容しなかったため決裂となり、日経平均は大幅続落しました。

下げ幅は一時600円に迫り、そのインパクトの大きさをうかがえます。

この日は増産見送りに加え、熊本地震とG20での米国と日本の為替認識の相違を嫌気されたこともありますが、原油安が株安主導したことは間違いないでしょう。


■本当に苦しいのは産油国

イラクからナイジェリア、ベネズエラなそ、OPECの主要産油国は経済的苦境に陥っています。

現在の相場水準が続いた場合、これら3カ国の原油輸出収入は、価格が1バレル=115ドル前後だった2014年半ばに比べて合計で1日約4億6500万ドルが失われる計算になります。

サウジの増産凍結拒否が長引けば長引くほど、他のOPEC加盟国の経済が脅かされるのです。

現にクウェートでは石油労働者によるストライキが発生し、その影響で原油生産が60%超押し下げられています。


■6月に何かしらの動きがある

次回の主要産油国による会合は6月にあります。

制裁前の水準まで戻したいイランとそれを良しとしないサウジアラビア。

2国の強固な姿勢はなかな崩れないかと思いますが、クウェートのストなど、問題が表面化するとそうはいきません。

問題が深刻化する前に何かしらの手は打ってくると思います。


■原油は代理戦争

今の原油価格の動向は政治的対立が大きくかかわっています。

サウジアラビアとイランは国交を断絶するほど険悪です。

会合で対立するのも当然と言えば当然です。

ロシアも中東には威嚇的態度をとっていますが今回の会合で増産凍結を主導するなどその態度は和らいでいるように思います。

ロシアはロシアで米国との関係もあります。

原油価格が下落すれば米石油企業やシェールガス産業の業績に影響しますので、ロシアは米国の得とならないよう原油価格を調整しようとします。

更に中東はIS(イスラム国)も視野に入れています。

ISの資金源は原油です。

原油価格の下落はISの勢いを抑えることができるのです。

このような複雑な関係が絡み合って今の原油価格が成立しているのです。

原油は言わば代理戦争として利用されているのです。

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