米利下げ後退により方向性を見失った株価

米国株式市場は下落。ダウ平均株価は115 ドル安で取引を終えた。証券会社の投資判断引き下げを受け、アップルが値下がりした。 投資家は引き続き米連邦準備理事会(FRB)による7月利下げの可能性を探っている。 アップルは2.2%下落し、S&P500やナスダックを下押しした。

利下げ期待の後退、方向性が定まらない株価

前週末の雇用統計が予想以上に好調だったことを受け、市場では今月の大幅利下げに 対する期待が後退している。

チェース・インベストメント・カウンセル(バージニア州) のピーター・タズ社長は「雇用統計を踏まえ投資家は利下げ回数を巡って戸惑いを感じて いる」と指摘した。 CMEグループのFEDウオッチによると、金利先物が織り込む今月の利下げ確率は 0.25%利下げが92%、0.50%利下げが8%。1週間前はそれぞれ80%と20 %だった。

今週は10日と11日の両日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が半期に一 回の議会証言を行う。

10日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も発表され 、先行きの金融政策に関して何らかの手掛かりを得られるか注目される。
また今後始まる 企業の第2・四半期決算発表も目が離せない。

下支えとなった利下げ期待がなくなりつつあり、地政学リスクによる影響を受けやすくなってきた。

🇮🇷イラン、ウラン濃縮度拡大は選択肢

イランは8日、低濃縮ウランの上限超過に続く核合意の履行停止措置であるウラン濃縮度の引き上げについて、20%への拡大も「選択肢」との考えを示した。またさらなる措置として濃縮用の遠心分離機の数を増やすと警告した。同時にイランは核兵器を追及していないとも強調した。

🇩🇪ドイツ銀行の人員削減策発表

ドイツ銀行は7日、抜本的な事業再編の一環として投資銀行事業を大幅に縮小する計画を発表した。1万8000人の人員削減につながり、74億ユーロの費用を伴う。

経営破綻が噂されるなかでの、事業再編に移りだした。

🇯🇵日本、基調としては緩やかに拡大

日銀が8日に開いた夏の支店長会議では、5月以降の米中貿易摩擦の激化の具体的な影響は限定的にとどまっていることが確認された。内需の底堅さを示した6月短観を含め、日銀が描いている年後半にかけて景気が持ち直していくとの中心シナリオをサポートする内容といえそうだ。

午後に公表された地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域の景気判断が前回から据え置きとなった。全地域据え置きは2018年7月調査以来1年ぶり。前回4月調査では、海外経済の減速を受けて3地域が判断を引き下げ、1地域が引き上げていた。

支店長会議の開会で挨拶した黒田東彦総裁は、足元の景気について「基調としては緩やかに拡大している」と述べた。先行きについては「当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続ける」との見通しを示した。

総括

世界的な貿易戦争、英国EU離脱、といった世界的な課題はまだまだ裏を潜めている。

日本においても、消費税増税による経済悪化の懸念が大きい。

前述の日銀の見通しは、あくまで消費税8%の世界の話である。

世界的にも、金融緩和が盛んなこのタイミングでの消費税増税は足並み揃っていない。

もはや増税は止められないだろうが、次の経済施策がないと、日本は再び元気を取り戻せないだろう。

日経平均株価が、それを物語っているように思える。

出典

ロイター 7/9 ダウ115ドル安、アップルの下げ重し FRB議長証言に注目

ロイター 7/8 イラン、ウラン濃縮度20%は「選択肢」 遠心分離機増強も

ロイター 7/8 ドイツ銀の事業再編計画、アジア地域はほぼ全部門圧縮の見通し

ロイター 7/8 日銀支店長会議、全地域が景気判断維持 景気回復シナリオを支援

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