見出し画像

2020年5-6月の#わたしが帯を書いたなら

なぜ「勝手に本の帯を書く」だなんて、こんなに勝手なことをしているのか……については、年始の2020年1月の#わたしが帯を書いたなら の冒頭で、まったく説明になっていない説明を書いているので、読み飛ばしてもらっていいような気がします。

そんなわけで、先月は元気と時間が足りずに更新できなかったですが、2020年5月〜6月の2ヶ月で読んだ本の「自作の帯」をここにまとめることにします。
ここ2ヶ月は、ますます冊数は減っているのですが、2度繰り返して読んだ本があったり、受け取るものが多い本がいっぱいありました。

世界は夢組と叶え組でできている

著:桜林直子

画像1

これまで、桜林さんの文章を拝見したりしてきて、
わたしは自分自身のことを勝手に「夢組(やりたいことや、理想が明確に描けて、そこに向かっている人)」なのだと思い込んでいたのですが、
一冊読み終わったころ、「はて、わたしは本当に夢組なんだろうか」と思うようになりました。
振り返れば、「文章を書きたい!」「書きたくて書きたくてうずうずする…!」などと思ったことは、1度もないような…。
だけど、これしかないような気がして書き進めているような。
やりたいことがある人も、やりたいことがない人も。
お互い補完し合いながら、たくさん叶えて幸せになれたらいいよなあ。
そして、きっと少数かとは思いますが、
この本を、「自己啓発本としてはー」とネガティブに評価されているのを見かけて、すこし悲しくなりました。
自己啓発の方法として書かれているのでは無いんじゃないかな。
これまで一生懸命悩んだり考えたりされてきたことを、「こんな捉え方もあるので、楽になるなら、使ってみてね」とお裾分けしてもらってる、そういう気持ちも受け取れる、とってもあたたかい一冊だと思います。

流浪の月

著:凪良ゆう

画像2

圧倒されてしまって、布団の中ですこし読もうと思ったのに、気がついたら窓から陽が差していて、最後まで読み切ってしまいました。
ずっと、早くページをめくりたくて仕方なかった。
夢中になれる、いい小説でした。
2人にしかわからない真実があるし、反面、あまりにも2人は「上手い手立て」や「適切に伝えること」を知らなすぎるのですが、それは当事者ゆえ仕方ないことだとも思います。
主人公の不甲斐なさを責めてしまうこともあるかもしれないけれども、心の限界を体験したことのある人でないと、ちょっと共感しきれない部分があるかもしれません。(逃げるしか方法がないときってあると思う)
読み終わったあとはスポーツのあとのような気分で、ずいぶんぐっすりと眠れました。
本屋大賞おめでとうございます。

マーケティング22の法則: 売れるもマーケ当たるもマーケ

著:アル・ライズ 、ジャック・トラウト

画像3

おすすめされて読んだ本ですが、本当に読んで良かったです。(もっと早く読むべきでした)マーケティングにおける、不変で普遍の「基礎」「法則」が詰まっています。
難しいことは何も書いていなくて、驚くべきことに初版が1994年ですから、ただでさえ海外の馴染みのない事例たちは、半分ほどしかよくわかりません。
だけれど、大事なことや、いつも立ち返るべきところは同じなんだな、ということと、これをベースとして理解していないと次の議論はできない、ということが本当によくわかります。
新しい時代が来て、新しい生活様式になる。チャネルも増えるし、コミュニケーションの方法もその時々で変わるものです。
だけど、やっぱり「普遍」はきっとあるはずで。
「マーケティングとは知覚である」。大変おもしろかったです。

今日は誰にも愛されたかった

著:岡野大嗣、木下龍也、谷川俊太郎

画像4

収録されているのは、谷川俊太郎さんと岡野大嗣さん、木下龍也さんによる、詩と短歌の連詩36篇と、その解説のようなおしゃべりのような…お三方のやや緊張感のある、でもやさしい会話です。
「今日は誰にも愛されなかった」ではなくて、「今日は誰にも愛されたかった」。
語尾が違うだけでこんなにも変わる。
事実を語るより、願いを言葉にする方が、なんだかさみしさがより伝わるものなんだなあ。
このひっかかりが、心地いい違和感でとてもおもしろい。
あと、わたしは岡野さんの
「信号の赤とガストの赤は違うことをふたりで愛ながら歩く」
というのが、なんだかとても好きでした。
日常を捉える、視点や解像度の高さに驚きつつも、ただ心地よく味わうだけが本当はいいんだろうなあ、と思える、眠る前に読みたい一冊です。

2020年6月30日にまたここで会おう

著:講義− 瀧本 哲史・編集− 柿内芳文

画像5

6月の頭にようやく読みはじめてすぐ読み終え、また頭からすぐに読み直した、ちょっと特別な本でした。
紙から、なんでこんなに会場の熱気が伝わってくるんだろう。
瀧本さんは、エンジェル投資家で経営コンサルタント。恥ずかしながら、昨年急逝されてからわたしは瀧本さんの言葉にたくさん触れるようになって。これは東京大学・伊藤謝恩ホールで行われた「伝説」の講義が纏められている一冊ですが、瀧本さんが与えてくれるのは「答え」なんかじゃなくって、むしろ、そんなものは悪だと言う。
「自分で考えること」「自分で変えようという意思を持つこと」の重要性を説いてくれいて、若い世代が自分の頭で考え言葉と交渉力という武器を持って未来を変えてくことに本当に本当に期待してくれている。
この本は、読み終わってから始まる。

変わりたいと思ったし、変えたいと強く思わせてもらえました。
いま、付箋の箇所をパラパラと読み返していて、ここ数週間でちゃんと変わろうと動き出せてる自分にも嬉しくなります。
そして、何よりも、本当に読みやすい。
たくさんの人に読んでほしい、素晴らしい一冊です。

笑って生ききる

著:瀬戸内寂聴

画像6

『婦人公論』にこれまで掲載された、瀬戸内寂聴さんの、エッセイ・対談などをまとめた本書。
「今の、ゆかさんに合う本だと思って」とプレゼントされてとても嬉しかった1冊です。
中でも印象的だったのは、やはり小保方晴子さんとの対談。
当時のニュースにやはり色々と思うところがあったから、途中は涙しそうになりました。(そのとき、自分自身は入社2年目で女性のいない現場で最年少で管理職の立場になって、苦しんでいたような)
そして面白かったのは「腹が立ったら、部屋で辞書でも投げときゃいい」と。本当にそうだなあと思いました(笑)。
自分の機嫌の取り方、怒りのおさめ方を知っていないと、穏やかにはいられない。
寂聴さんのように自由に強くはなれないけれど、限られた人生の中で「嫌なこと」や「我慢」に割いている時間はないし、そんなものは手放してしまったほうがいい。
とても背中を抑えられるような、やさしく支えてもらえるような一冊でした。

コピーライターじゃなくても知っておきたい心をつかむ超言葉術

著:阿部広太郎

画像7

阿部広太郎さんの「心をつかむ超言葉術」。
「誰でも上手いキャッチコピーがすぐに書ける方法」だなんて、そんなインチキっぽい話ではなくて、とにかく正面から「相手を思って丁寧に考えて、熱心に伝える」ことの大切さを教えてくれる一冊でした。
まずは「定義」することの重要性。なんでも取り掛かりはそこである、と。
そして、自分にしか出せないものを想いを持って届ける。
コピーも企画も販売も。あらゆる仕事につながる内容になっています。
そして、本筋では無いですが「名付けの力」という章に、「僕たち一人ひとりには自分の名前がある。(中略)名前があることは、一人じゃないことの証しであり、僕たちの名前は人の想いを背負って存在する。」という説明があります。
どの記述にもさすがコピーライターらしい、「ぐっと引き込まれる」「ぎゅっと胸を掴まれる」言葉が散りばめられていて、改めて最高だと思いました。
「I LOVE YOU」を訳し方。
今のわたしなら、
「わたし電話って苦手なんやけど、
今晩、電話してもいい?」

かなあ。
愛は=他にない特別という定義です。
正面ド直球の一冊でした。

I love letter アイラブレター

著:あさのあつこ

画像8

なんとなく、気持ちがほぐれるような、ゆるくてあたたかい小説が読みたい気分で手に取ったけれど、次々と「殺意」ばかりと出会ってしまって、あらららという感じでしたが(笑)、ちょっと意外な展開や、なにより主人公の嫌味のなさ、主人公を雇う叔母の愛嬌が満点で、すんなりと気持ちよく読み切れました。
わたしは手で書く「手紙」がやっぱり好きで、メールじゃない、電話じゃない、手紙でしか出てこない言葉があるし、それが長い間、誰かの救いになったり、たとえば証になったり。
改めてそういう特別なものだと思えて、好きな物語でした。
あさのあつこさんらしい、とても読みやすくて、後味の悪くない小説でした。

2020年5-6月に読んで、特によかったものを、ざっと並べてみました。
本はいいなあ。帯を書いていなかったら、絶対こんなに覚えていなかったけれど。

最新の「自作帯」はこちらです。

この記事が参加している募集

読書感想文

エッセイ執筆の糧になるような、活動に使わせていただきます◎