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けなげな彼女

先日、職場の中学校で放課後、中2の女の子が人懐っこく話してきた。
ちょうど私も時間があったので、彼女の話を聞いた。
※個人情報に配慮した日記になっています。

 
「早く高校生になりたい。」

へぇ~、そうなん?

「うん、高校生になって高校生の恋がしたい。
高校生の恋愛の小説とか読んでるねん。」

ラノベの薄い本を指さす彼女。
ほぉ。わかるけど…。
高校生の恋愛が、そんな小説のように良いものだと思うなよ~

つか、それならとりあえず高校生になるべく勉強したら?
期末テストじゃない。

「えへへ~。」
 
可愛らしく笑って、身体を揺らすが彼女は席に着こうとはしない。
 
「オシャレができる学校に行きたいな。」
 
青春を夢見てるなぁ~
うちの次女が行った高校は規則が緩かったよ?

「え?先生の子ども?何才?えっ!?
いくつで結婚したんですか?え!?」

…若く見てくれてありがとうよ~
 
「20年以上も結婚が続いてるって…すごい!」

…えっ?そお??
ぁ~~ でも、最近、ご両親が離婚されている家庭がとても多いからなぁ…。
うかつに「両親が揃っているのが当たり前」みたいな我々の頃の昔の感覚で話すとダメなのよね。

「私、兄弟が多いねん。7人。」
 
え?7人??それは多いね。

聞けば、離婚した両親が双方、新しいパートナーとの子どもがいて、各々の連れ子も含めるとそれだけの数になるという。
住んでいるのは、父親と小学生の妹、それに3才の幼児との4人暮らしの様子。
妹たちは家事をなかなか手伝ってくれず、手がかかる。
父親は、「ああしろ。こうしろ。」と口で命令するだけで自分では動いてくれない、と彼女は愚痴った。

14才の中2の女の子の話というよりは、まるで主婦。
実際、彼女が母親代わりとなって家事一切を取り仕切っているのだ。

「学校が一番、楽しいねん。授業中は眠いけど。
みんなと話してる時が楽しい。月曜は死ぬほど眠いけど。」
 
確かになぁ…。
家事を全部やって姉妹の面倒まで見て、その上、勉強って…大変よ。。。

「ママは時々、お小遣いくれるねん。」

ああ、ママとも会ってるんだね。

「うん。」

嬉しそうに微笑む。親もきょうだいたちも大好きなのだ、彼女は。
 
「高校に入ったらバイトもしたいねんな。」

ん~、さらにスケジュールはきつくなるだろうけど、まぁ年々、姉妹たちも大きくなることだし、できるんじゃない?バイト。

「だって、高校に入る時って教科書代とかカバンとか…すごくお金がかかるでしょ?
妹が入る時にお金がいるから。」
 
えっ!?
てっきり遊ぶためのお小遣いが欲しくてバイトがしたいのかと思ったら…
そ…そっかぁ…
うーーーん、、それなら、あんたは勉強して高校卒業してしっかりとした就職をすべきだわ。
そうして、生計を独立させることが一番大事よ。

「…ん~。」

何か違うみたいな表情を浮かべているので
そうすれば、妹たちを助けることもできるしさ!
と付け加えると

「うん!」

と明るく返事をした。

まだ自分も高校に行っていないのに。
中2だっていうのに、今から妹が高校進学した時の資金を心配しているなんて…。

なんとも健気で可哀想に思えるけど、彼女の笑顔は明るい。
重そうな通学カバンを斜めに肩からさげているので
…あんた、えらいなぁ。その重い荷物を肩から降ろしたら、どう?
と勧めたが、へらっと笑って友達のところへ駆けて行った。

教科書に書いていることをたくさん暗記する勉強も、それはそれで大切だけど、
彼女はてんてこまいの毎日の中でたくさんのことを自ら学習し、成長している。

今のこのまっすぐな気持ち、ずっと持ち続けて大人になってほしいな。


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2016年11月の日記再掲

私のブログ 夢で逢えたら… に同じ記事があります

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