混乱

職場から、外出をするなと強く言われた。ちょっと会えないかも。

少し前までは、パートナーと毎週会っていた。コロナのせいで職場を強制的に変えられ、普段とことなる対応を求められた私は、心がボロボロだった。そんななかで、きっぱりとはっきりと告げられて、ものすごく悲しかった。わたしはひとりで、戦えと言われた気分だった。

いくら心はいっしょにいると言ってくれても、それは信じられない。きっと十数年前に、留学を機に心が離れていった恋人を、パートナーに投影しているのだ。彼は私ではなく、家族を頼り、友人を頼った。私の存在感が薄まったような気がしていた。最後のクリスマスプレゼントには、有名なコーヒーが届いた。手紙が入ってなくて悲しかった。私は、希薄になった自分の存在に耐えられなくて、彼にただ怒りをぶつけた。就活の直前に、彼からの連絡が途絶えた。ただただ、怒りを目前の将来の原動力にして、彼を悪者にした。帰国した彼を、思い出の土地で振った。

自分勝手な私は、しばらく彼を恨んだ。私の卒業式にはお菓子をくれたし、誕生日にはメッセージをくれた。うれしかったけれど、適当にあしらった。

それから幾らか恋をして、彼にわかるようにサインを出した。優越に浸りたかっただけだ。幾つもの恋は、儚く終わった。

彼が新たな恋人を見つけたのをきいた。学内でみかけたことのある、美しくて聡明なひとだった。自分勝手な私に恋人ができないのは当然の報いだと思った。

彼はしばらくして、そのひとと結婚したらしいと噂できいた。怒りは消えて、おめでとうと心のなかで思えるくらいにはなっていたけれど、心がザラついた。

その恋人との別れをきっかけに、私は誰かのいちばんになる資格などないと強く思うようになっていた。いまのパートナーとは離れたくないけれど、魅力もなければ生きてる価値もない女から、いつでも去っていくなら仕方ないと思っている。私には、パートナーほどの生きてる価値がないからだ。パートナーは私のどこかに価値を見いだしているけれど、まやかしを見ていて、いつか化けの皮が剥がれるんじゃないかな、と割と本気で思っている。

だから、物理的な距離が出来てしまったことに、ひどく不安を覚えている。ダメなところばかりが露呈するのだ。肌の温さも、優しい言葉もかけられない。
言葉の汚い、自信もない、努力もできない、価値のない、不安だらけの女が、付き合えただけで奇跡だ。次に付き合えるはずもない。外見は老け、中身は10代から成長していない。経験も努力もしているのに、みあう効果が出ていない。そんな女は生きている価値がないと、心底思う。

変わるPDCAを回す前に、少しぐずつきたくて、一時間前にここまで書いた。

明日からも嘘の元気で、やっていく。

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