ハードウェア未経験者が立ち上げ!?メルカリポストの開発苦労話と今後の狙い
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ハードウェア未経験者が立ち上げ!?メルカリポストの開発苦労話と今後の狙い

メルロジ編集部

みなさん、こんにちは。
メルロジ編集部の@aki.nakanishiと@hikari.ishida(pikari)です!

今回はメルロジの事業の要である「メルカリポスト」がどのように誕生し、これからどのような進化を目指していくのかをご紹介できればと思います。

前半はプロダクトマネージャー(PM)の@aki.nakanishiから構想〜PoCについて、後半は事業開発(BizDev)の@hikari.ishida(pikari)から量産準備〜今後の方向性、現状のつらみや工夫なども包み隠さずお届けできればと思います!

まずは自己紹介!!

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中西 章裕 / Akihiro Nakanishi @aki.nakanishi
株式会社メルロジ Head of Products
学生時代に休学し、株式会社パンカクにてサーバーサイドエンジニアとして参画。卒業後NTTデータで営業職を経験した後、株式会社パンカクのディレクター、株式会社エモーシブのエンジニアとして参画。同社を売却後、2018年9月株式会社メルカリに入社。新規事業チームを経てロジスティクス領域を担当。

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石田陽光 / Hikari Ishida @hikari.ishida(pikari)
株式会社メルロジ FM/LM Ops Design&Planning Business Development
東海大学体育学部卒業後、2013年に野村不動産パートナーズ株式会社へ入社、プラウドシリーズを中心とした分譲マンションの管理業務に従事。2016年2月に株式会社ディー・エヌ・エーへ入社、ECモールの加盟店開拓営業・マネジメントを担当、2017年1月にショッピングモール「Wowma!」の立ち上げ、営業組織構築・ベンダーアライアンスに従事。2018年7月に株式会社メルカリへBizDev(事業開発)として参画。メルカリチャンネルのグロース、自動車カテゴリーのサービス開発、メルカリ便を中心としたロジスティクス領域を担当し、現在はメルカリポストのプロジェクト担当として戦略策定・加盟店開拓・オペレーション構築を推進。

メルカリポストの構想開始!

メルカリポスト誕生のきっかけはnote編集長でもある@yu.ishikawaの「自社でコントロールできる発送拠点を作りたい!」といった無茶振りから議論がはじまりました。
そこでメルカリポスト(当時は無人投函ボックスと呼んでいた)は以下3つを狙い日本中へ設置することで、当時抱えていた課題の解決やメルカリグループの戦略にも沿える方向で構想の大枠がまとまりました。

・より便利な場所で非対面発送を実現することによりお客さまの体験を向上
・オフラインのタッチポイントを設けることによる認知拡大
・今後深刻化が予想されていた店頭でのオペレーション負荷の低減

スタートから困惑したプロジェクト進行

まず、私のIoT製品やハードウェア開発の経験ですが、ラズベリーパイがブームになった時に遊びで一度おもちゃを作ったことがある程度で業務での経験はありませんでした。闇雲に進めてもデスマーチが目に見えていたので、始めにハードウェア特有の開発の進め方をWeb記事、本、友人へのヒアリングなどを通じて先人の知恵を集めてまわることからはじめています。

とはいえ、のんびりしすぎるわけにもいかなかったので走りながら学ぶスタンスでハードウェアを開発していただけるベンダー探しも開始しました。もし時間を戻せたら、この道のスペシャリストに初期フェーズからチームに入ってもらう動きを真っ先にやるべきだったなと今でも反省しています。

サンプル機のためのバックエンド開発

まずはサンプル機の開発を進めることから始めましたが、検証ポイントを洗い出す中でバックエンド開発を避けて通ることができないこともみえてきました。バックエンドは自社で開発・運用するのがあるべき姿だと考えていましたが、サンプル機の開発フェーズでエンジニアのリソースを確保することが当時の状況では難しいという事情があり、スタートからプロジェクト進行につまずいていました。

なんとかプロジェクトを前進させたく、サンプル機の運用テストが完了したらバックエンドを0から作り直す前提で、超シンプルな仕様で外部委託で進めるとともに、部分的にGAS(Google Apps Script)でバックエンドの機能を補完するなどの対応も行い、最低限の予算でツギハギだらけのバックエンドを構築しました。

仕様に関しても「社内の規定では許容できないレベルだ」などセキュリティ観点でのフィードバックを受けながらも、実証実験後に速やかに改善すること、改善が終わるまで次のフェーズに進まないことを条件に許可を得て進めました。

最も時間をかけたユーザビリティテスト

また、最も時間を割いたのがハードウェアのユーザビリティテストです。ダンボールで何度もハードウェアのプロトタイプを作り、多くのテスターから情報を収集してハードウェアを設計しました。

様々な身長の方に快適に使ってもらえるよう、中腰になったり台に乗ったりしながら自分でも何度もテストを繰り返しました。ですが、実際にテスターに使ってもらうと「手ぶらなら使えるけどショルダーバッグをかけてると手を伸ばしたりできないから超使いづらい!」みたいな厳しい声などもユーザビリティテストを通して把握できたポイントです。
そもそも、投函口が高すぎると「投函時の落下音に不安を感じる」みたいな声も多かったのですが、できるだけたくさん投函できるようにしたいというビジネス要件とのすり合わせに苦労したのは良い思い出です。

ちなみに、このユーザビリティテストは下記の3人体制で進めていました。テスト開始時はリソースを使いすぎかなという懸念もありましたが、スマホの画面をみてもらうだけでなく目線の動きや身体全体の動きなども把握したかったのでハードウェアのユーザビリティテストをするには最低限必要な人数だったなと思っています。

1. テスト進行&ビデオ撮影担当
2. リアルタイムで転送されるビデオを見ながらメモ取り担当
3. ダンボールの中に入り読み取り音の発声、伝票出力などシステムの代替担当

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当時のダンボールで作ったハードウェア。あの頃を思い出す二人…(笑)

サンプル機を設置完了!

構想開始から約8ヶ月を要し、2020年3月から千葉県のスーパーにてサンプル機での実証実験を開始しました。

正直もう3ヶ月くらいは早めたかったし、早められたと思っているので非常に振り返りがいのあるプロダクト開発でした。そして、そんな感傷に浸りながらも早速サンプル機での実証実験の結果の整理と量産に向けて致命的な課題の対応に着手します。

このあたりで書き手を@hikari.ishida(pikari)にバトンタッチして、苦労話をお伝えできればと思います!

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サンプル機を設置した際にパシャリ、デザイナー陣も現場へ!(2020年3月当時)

実証実験スタート後の落とし穴

実証実験での主な検証ポイントとしては以下を想定していました。

お客さまの体験観点 :お客さまに利用、満足いただけるか
デバイスの品質観点 :不具合(エラー)率が当初の見込み通りか
設置企業の負荷観点 :店頭オペレーションおよび負荷がどれくらいかかるか

細かい数字は割愛いたしますが、まずは利用いただけていたことで方向性としては間違っていなかったことがわかり、一安心でした。
一方で、モノづくりおよびオフラインならではのオペレーション構築の難しさに直面しました。

ある程度の範囲は想定していましたが、当初よりも不具合が起きる起きる・・・
当時は設置企業の皆さまやご利用されるお客さまに対して、問い合わせ先を用意していなかったんですよね。となると、どうなるか...(ここからはお察しのとおりですが)

小売業に携わる全ての皆さまは目の前のお客さまに向き合っています。
つまり、目の前で解決することが求められる世界です。
PoCとはいえど、見込みが甘かったことについて大猛省。。。

モノづくりはもちろんのことながら、改めてオペレーションたるものを真剣に見つめ直すことになりました。この時の経験が今に活きています。

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想定外の不具合代表、紙詰まりの様子・・・

改善着手

大猛省からまもなく、この状況を踏まえ「オペレーション」と「モノづくり」の2点に焦点を絞り、改善に着手しはじめました。
(その他にも「不要な機能を捨てる」ことも実施したり…。実は当初のモデルではディスプレイが搭載されていましたが、社内で実施したユーザービリティテストにより、大半のお客さまがスマホをみていて「ディスプレイに一切目を向けない」結果が出たことから、断腸の思いで要件から外した、なんてこともありました。)

【コールセンターの立ち上げ着手!】
その場で問題を解決することに最も適したソリューションは「電話」です。
ただし、メルカリは、従来よりお客さまの問い合わせは一貫して「アプリ内での対応・返信」にこだわってきました。

一方、オフラインの世界でサービスを提供するに辺り、求められるのは「リアルタイムで対応する速さ」と「認識齟齬のないコミュニケーションの精度」でした。従来のメールベースのやり取りになるとこの2点がどうしても解消されず、メルカリポストを設置いただいた店舗スタッフの方々に負荷をかけてしまうことから、「このままでは拡大できない」という危機感を感じました。

そこで、まずは試験的に外部事業者と連携し、コールセンター部隊を立ち上げることに着手しました。
立ち上げ当初は課題はありつつも、時間とともにサービスレベルも安定し、この課題を解決するための糸口を掴むことができました。

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コールセンター設立以後毎月実施している定例会での資料。何事も品質が大事

【モノづくり】
伝票の紙詰まりをはじめ、まずはエラー率を下げる営みを優先的に行うべく、連日メーカーとも協議を繰り返しました。この協議を行うにあたり、「どのような不具合が起きているのか」「問題は何か」を正しく把握すべく、とにかく現場に行きお詫びと事実確認を繰り返しました。
そこで気づいたことは、世の中にあるあらゆるモノは一定量のエラー率が存在する≒0にはならないということです。

これは「エラーは起きても仕方ない」ということではなく、「エラーが起きた状態を可視化すること」と「対応方法を標準化すること」も重要であるということです。

このことに気づいてから、エラー率を改善するためのハードウェア改修と並行して以下について取り組みました。

音声出力機能の実装
LEDライトの実装
社内チャットツールでの不具合発生自動通知

これにより、利用するお客さまにも設置先の店頭スタッフの皆さまにも、あるいは社内にも、エラーが起きていることを可視化させることができました。

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プリンターについてもミリ単位で部品を調整

【オペレーションとモノづくりのかけ合わせ】
さらに、上述のコールセンター機能と組み合わせて復旧の案内まで行うことで、最短かつ正確に問題解決が可能な体制を構築する下地ができました。
ある意味「テクノロジーとアナログの組み合わせ」であり、まだまだ磨き込む必要はあったものの、量産展開への手応えを掴むことができました。

量産に向けて

実証実験中に様々な改善に着手しながらも、同時並行で量産に向けた仕込みも行ってきました。主な点でいうと以下です。

◾実証実験先の拡大および設置事業者の選定・交渉
コンビニ、スーパー、ドラッグストアを始めとした小売事業者や、人流が比較的多いであろう店舗を保持している事業者と協議を開始。去る2020年2月にNTTドコモと1,000拠点の展開に合意。2021年11月時点では約1,000拠点まで展開済。
◾S/W機能追加時の仕組み検討
FOTA(=Firmware Over-The-Air)を実装することに。音声出力や実装したLEDライトの発光出し分けをするにあたり、当時は現地に行ってアナログにシステムを更新していたが、量産展開後に非現実的であることを痛感・・・
◾複数メーカーによる製造能力担保
当時は1社と協業することによる価値に魅力を感じていましたが、BCP(=Business Continuity Plan)観点で複数メーカーで製造できる仕組みを構築することを検討。ちょうどこの頃から、パンデミックによる世界的な半導体不足による部品の欠品リスクが顕在化されました。当社としても「製造したくても製造できない」ことがビジネス上の最大のリスクと認識していました。
◾セキュリティ強化
実証実験の段階でSecurity teamとも大枠のリスクについて目線合わせが出来ていたお陰で、やることは明確でした。中でもハードウェアの小さな隙間から糸を通していたずらをする「フロスアタック」を指摘された際はSecurity Teamの泥臭さとプロフェッショナルな部分を垣間見ることができました。
また、当たり前の話ですが、ソフトウエアの環境は「よりセキュアなものに」する営みを粛々と行いました。

未来のメルカリポストを考える

将来的に、メルカリポストは利用されるお客さまにとって、さらには設置事業者にとっての「インフラ」になっていくことを目指しています。
UI/UX観点では、より「かんたん」で「あんしん」を追求しつつ、使えるシーンを増やしていこうと思っています。これでもか!くらい考え抜き、我々ふたりでホワイトボードで言語化・視覚化しています。
言えないこともありますが、ちょっぴりだけ想いの丈を綴ります。

1) 伝票レス
伝票がなくても「あんしん」して荷物が送れる・受け取れる世界を創りたい!言うは易しですが、近い未来に形にしていきます。
2) メルカリ以外の荷物も発送できるように
メルカリの荷物でなくても使えるようになったらお客さまはもっと嬉しいですよね。きっと形にします。
3) 利用できるサイズの拡充
現状ネコポス・宅急便コンパクトのみの対応ですが、宅配便サイズ(=3辺合計が60cm以上)も送れるような仕様にしたい!これを実現するためには投函型だけではなくロッカー型を考えたり、組み合わせたハイブリッド型を考えたり、、、ああ、ワクワクが止まりません。
4) 屋外にも設置できる仕様
現状は屋内対応のみですが、すべての事業者が屋内にスペースを持っているとは限りません。今後8,000拠点への展開も鑑み、屋外対応のモデルも検討していきます。
5) (当たり前ですが)設置場所の拡大
「あなたの街にもメルカリポストが」と言えるよう、発送をもっと身近にしていきたい!様々な事業者とお話させていただいておりますが、これまで以上のスピードで進めていきます。

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未来の話になると、ついつい夢中になってホワイトボードを書きなぐる二人!(笑)

最後に

今回のnoteはいかがでしたか?
世間一般から見るPMやBizDevといった職種からは想像できない、とにかく泥臭く「コトに向かう」べく奮闘している僕たちの奮闘記が、少しでも伝わっていたら嬉しいです!(笑)
ここまで長文を読んでくださった皆さま、ありがとうございました。

最後になりますが、物流未経験者の方であっても、メルロジの掲げるミッションに一緒に挑戦したいと思ってくださる方のご応募を引き続きお待ちしております!

https://about.merlogi.com/#careers_ja

それではまた次回のメルロジnoteでお会いしましょう!

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メルロジ編集部
みなさん、こんにちは!メルロジ編集部です。メルロジは「多様な価値をつなぎ、やさしい生活を創る」というミッションのもと、データとテクノロジーの力で、物流に関わるすべての人と社会にやさしい物流サービスを提供するために、設立された株式会社メルカリのグループ会社です。