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なぜサプリメントから始めるのか

D2Cと呼ばれるビジネスモデルでの起業、新規事業立ち上げ、資金調達というニュースを目にする機会が増えたように思う。
D2Cの定義は自分もよく分かっていないところがあるが、「メーカー直販(オンライン完結)」という理解でいる。皆が知っているところだとAnker、siroca、LE CREUSET、ユニクロ、楽天市場に出店するたくさんの中小メーカーもあるし、以前からも身近にあったビジネスモデルなんだと思う。

そんな中で、昨今のD2Cは起業家/発案者の原体験や強い発信力を基にした、ストーリー型のプロダクトが多いように感じる。実際に自分も共感して購入したプロダクトもいくつかある。

一方で、素晴らしいメッセージに共感して蓋を開けてみると、そのプロダクトがサプリメントでがっかりした経験も何度かあるので、そのときに感じる疑問を吐き出したい。

サプリメントは安易なアプローチではないか

自分の疑問は「立派な、強い共感を生むような原体験/メッセージがありながら、そのアウトプットがサプリメント販売というのは安易ではないか?」ということだ。

サプリメントはOEMで調達しやすい商材だし、倉庫/物流コストも低いので比較的参入しやすいマーケットであることを知っている。マーケ施策も、初回無料〜1,000円(税込/送料込)で販売、ステップメール/DM施策、定期購入の促進、チャーンレート改善と、雛形があるのも参入しやすい理由なのかもしれない。

ただし、問題提起や共感は結構なのだが、サプリメントに至るまでの文脈がなければ、(実際はそうでないにしても)ストーリーは強いメッセージ性×インフルエンスで得る初動の認知獲得のために後付されたようにしか見えない。

戦術としては間違いではないので否定こそはしないが、原体験メッセージとサプリメントの繋りが弱く、中途半端に感じて冷めてしまう。

なぜサプリメントなのか

共感を生む原体験がありながら、なぜサプリメントに辿り着いたのか、その本音が最も知りたいところである。

サプリメントがその原体験にどう作用したのか、それも含めて原体験ではないか?

問題提起をするためにプロダクトを製作する必要があり、サプリメントが手っ取り早かったのであれば、それをビジネスにする意義はどれだけあるのだろうか?

サプリメントはほんの手始めであり、今後第2の矢、第3の矢を用意しているのであれば、初めから第3の矢のプロトタイプから市場で動かして行けばよかったのではないのか?

ソーシャルグッドな強いメッセージ性と体裁の整ったプレスリリースで注目を集めるだけ集めておきながら、サプリメントの新規購入→定期購入というビジネスに終始するだけならば、情報商材と何も変わらないではないか、とさえ思う。

例えば

「男性不妊で悩んでいるときに、栄養素のバランスをいくつか試しながら精子の質の改善に取り組んだ。その結果、亜鉛をXg、ビタミンDをYg、ビタミンCをZgの割合で栄養バランスにとれた食事を続けた時が最も精子の質が改善されたようだった。だから、その体験をもとに専門家と研究機関の協力のもと、自分メソッドのサプリメントを開発しました。」

のストーリーであれば問題提起から開発に至る過程を経てサプリメントにたどり着いたことが分かるのだが、

「自分に悩み/課題があり、みんなも経験していると思う。調べてみたら亜鉛不足が問題らしいので、亜鉛たっぷりのサプリメントを〇〇というブランドで誕生させました。」

くらいの内容だとサプリメント開発に至る動機がよく分からず、なぜサプリメント?と訝しんでしまう。

生活改善と通院ではだめなのか?

これは自分の体験談でしかないが、健康に関する問題は食生活の改善と通院でほとんどが解消されると思っている。

アトピー、謎の蕁麻疹、肺気胸/嚢胞、鬱、金属アレルギー、潰瘍性大腸炎、男性不妊と経験しているが、通院で原因と対処法を学び、食生活や生活リズムを変えるだけで、日常生活に支障が出ないほどに改善している。

少なくともサプリメントよりは低コストで効果を得られると確信しているし、これに同意してくれる人も多いことだろうと思う。

インフルエンサーを巻き込んだり、プレスリリースを打って問題提起や共感を生むことは応援に値するし、サプリメントを販売することもビジネスモデルとして面白いと思っているが、それはそれぞれを個別の事象で見たときである。

一連のストーリー、文脈で繋ぐのであれば、その繋ぎ方に説得力をもたせて欲しいと思うのである。

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