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【詩】リヴィングヴァルドの処方箋

リヴィングヴァルドは薬屋だった
ただの水を魔法の水だと売りつけ
人に塩を舐めさせて病気が治ると謳った
そんな彼のお気に入りがドーナツだった

予定が狂った日には、砂糖のかかったドーナツ
それが一番いい
列車は遅れるし雨も降る
ドーナツの真ん中には穴が空いている
そういう時間だ
リヴィングヴァルドの処方箋

甘いものなんかじゃ幸せになれない
と君は思うけれど
腹が減っているなら何か
喰わなきゃいけない
そんなときに寂しい食事はしたくないから
こんがり焼けたドーナツに
砂糖をまぶして
これ以上、不幸にならないための食事ってのが
世の中にはあるものさ
さあ深呼吸して
本物の偽物の薬屋だった、
リヴィングヴァルドの処方箋

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。