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オンライン講義!対面のエネルギーがいいね

先日、オンライン講義で実務的な話をしてきた。
数年来、栄養士・管理栄養士養成校で、実務実習について講義のご縁を頂いている。
私は、元々病院の管理栄養士として現場サイドで仕事をしていた。したがって講義内容は、現場目線でその実際を具体的に説明する、ということでお引き受けしている。

毎年、学生さんには、この仕事に夢を持ってもらえるように説明しようか、又はリアルに現実を伝えようかと悩みながら、決まって包み隠さず現実を話すようにしている。

人前で話すのは大の苦手だが、学生さんの活き活きした瞳や活力ある質問を受けて、私もエネルギーをもらって熱くなる。

しかし、昨年からオンライン講義となり、学生さんの様子が見えにくくなくなった。
話す側である私はたぶん一方的になり、聞き手の学生さんも対面よりは質問がしにくいようだ。

講義の最後には、絵文字での拍手がパラパラパラと表示されて終わった。

今の社会情勢、オンライン講義は仕方がないとはいえ、一日でも早く対面講義が可能となって、互いに熱きエネルギーが感じられるようになりたいと感想が残った。

昨年から今年にかけてほど、医療や病院等医療関係の話が表面化された年はないのではないか。

その医療現場には栄養士・管理栄養士の仕事も重要な位置にある。
特に患者さんへの食事提供業務は、病院の機能を支える基礎ベースとして大切だ。

食事が決まった時間に提供できなければ、検査や手術や薬物治療の時間にも影響し、治療の進行に悪影響を及ぼすことになる。

手前ごとだが、早朝から夜遅くまで、病院での食事調製に携わる栄養士・管理栄養士、調理師、調理作業者等は、患者個々の病気に適応した食事を遅れることなく提供するためにシステマティックに働いている。

そうした業務が的確に行えるように、相当な訓練と技術力の醸成が行われていることを知ってほしい。


いうまでもなく病院の食事は、患者さんの病気回復のための手本となる治療食だ。
食事は本来、健康維持や増進に役立つもの。
しかし、言いにくいがひとたび病気をするとその食事療法だけで治療回復は本当に困難だ。

特に、糖尿病や腎臓病、肝臓病など慢性疾患は、エネルギーや塩分、たんぱく質などの調整が生涯にわたって必要となり、実践するのは正直大変なのである。だから、本当は健康なうちに食事に注意したい。

しかし、病気になってもあきらめてはいけない。治療の基礎を左右するからだ。
その対象患者さんへの支援が入院中の食事内容であり、栄養士・管理栄養士の本務だ。

病院の食事は、味が薄い、淡泊で油っけない、つまりまずいという感想に繋がりがちだ。
当たり前だ。
入院以前の食事が、塩分が濃く脂っこくて、甘くて、だから美味しいと感じる。このような食習慣の人々に限って、病院の食事との乖離は大きいので、余計にまずく感じるのだろう。

それでも、入院中は病院の食事を食べてもらわなくては疾病回復につながらない。

塩分やエネルギーなどの制限の中で、最大に美味しく提供できる、そうしたパフォーマンスが出せる食事提供従事者は、得に大切で貴重だ。
なぜなら、患者さんの人生最後の食事になる場合だってあるからだ。

普通以上に美味しく食べてもらわなくてはならない。だから、病院の食事提供には責任がある。

なのに、最近は治療食の作り手が少なく、また採用された人材も長く続かない。ここは問題だ。

私は、苦労続きの職業人生だった。
たくさん研究されている内容を活用させてもらって、その上に実務を実践していたら、より患者さんのための食事提供が、効率良く有効にできたかもしれない。
自身で、あれもこれも疑問を解決しながら、時間をかけ過ぎたのだ。

栄養学関係の研究者と現場実践者のコラボが、上手にリンクできることがこれからは大事だと、私は思えてならない。

今回のオンライン講座では、私の失敗談や苦労話をたくさん伝えた。
新しい時代の食事提供が、これからの栄養士・管理栄養士を目指す人達の手で再構築され、人々の健康管理に役立ってくれることを願ってエールを送りたい。

最後に、オンライン講座なるものが、1日でも早く対面講義に戻り、伝える側と受講する側にとって、熱きエネルギー交換ができるように、と願うばかりだ。


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