これはもう、テロと言っても差し支えないでしょう。

衝撃的な事件が起こりました。

大学入学共通テストの会場で、受験生2名
を含む3名の方が切りつけられました。

事件を起こしたのは高校2年生。
相当優秀な生徒だったそうですが、
学校の成績がうまく行かず悩んだ上
での犯行だったそうです。

最近はこうした社会の枠組みから
こぼれ落ちそうになった人たちが
起こす犯罪が後を絶たなくなりました。

3年前の京都アニメーション放火事件
はもとより、昨年末の大阪ビル放火事件、
それ以外にも小田急線や京王線でも
切りつけ事件が発生、数年前には
新幹線の中でも切りつけ受験生や
放火事件が起きています。

犯罪件数は昔と比べて特別増えている
わけではありません。
しかし犯罪の質が変わって来ました。

お金欲しさとか、根っからの悪人とか、
直接的な怨恨とか、昔は動機が割りと
明確でした。

しかし最近は動機がいまいちよく理解
できない犯罪が増えました。

その加害者達に共通しているのは、
「世の中から疎外された」と、
感じていることです。

現代社会は特に競争社会と言われ
ますが、昔と比べて競争がそんなに
激しいわけではありません。
むしろ教育の過程においては、
競争原理はむしろ排除されて来た
はずです。

にもかかわらず、一度競争社会から
フェードアウトすると再起する機会
をほとんど与えられていないと
皆が感じているわけです。

この正体は「貧困」です。

日本人は30年前と比べると、
ものすごく「貧乏」になりました。
この20年、給与はほとんど上がって
いないにもかかわらず、生活コスト
だけはどんどんと膨らみました。

その結果として、昔のような一億
総中流社会のときのような生活水準
が維持できる人たちは少数派となり、
その水準からこぼれた人たちはリアル
に生活できなくなる恐怖と戦わないと
いけなくなりました。

その過程で、相変わらず一度社会の
枠組みからこぼれた人たちが救われ
ない、再起する機会をほとんど与え
られないという世の中の構図は
変わっていません。

その状態では、皆が常に今ある生活
があっという間に維持できなくなる
恐怖と戦って生きなければいけません。

そして一度社会の枠組みからこぼれた
人たちにはとてもやさしくない現実が
待っているのです。

そうなると、その枠組みからこぼれた
人たちに待っているのは、リアルな
「貧困」です。

かつて中東でテロが盛んに行われて
いたとき、ほとんどのテロリスト達
は宗教的なイデオロギーやプロパ
ガンダを掲げていましたが、現実の
行動原理は「貧困」です。

富めるものがより富み、貧しいもの
がより貧しくなることへの反発が
現実には根底にあったわけです。

ここ数年、こうした不特定多数の
人たちを狙った犯罪のみならず、
ストーカー殺人とかもそうなの
ですが、根底には「勝ち組」への
怨恨があることは明白です。

少し努力すれば大概のものが手に
入った時代と違って、どれだけ
頑張っても手に入らないものが
増えたと感じている人たちが増えた
のです。

それが今の凶悪犯罪の連鎖に
つながっているとしか言いようが
ありません。

この連鎖を止める方法は、
正直ありません。

ただ、一つだけあるとしたら、
世の中の枠組みから一度外れても、
その人にきちんと立ち直るチャンス
を与えることでしょう。

が、それも期待薄です。

ほとんどの人たちが今の自分の生活
を維持していくことで精一杯なのです。
そんな状態では、他人に構って
いられるほどの余裕はないのです。

これを変えるにはやはり政治と
いうことになるのでしょうけど、
多くの人たちが「誰がやっても同じ」
と、政治に対する大きな期待を
抱いていない現実を見ると、
このままの流れで世の中はしばらく
進んでしまうのでしょう。

一つだけ言えることは、今やテロ
の恐怖は外国からではなく、
身内から。日本人の今まで普通に
世の中の一員として生活していた
人が突然凶悪なテロリストになる
可能性があるということです。

非常に悲しく、辛い話なのですが
当面はそうした暴力の連鎖から、
自分の生命を自衛しなければいけない
ということになってしまうのです。

それでも何とかしたい、世の中を
変えたいと思う志のある方は、
まずは何か自分にできることから
やっていくしかないでしょう。

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