ヨガやマインドフルネス瞑想が社員の生産性を向上させる?【The New York Timesの記事紹介】
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ヨガやマインドフルネス瞑想が社員の生産性を向上させる?【The New York Timesの記事紹介】

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マインドフルネスとは「思考、感情、身体的感覚などの現在の経験への気づきを高める瞑想法」であり、不安感やストレスを軽減するといわれており、ヨガとともに社員のメンタルヘルス向上のためにGoogleやゴールドマンサックスなど、大手企業でも取り入れられています。
この記事では、The New York Timesに掲載された「At Aetna, a C.E.O.’s Management by Mantra:Aetna社ではC.E.O.がマントラによるマネジメントを行っている(参考・引用1)」をもとに、ヨガやマインドフルネスが社員の生産性に与える影響について紹介します。

1. Aetna社のCEO Mark T. Bertolini

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 2004年、まだCEOとなる前のBertoliniはスキー中に事故にあい、生死の境を彷徨いました。しかし、幸運なことに一命をとりとめ、事故から12日後に退院し1ヶ月も経たないうちに投資家会議でプレゼンテーションを行うなど、驚異的なスピードで回復しました。

医師も驚くほどのスピードで回復したBertoliniは、12日後には退院することができた(その後、4回の手術を受けた)。 事故から1ヶ月も経たないうちに、左腕に装具をつけ、杖をついて歩いてAetna社の投資家会議でプレゼンテーションを行った。

 しかし、仕事復帰を果たしたとはいえ、Bertoliniは痛みという後遺症に悩まされます。痛みを和らげるために様々な薬を処方されましたが、従来の治療法では満足のいく結果は得られませんでした。そこで彼は代替療法としてヨガを取り入れました。

痛みを和らげるため、Bertoliniは医師の指示に従った。オキシコンチンを飲んだ。バイコディンも飲んだ。フェンタニルも飲んだ。薬はほとんど役に立たなかった。従来の治療法では満足のいく結果が得られなかったため、Bertoliniは代替療法を模索し、ヨガを取り入れた。

 ヨガの歴史に魅了されたBertoliniは、ヨガだけでなくマインドフルネス瞑想も実践するようになりました。そして痛みという後遺症を乗り越え、元気に仕事に復帰することができ、その後Aetna社のCEOに就任しました。

結局、ヨガと瞑想を続けたことで、元気に仕事に復帰することができた。Aetna社の最高経営責任者となった彼は、現在、年間売上高約580億ドル、会員数2,350万人以上の会社を引き継いだ。

2. Bertoliniの挑戦:社員に対するマインドフルネス瞑想の導入

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 CEOとなったBertoliniは、ヨガやマインドフルネスが自分を助けたのだから、従業員や何百万人もの顧客を助けられないわけがないと考え、自分の会社を実験室として使うことにしました。

 すぐに実験は開始され、239人の社員がボランティアとして参加しました。もちろん、反発がなかったわけではありません。「マインドフルネスはビジネス界でカルト的な人気をえようとしている」、「補完的な健康法、特に瞑想に対する人々の熱狂は科学的な研究を上回っており、広く普及させるのは時期尚早だ」といった専門家の意見も散見されています。当時のAetna社のチーフメディカルオフィサーであったLonny Reismanは「あなたがヨガをしているからといって、みんなヨガをしなければならないのか。」と反発しました。

しかし、誰もが瞑想やヨガが職場に適していると考えているわけではない。ハーバード・ビジネス・レビュー誌に最近掲載された記事によると、「マインドフルネスはビジネス界でカルト的な人気を得ようとしている」と警鐘を鳴らし、瞑想的な性格がオフィスで裏目に出てしまう可能性を列挙している。著者のDavid Brendelは、ストレスは批判的思考を行うための有効な手段であり、瞑想によって逃避すべきものではないと指摘している。また、Aetna社などがマインドフルネスやヨガの健康効果を謳っていても、すべての研究者が納得しているわけではない。
瞑想の潜在的な副作用を研究しているブラウン大学のWilloughby Britton教授(精神医学・人間行動学)は、「補完的な健康法、特に瞑想に対する人々の熱狂は、科学的な研究を上回っている」と述べている。「広く普及させるのは時期尚早である。」とも。


 3ヶ月に及ぶ実験の結果、ヨガとマインドフルネスのどちらかを継続して行なった社員全員が、ストレスと睡眠障害の大幅な現象を報告しました。さらにそのような主観的な値だけでなく、心拍変動やコルチゾールレベルなどの客観的数値も改善していました。

3分の1がViniyogaを実践し、3分の1がマインドフルネスのクラスを受講し、残りはコントロールグループとして評価された。3ヶ月後のデータを見て、役員たちは驚いた。ヨガとマインドフルネスのどちらかを継続して行った社員全員が、知覚されたストレスと睡眠障害の大幅な減少を報告した。また、ストレスの低下に関する自己申告は必ずしも信頼できるものではないが、心拍変動とコルチゾールレベルの物理的な測定値がともに低下していることもわかった。

 この結果を受け、Bertoliniはすぐにこのプログラムを拡大することにしました。

3. ヨガやマインドフルネス瞑想の導入による社員の変化と生産性に対する影響

 現在、Aetna社の従業員5万人のうち4分の1以上が少なくとも1つのクラスに参加しています。参加者は平均してストレスレベルが28%、痛みが19%減少し、睡眠の質が20%向上したと報告しています。さらに参加者は1週間に生産性が62分向上し、1人あたり年間3,000ドルの価値があるとAetna社は推定しています(下図参照)。

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図:マインドフルネス瞑想の導入による社員の変化と生産性に対する影響

同社の従業員5万人のうち4分の1以上が少なくとも1つのクラスに参加しており、参加者は平均して、ストレスレベルが28%、睡眠の質が20%、痛みが19%減少したと報告している。また、仕事の効率も上がり、1週間に平均62分の生産性が向上し、これは従業員1人当たり年間3,000ドルの価値があるとAetnaは推定している。このプログラムへの需要は高まり続けており、どのクラスも予約が殺到している。


4. ヨガやマインドフルネス瞑想の導入が社員の医療費に与える影響

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 ヨガやマインドフルネス瞑想の導入を推進していく中で、2012年、Bertoliniはある意外なことに気がつきました。従業員1人あたりの医療費請求額が7.3%減少していたのです。翌年には医療費は5.7%上昇しましたが、ヨガやマインドフルネス瞑想の導入以前と比べると約3%低い水準となっています。

 一方で医療費削減に関して、Bertoliniはヨガやマインドフルネス瞑想のみが効果をもたらしたとは考えていません。減量プログラムや新たな健康診断など、他の施策も強化されていたためです。ただ彼は「一連のプログラムの集大成として、医療費を着実に削減することができた。ヨガとマインドフルネスだけとは言わないが、助けにはなった。」と考えています。

Bertoliniは、これらのコスト削減をすべてヨガや瞑想だけに頼っているわけではない。減量プログラムや新しい健康診断など、他のウェルネス施策もこの時期に強化されていた。しかし、Bertoliniは、これらのプログラムが効果的であったと信じていると言う。「一連のプログラムの集大成として、医療費を着実に削減することができた」「ヨガとマインドフルネスだけとは言わないが、助けにはなった」。

5. まとめ

 ここまで、The New York Timesに掲載された記事をもとに、ヨガやマインドフルネス瞑想が社員の生産性に与える影響について紹介しました。
否定的な意見もありますが、ヨガやマインドフルネス瞑想などのメンタルヘルスを対象としたケアは、社員の生産性向上に有用である可能性が示唆されています。また社員のメンタルヘルスを向上させる取り組みは福利厚生の一環にもつながると考えられます。福利厚生の充実や生産性向上を目指す一つの施策として、ヨガやマインドフルネス瞑想を検討してみる価値はありそうです。

参考・引用文献
1:Gelles D, 「At Aetna, a C.E.O.’s Management by Mantra」, The New York Times, 2021/10/25
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