淋しさの森
淋しさの森。
たくさんの木。愛情の果実のなる木。果実はいつも熟していた。
でもそこにはたくさんの隙間があって、どうにも埋められなくて泣いた夜があちこちに埋まっている。
今はこの森の木に熟した果実はひとつも実ってはいない。
ただ淋しさだけが浮遊している。どこもかしこも淋しさ。早く埋めてしまって見えなくしなきゃ。
誰かが木を植えてくれるまで待ってみても、どれも大きく育たない、根が腐ってしまう。
木には愛情になり損なった青い実だけ。ぼとぼと。
私の森をみずみずしい緑で埋め尽くして、根はどこまでも深く伸ばしてみたい。
淋しい、って木がふたりで泣いているんだよ。森からひとつ木がいなくなって泣いているんだよ。
私の淋しさに木はひとつだけなのに、淋しいなんて言ってもいいの?
誰かが木を植えてくれるまでもう少し待ってみようか。一度淋しさを知った森は何だかいけないね。
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大学が終わった。今日から夏休み。
2024/07/31
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