不登校児童生徒への支援の在り方についての通知を読んで

先日の令和元年10月25日、文部科学省から「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知が出されました。「学校へ行かなければならない」という考え方から、学校以外の場所においても学習機会を確保していこうという考え方へシフトしていく流れがありました(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律など)が、それについてより明確に提示されたと思います。この通知の中で、わたしが気になった点を中心にお話しできればなと思います。

この通知は同様のタイトルで平成28年度にも通知されていました。その内容を見比べて見ると、基本的な部分はほとんど変わりありません。学校の中での教育だけに留まらず、教育センターやフリースクール、特例校や中学校夜間学級を利用して社会的な自立を支援していくこと、家庭教育の重要性と家庭への支援が必要であること、「児童生徒理解・支援シート」を活用して各関係機関と組織的計画的に効果的な支援を行うこと、そもそも不登校が生じないような学校づくりをしていくこと、などが挙げられています。

この平成28年度の通知は、今回の通知を受け廃止となりましたが、基本的な考え方は踏襲されています。その一方、不登校児童生徒に対する効果的な支援の充実という項目においては、加筆されより一層の充実が求められているようです。その部分について見ていきましょう。

まず、各学校において中心的、コーディネーター的な役割を果たす教員を明確に位置付ける必要があるとされました。その背景には、これまでの不登校児童生徒への支援が、それぞれの担任の先生方が大きく背負っていく部分であり、下手をすると担任のみで支援を行っていた現状があるからではないでしょうか。そのために、様々な専門スタッフと連携しながら取り組む必要があり、そのためにもパイプ役になる人の必要性が明記されたのだと思います。

続いて新たに、学習状況の把握と学習評価の工夫という項目が付け加えられました。不登校児童生徒の支援をする上で、学習機会を保障することは非常に難しい部分があります。そのような中、学校のみならず教育センターや民間施設等での学習内容・学習状況の把握とそれに応じて適切に評価をし、指導要録に記入できるようになったことは大きな変化ではないでしょうか。これによりたとえ学校に行くことができなくとも、他の場所で学習することで学校でも評価され成績となるということです。

また、中学校等卒業後の支援についても新たな項目が付け加えられています。それは改めて中学校等で学び直すことを希望する者への支援という項目です。これは不登校等によって義務教育を十分に受けられなかった人に対して、中学校夜間学級での受け入れが可能であることを、卒業時に保護者や当該生徒に対して説明しておきましょう、というものです。もちろん、中学校夜間学級がない地域では難しい話ですが、こういった制度があるということがより広く知られるきっかけになるのではないでしょうか。

さて、ここまでは平成28年度のものとの違いを見てきましたが、それ以外の部分についても考えていきたいと思います。

児童生徒理解・支援シート」の活用については、学級担任だけではなく養護教諭やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの専門家が中心になり、児童生徒や保護者と共に作成し各関係機関との連携を図ることになっています。業務の効率化という面からも、担任が必ず作らなければいけないものではなく、スクールカウンセラーなどの専門家がその知識と見立てを元に作成することで、より当該児童生徒にとって役立つ支援ができるのではないでしょうか。そういったことを期待してしまいます。

また、不登校が生じない学校づくりをしていくことが、なによりの不登校対策だと思いますし、支援方法だとも思います。学校環境の整備、個別の支援や指導、家庭や地域との連携に日頃から気をつけ、気になる児童生徒がいれば支援していく。もちろん、担任だけの業務だと考えられてしまうと、手が回らないので、スクールカウンセラーなどの専門家を交えつつ、チームとしてそのような個々の支援ができればいいと考えます。

今回は、不登校児童生徒への支援の在り方の通知を見てきました。学級担任が一人で抱え込むことなく、チームとして連携して支援していくことが大切だと思います。ともすれば、対立してしまうこともある教師と心理職ですが、うまく連携しより良い支援に繋げていければと願っています。

自分にできることが何かを模索しながら、とりあえずできること、発信できることから始めようと思います。少しでもリアクション頂ければ励みになりますので、よろしくお願いいたします。