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19.5.11 Xデザイン学校ベーシックコース #02オブザベーション

第2回は質的調査のオブザベーション(観察)についてのワークを行った。 観察をし、得られた事実を分析、そこから「新しい体験」を提案する…という一連の流れを数時間で実施。脳のいろんな部分をフルに使い、とても疲れた。

回顧的インタビューでわかることはない

わからないことを調べる、質的調査技法。そのなかでもインタビューでわかることはほとんどないとのこと。特に時間が経ち、思い出した答えにはウソが含まれてしまう。山登りの行程は辛かったはずなのに、時間が経つと頂上から眺めた気持ちのいい景色しか覚えておらず、思い出が美化されているようなこと、確かに自分にも経験があるな。ハッカソンなんか特にそう。

インタビューはやるなら、時間が経ってから聴き取る回顧法ではなく、体験の直後に聴き取るものでないと意味はない。確かに、最近オンボーディングや平安保険の話を聞いてアプリのNPSが出るタイミングを気にしてみているが、体験の直後に出現するものが多い。messengerも通話の直後に音質について聴取している。

「問い」を立て、「事象」に目を向けること

質的調査技法のひとつ、直接観察するオブザーベーションを実践した。看護師時代に観察を仕事にしてはいたが、「仮説」や「予見」を持った上で身体の状態や介入に対する反応を見ていたように振り返る。「問い」を立てて観察を行う、というのに脳の切り替えが必要だった。実際ワークをしてみると「問い」ではなく、恐らくこういうことかな?と「仮説」を立てて観察してしまっていたことに気づいた。結果、抽出した事象は偏っていた。出鼻から見事にアンチパターンを踏んでしまった。せっかく実践に移る前に心構えを説明してもらったのに、実践中には忘れてしまっていた。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉が頭を過る。自分の愚者っぷりに反省。

フラットに事実を抜き取るために「問い」を立てて観察する。トレーニングを重ねないと切り替えできなそう。先生はフィールドワークで街を観察する時いろんな「問い」を立てているのだそう。普段の生活から「問い」を立てて観察してみようと思う。

誰も困っていない。エラーや困ったことを探したいのは調査する人だけ

得られた事象を元に関係性を探り、概念化していく。インサイトの発見が得られる楽しいフェーズなのだが、ここでも仮説がバイアスを掛けていた。
被験者の感情曲線を描くことで「真実の瞬間」を見つけ出した際。ここが困っているのでは?と予測していたプロセスと重なったため、自分の読みが当たったと思い嬉しくなってしまった。わからないことを調べるために調査してたはずなのに、目的を見失っていた。恥ずかしい。
新鮮な発見を喜び、人の価値観を楽しめない人はリサーチ向いていないんじゃないか。つい自分の物差しで測っていた。自分の職業適性に不安になった。

クリティカルシンキング

「問い」を立てて観察するという文脈の中で批判的思考、クリティカルシンキングという言葉を教わる。本当にそれでいいのか?と疑問を持とうというもの。

私はクリティカルシンキングについての捉え方から間違っていた。いままで批判的思考という字面の印象そのままに、否定的に仮説を立て、物事をみるものと勘違いをしていた。
浅野先生は別に否定しようとは言っていなかったのに。言葉ひとつひとつに対しても、今までの言葉の使い方に引張られてバイアスをかけてしまっていた。第1回で出てきた、「un learn」ができていなかったことに気づく。

また、課題の捉え方自体にもこの批判的思考ができていなかった。自分たちの提案した案は「困る部分を当たり前にする、UI的な考え方だ」と講評いただいた。
観察中に「手元ばかりを見るんじゃないよ」って注意を受けていたのに行為を観察していたから、自然と行為の問題解決をするのが目的だと勘違いしていた。本当にそうかな?と思考を巡らせないといけない。実際はその人の行為だけでなく、環境も観察対象だった。 視野の狭さに気付かされた。

ポストイットは自分の意見じゃなくなる

リサーチの手法でよくポストイットを使われるのは何故だろう?と思っていた。こんなにテクノロジーが進歩してる時代にアナログな手法だなと。
ポストイットにすると民主的な話し合いができるためだった。ミーティングの場に上司やクライアントなど上下関係のある人がいると、影響力のある人物の声に寄ってしまう。
ポストイットは意見を個人から切り離し、匿名化する。また、書いた本人もポストイットという形になることで、自分の人格から切り離される。自分の発言する意見が採用されないと悲しいが、ポストイットならなんとも思わないのだ。
そういえば「TEAM GEEK」にも、”君は君の書いたコードではない。主語をコードにしてレビューすれば平和になる。”といったことが書いてあったな。
本質的な話をするための工夫だったんだ。先人の知恵。

また、ブレインストーミングの4原則を紹介いただく。

・質より量:意見を沢山出そう
・批判しない:アイデアが出なくなる
・自由奔放:人の意見を笑わない。暴投OK
・連想や結合:意見を乗せていい。同じような意見が出ても引っ込める必要はない。

今回時間がないことに焦って収束に走りこの4原則を守れてなかったと反省。ミーティングをえいやっとコントロールしようとしていた。だれもファシリテーションをしろなんて言ってないのにしゃしゃり出てしまった。恥ずかしい。(2回目)

調査はやればわかるものではない

「なんだかわからないもの」をわかるようにするために、要素を分解して行う上位下位分析。今回は事象を細分化してグルーピングし、関係性を見出してインサイトを探していく、下から上に探るラダーアップ法を使った。
やってみてわかったのは上記にあるように、一つ一つのプロセスで、バイアスを掛けないように細心の注意を払わないと、大きく違う方向に向かってしまうということ。
上位まで行ってしまってからでは、下位の小さなズレに立ち戻りづらい。最初のプロセスは特に大事で丁寧にやる必要があった。
調査はやればわからないことがわかる飛び道具ではなく、手法の選択から実施における細心の注意まで、ちゃんとやらないとなにも得られない、取り扱い注意な怖い物だと知った。

次はいよいよ実際の課題に取り組んでいく。非常に楽しみ。

備忘録
・ユーザーは困りたくて体験していない。「困った」を探すんじゃない。どうしたら喜ぶかを考えよう。
・ダメな点を見つけて永遠に改善し続け、品質を高めることをユーザーは望んでいない。(物や程度による。車などそもそもの安全を満たさないといけないものもある。ここも自分で見極める。)
・3回使って慣れる事はエラーじゃない。エキスパートと比較して、はじめて触る人が3倍の時間でクリアしたならOK
・洞察とは、個性のあるいろんなユーザーのみんなが重なる部分のこと。ユーザーの声を正直に聞くなって言われているのはそういう意味。
・見つけ出した問題の質によって原因は異なる。可視性・マッピング・良い概念モデル・フィードバックなど。間違えると解決策に影響が出る。
・リフレーミングする時、出来るだけ大事なものを捨てる事
・リフレーミングと新しいものの出会いがイノベーションを生む。

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