見出し画像

住みやすいかよりも、住みたい気持ちで街を選ぶ

 「暮らしたい未来の街」のテーマで書く。と思った時、私は1番に生まれ育った街「横浜」を想う。

 万人にとって住みたいところとはどこか。

 人によっては交通が便利であることだったり、緑が多いことだったり、景観の良さだったりすると思うが、いろんな要素を合わせ持つ土地が「魅力的」であるには違いない。

 でも歳をとると、いろんな思いが削ぎ落とされて、結局長年住んでいた場所に留まりたい。もしくは私のように戻りたいと思うものだ。

 その場所が、山の中の一軒家でも、海沿いの家であっても、都会のビルの一室だったとしても。

 それは自分自身の思い出だけではなく、大切な人との面影が思い浮かぶから。

 場所と人との思い出は結びつきやすいのだ。

 母が病気になった時、当時湘南に住んでいた私と住むか、横浜に住む妹と暮らすか選んでもらった。

 母は悩んだ挙句、私や妹を産んだ病院に通うことと、自身が生まれ育った横浜を離れないことを選んだ。

 住み慣れた土地から、住み慣れた人を離すことは、歳をとるほど難しい選択になる。

 例えその場所が高齢者にとって住みにくい場所であったとしてもだ。

 改めて老後に横浜に住むことを具体的に考えてみる。

 私が暮らしてきた時よりも人は遥かに増え、すっかり観光地の顔になっている。

 私が子どもの時は、お洒落なカフェなどはなく、どちらかというと夜に賑わう店の方が多かった。

 歓楽街の中にある昭和の雰囲気が溢れる喫茶店で夜を明かした時が懐かしい。

 横浜も場所によっては、買い物をする場所は徒歩圏にコンビニしかなく、坂も多く、高齢になればなるほどとても住みやすいとは言い難いところもある。

 母方の祖母の話によると、祖母の家系はずっと横浜に住み続けてきたらしい。

 祖母が生まれ育った土地に、結婚相手である祖父が家を建てた。近所には、幼なじみや親類がたくさん住んでいる(いた)場所でもある。

 祖母が今まで元気に過ごしてきたのは、長年すみ慣れた場所に、ずっと変わらず住み続けているからかもしれないと思う。

 私には思い出が多すぎる土地なのだ。

 未来の私がどこに住むかは分からない。

 だけど。

 今住んでる場所も、子供を育てた海の街も好きだが、最後は横浜に戻りたい。

 今はそう思っている。

 

 

この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?