そばかす、かわいかったね

「美容は自尊心の筋トレ」というタイトルの本があるけれど、いいタイトルだなーと思う。

私は20代の頃はおしゃれはずっと好きだったけれどメイクとかスキンケアに関してはとても疎いまま過ごした。

日焼け止めを塗り、お粉をはたき、その上で猫メイクみたいなアイラインだけちょびっと引いたりの、不器用なアイメイクとたまに赤リップ、みたいな化粧をして過ごしていた。ファンデーションなど使っていなかった。

今の私は、ベースメイクこそ美容の鍵だと知っているので、オイルで洗顔しシートマスクもしてクリームを塗り日焼け止めを塗り、MACのストロボクリームを塗り、赤みが気になる日はコントロールカラーを重ね、クマにはエトヴォスのコンシーラーパレットを叩き、最後にRMKのファンデをほーんのちょびっとだけ薄ーく伸ばし、さらにハイライトなんて入れたりしてツヤ肌を作って出かけている。こんなに工程を踏んでいるのに、すっぴんみたい、お肌きれい、と言われる。そしてそんな肌が完成した上で流行りの色を瞼にのせたり、自分に似合う紅を引いたりしている。

これらは人気YouTuberによるメイク動画や美容雑誌によって得た知識の集積の結果なので(とにかくファンデーションの量はものすごく少なくて良いらしい、それより重要なのは下地と保湿らしい)、なんにも知らない20代の私は乾燥肌なのにお粉を叩いたり、顔が濃いのに濃いポイントメイクをしたりしていて、今よりちぐはぐな印象だったと思う。私は今の自分のメイクが一番好きだ。

なぜ私が化粧をするかというと、「テンションがあがるから」。これに尽きる。
コスメを買うときも、テンションがあがるかどうかを大きな基準にして選んでいる。化粧品は夢を買うもの、リップひとつにしてもテンションがあがるものを選びたい。
武田百合子が「赤い紅を引くと元気が出るから私は誰がなんと言おうと赤い紅を引く」みたいなことを言っていたのがとても印象に残っていて、近所にしか行かない日やすっぴんの日もなんだか元気がないときは突然鮮やかな赤リップを塗ったりする。そうするとほんとに気分がシャキッとして元気が出てくる。

メイクに凝っていると、やはり結局は肌を綺麗にしなくては始まらない、とスキンケアの方に凝るようになる。
いくら優秀なクマを消すコンシーラーを買うより、そもそもクマがなければ苦労しないのだから、寝不足や血の巡りにも気をつけるようになる。「疲れて見えない」が可愛さの掟だとヘアメイクさんは言った。美容に凝るって健康に気をつけるてことだから、美容に興味を持つようになってよかったな〜と思う。そしてやはり透き通るような肌は美人に見えるので(すっぴんに見せて実は作り込んでいるのだが…)自信がついて、「自分が可愛くなきゃテンションあがんないんだから自分可愛くいよう」みたいな、傲慢な、姫的な、自己肯定感が身についた。

それは美容という経験を「重ねてきて」身についた結果であり、まさに美容は自尊心の筋トレである。経験を重ねること、場数を踏んで行くことは大事だなあ、と美容という面でも私は学んだ。
20代の頃は、ナチュラル・オーガニック思考で、美容を頑張りすぎてる人なんて怖いというか、何にもしてないで可愛い方がナチュラルで素敵に決まっている、と思っていたけれど、単純にほんの少しのミリ単位で印象がガラリと変わる技術を知るのって面白いし、自分の思う「ナチュラルで素敵」な人だって美容によって目指せるのだし、「モテ」や「美」を追求することは、生命が輝いている状態を目指すことに繋がるのだから美容は大事、という結論に至った。

なので、素肌がめちゃくちゃ綺麗な人でも、薄ーくベースメイクはした方が何倍も美人に見えて輝くし、メイクはすごい、と最近の私は考えていた。

しかし。
最近自分のすっぴんを見たある男性に「そばかす可愛かったね」とぽろっと言われた。なんの悪意もなくすごく素直な言い方で。
それが自分でも意外なほど嬉しかった。彼は言ったことすら忘れているかもしれない。
また別の男性が、私の友人の北海道で田舎暮らしをする野生の花のような女性を紹介したとき「あの人すごい可愛いでしょ」と言ったら「うん可愛い〜そばかすも可愛い」と言った。
そう言われて、たしかにそばかすあったな、可愛いな、と私は思い出したのだが、男性がぽろっと女の人のそばかすを可愛いと素で言うのって、めちゃくちゃいいな…と思った。

そもそも私はひどい癖毛で髪がいつももじゃもじゃしているのでヘアメイクさんの言う「疲れてない感」を出すのにはヘアアイロンを使わなくてはいけなくて一苦労だし、夏は海で泳ぎたいので日焼けもどうしてもしてしまう上に元々シミそばかすができやすい体質だし、昔からものすごいズボラで雑な性格で本当は美容なんて超めんどくさいし向いていない。妙なオーラで浮いていると思われていることが学生時代はコンプレックスだった。
そんな中、人生を自分で切り開き知識と技術を身につけた最近の私はテンションをあげ自分を鼓舞するために美容をがんばっていて、シミそばかすもそのうちレーザーで焼き消そうかな〜などと考えていた。シミとそばかすが増えることは恐怖でしかなかった。

なのでそばかす可愛かったは目から鱗が落ちる言葉であり、実は私は着飾りながらもその言葉を心の奥で実は待っていたのかもしれないと思った。
いちばん嬉しい褒め言葉だった。

これからも毎日日焼け止めは塗るしボディクリームも塗るけれど、世の男性は、女性を可愛いと思ったとき素直な言葉で相手にもっと伝えたらいいと思う。今日のメイク可愛いねとかネイル可愛いねとかそばかすも可愛いねとか泣いてる顔も可愛いとか言われたら、マジでめちゃくちゃ嬉しい。
そばかす可愛いと言える男性は最高だと思う。(逆に毛穴あるねとか腕毛生えてるねとかは思っても絶対言っちゃダメ。毛穴消そうと努力してる最中かもしれないし消えるのめちゃくちゃ時間かかるから。脱毛も毛の周期があってすぐには終わらないから。)

美容をがんばってもがんばらなくてもどっちでもよくって単純に自分が楽しいから我が子のように可愛い自分のためにボディクリームを塗る日々は楽しいし、今が一番いいバランスで美容と付き合えている。新しい化粧品を買ったりそれについて友達と話すのは、男性がレコードや車やエフェクターなど趣味用品を買うときのようなトキメキと喜びに溢れているので誰かのためでなく自分が生きることに彩りを与えてくれる趣味だし、美容との付き合い方にやっと肩の力が抜けてきた2020年6月に言われた「そばかすかわいい」の一言は、「どっちでもいい」の肯定と勇気の翼をくれた。どっちでもいい前提でする美容は最高に楽しい。

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