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短いおはなし7

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2018年7月の記事一覧

発送させていただきました。

発送させていただきました。



あまりない触れて眠れる美しい光の手作り本。melancolia storytelling 眠る前になでる本。光に透ける魔法付き。本日、
ネットショップからオーダーいただいた全ての方に発送させていただきました。
大事にしてもらえますように。

夜の桃の隣で。

夜の桃の隣で。



‪クマは最近、遅い夕飯後、夜の桃の隣で大好きな本屋さんで手に入れたカードを3枚引いてみる。そうゆうの全然知らないから勝手にお話しを考える。修道院のうたや紡ぎうたをうたいたくて、勝手につくってうたう。たぶん星座の物語も紡ぎうたも最初は誰かが勝手に考えただろうから。夜の桃の隣で。‬

おれのおもちゃのバラの指輪は、なんのダメージも受けやしない。

おれのおもちゃのバラの指輪は、なんのダメージも受けやしない。



路地裏でキツネは運命に殴られていた。痣だらけの顔で運命に言った。あんたさ、おれを傷つけたつもり?おれの身体や人生がどんなにダメージを受けても、おれの海は、ねこは、ガゼボは、幻想は、桃の薫りは、大切な出会いは、おもちゃのバラの指輪は、なんのダメージも受けやしない。覚えときなよ。

良くなろうとするところが好きだから

良くなろうとするところが好きだから

‪アライグマが女の子に言った。表現してる奴は、いつも自分の欠落を急いで表現で埋めてるんだ。そいつの本質は、表現の方じゃなくて欠落の方さ。だから表現がそいつだと思って好きになるとがっかりする。女の子が言った。大丈夫。わたしはそのひとの良くなろうとするところが好きだから。‬

その後でもいいかな?

その後でもいいかな?



「いま幸か不幸かとか、寂しい、とか考えちゃう時に、あたしはあたしに電話する。どこかにいるあたしが忙しそうに言う。今ねこのトイレ洗ってて!そのあと腹筋して、そのあとそうめん用のだしとって、そのあとカードブックの続きつくるからそのあとでもいいかな!」#お洒落なオカマのキツネ

もう感情はいらないな。

もう感情はいらないな。

もう感情はいらないな、と、キツネは感情をすべて売り払った。凪いだ海のように静かに暮らした。感情的にならないとものごとはうまくまりはじめた。感情的なひとを見ると昔の自分を思い出した。ある日街中でかかっているうたに足を止めた。ふと涙がこぼれた。悲しくはなかった。涙がこぼれ続けた。

いつも傑作はいらない。

いつも傑作はいらない。

子ぐまにオカマのキツネが言った。よく映画や本の傑作ってあるわよね。でもね、いつも傑作いらないの。超美味しいお料理もいつもはいらない。無心で柿ピー食べてる時が至福って時もあるわけ。あんたも傑作でなくていいわよ。あんたを柿ピーみたいに求める子がいるわ。きっと。#お洒落なオカマのキツネ

ずっと。

ずっと。



クマは、いつか、と思った。奥さんがいたら夏まつりに出かけよう。提灯に浮かぶ奥さんの露草模様の浴衣姿をたくさん写真に撮ろう。太鼓の音が遠ざかる夜道で線香花火をしよう。火薬の薫りの中、火花に息を凝らす奥さんの横顔を携帯の消音カメラで撮ろう。奥さんが素敵なおばあさんになるまでずっと。

きれいごとの好きを駅のゴミ箱に捨てた。

きれいごとの好きを駅のゴミ箱に捨てた。



‪古いフランス映画。男が言った。最低だ。女が言った。最低ってなに?キツネはその映画を観たあと、きれいごとの好きを駅のゴミ箱に捨てた。楽になった。残ったどうしょもない好きを持って、最低で最高な自分のまま、最低で最高な女の子に会いたくなった。なにか喜ぶものと夏の花をあげたくなった。‬

ひと目でも。



‪クマが言った。明日ものがつくれる保証はもうないよ。誰かが禁じたり自然が奪ったりするよ。次に会える保証はもうないよ。だからいまできることのすべてをするよ。僕がどんなに駄目でも季節がどんなに厳しくても関係ないよ。僕は僕にしかできないやり方で、きみのきもちにひと目でも会いに行くよ。‬

あんたのロマンティックな誤解で。

あんたのロマンティックな誤解で。



‪#お洒落なオカマのキツネ が子ぐまに言った。誰かが言ってわ。映画に評価なんてない、それぞれの解釈だけがあるって。正解なんて貧相なもんいらないわ。大勢の賛同もいらない。あんたのロマンティックな誤解を延々と聞かせて。そしてその誤解で世界を夏の蔦のように緑に翳らせて。‬

神様、俺の人生はどのジャンルの映画ですか。

神様、俺の人生はどのジャンルの映画ですか。

‪神様にきつねが聞いた。「おれの人生はどのジャンルの映画ですか?コメディ?悲劇?ラブストーリー?ミステリー?」神様が答えた。「カムバック映画」。‬

神様はあらかじめ2つの世界を与えた。

神様はあらかじめ2つの世界を与えた。



もうおしまいだ。キツネは思った。神様が言った。やれやれ。私はお前たちにあらかじめ2つの世界を与えたのに、どうしてひとつの世界しか生きない?お前のもうひとつの世界では、ひんやりした高原の花園が花盛りだというのに。2つの世界をしっかり生きなさい。言葉とうたという鍵で行き来しながら。

本とCD発送しております。

本とCD発送しております。



‪本とCDをオーダーいただいている方、本日発送させていただきました。ちがやカフェで入魂の宛名書きしていたら、ちがやさんがアイス出してくれました。オーダー分の製本は現在あと25冊。ありがとうございますね。いま心を込めておりますのでしばしお待ちくださいませ。‬