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短いおはなし7

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2018年6月の記事一覧

本なんて読みたくない時に。

本なんて読みたくない時に。



疲れちゃったな、うさぎの女の子が言った。なにも響かないな。口内炎治らないな。本なんて読みたくない。本なんて読みたくない時に読む本が欲しいな。呪術が強くかかっていて、わたしの痛みを無にしてくれる薬草みたいな本。あきれるほど夢見がちなひとが自分だけを信じてつくった、そんな本ないかな。

軒先の薔薇。風の夜に生まれるともだち。

軒先の薔薇。風の夜に生まれるともだち。



なにもうまくいかないな、ぜんぶ自分のせいだな、とキツネは思った。いつになったらおれは自分のことを好きになれるんだろう。キツネはペグをまわしチューニングしてきれいなコードを探してうたを作った。軒先の薔薇、風の夜に生まれるともだち。といううた。キツネはその軒先で身をまるめて眠った。

1伝える努力を200せなあかん。

1伝える努力を200せなあかん。



‪大阪のおばちゃんねこが階段をのぼりながら言った。ま、あれやな、あんたみたいなもんが、七転八倒もせず、なにかいただこうなんておこがましいと思うやろ。ペラいプライド捨てて何度でも膝をついて向き合わなあかん。1伝える努力を200せなあかん。失敗の庭にだけ花は咲くで。そしたらそうゆうことで。‬

雨の中で薫るたくらみ。

雨の中で薫るたくらみ。



キツネはいつもひとりだし、それを望んでいたけれど、こっそり会う秘密のともだちがいた。そのともだちと会うともっと遠くへいける気がした。見たこともないものを見れる気がした。そのともだちと次のたくらみを話していると心身の痛みが消えた。夜の中で次のたくらみが薫りながら雨に濡れていた。

BOOKS AND PRINTS様に4度目の納品。

BOOKS AND PRINTS様に4度目の納品。



melancolia storytelling
眠る前になでる本。
光に透ける魔法付き。

浜松BOOKS AND PRINTS様
完売につき4度目の納品
させていただきました。

よろしくおねがいいたします。
※写真はイメージです。

夜の花屋。

夜の花屋。



闇の深い夜。男は、ここはまるで魂の暗がりのようだと思った。ふと遠くに灯の揺らめきが見えた。近づくと花屋だった。女主人が言った。いらっしゃい。夜だけ店を開けてるの。蝋燭を灯して。朝になれば消えてなくなるの。あなたの魂の暗がりにだけこの花屋はあるの。

嘘じゃないか。

嘘じゃないか。

世の中が言った。あんたはきれいじゃない。現実もきれいじゃない。あんたのうたも写真もきれいごとだろ。嘘じゃないか。クマが答えた。そうだね。そう言ったまま黙った。夜が来て深い闇がクマを襲い、朝が来て現実がクマを襲った。クマは手探りで薬を探すように美しいうたを探し、正気を保とうとした。

コトリ花店さんで夏至のお祝いライブ。

コトリ花店さんで夏至のお祝いライブ。



ゲリラという言葉が似合わないコトリ花店さんで、あたたかいみなさんと庭のひとたちと夏至のお祝いライブ。参加させていただいてうれしい。こんなこと起こるのか人生。

コトリ花店×un jour×melancolia storytelling
花屋さんの庭先で、素敵な蝋燭作家さんの蝋燭の側で、夏至の日にサプライズライブ。うれしすぎる。この日のためにつくった夏至祭の燭台といううた歌った。燭台も素晴ら

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見ていてください。

見ていてください。



‪神様から電話があった。キツネが言った。はい。立派になろうとすると病気になるからやめました。自分のだめなとこ、理不尽な現実、はい、わかってます。絶賛取り組み中です。あきらめません。あきらめない、って決めてます。美しいものを夢みることもやめません。何も要りません。見ていてください。‬

嫌なことの方が多い。

嫌なことの方が多い。



‪キツネが言った。ある知り合いの作品を見ると、打ちのめされて、あせる。自分なんて必要ないと感じる。嫌な気持ちにもなる、好きじゃないんじゃないかと思う。もう見ないほうがいいんじゃないかと思う。クマが言った。いい友達がいて良かったね。‬

予告2

予告2



仮サンプル版ができた。ものすごく良い。まだまだ試練はあるだろうけど、ひとまず、ものすごく良い。予告ポスターは無数につくりたい。これはフェリーニの「ローマ」に敬意を表して。

アジサイランプ。

アジサイランプ。



パチ。6月になったので神様がアジサイランプを灯した。神様はランプの下で物語を書いた。困難と継続と成長についての物語。青紫のインクで書いた。つらい物語だった。神様は泣きながら書いた。ねこが神様の膝に乗り神様をなぐさめた。

間違いだらけ無駄だらけの美しくて豊かな人生を。

間違いだらけ無駄だらけの美しくて豊かな人生を。



反省して改善すべきことは多々ある。自分がいやになる。んだけど、それで疲れて縮んで余計いやになってるのもあれなので、改善とかしながら、もう一方で理屈や常識や安定や効率、全部無視で、感情全開でやりたいことをすべてやる。間違いだらけ無駄だらけの美しくて豊かな人生を静かに選ぶ。著者近影。