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【入浴日記】「己を語る詠」

私の名前は或樹木
苗字との画数から決めたらしいが
詳しい事は二、三度聞いたけど
画数以外は覚えてないな。

私は極めつけのの貧乏人
陥らない術もあったが、
知るのが余りにも遅すぎたね
あの四年間は色々な意味で
良い経験だったなぁ。

私は借金に追われて毎月を送る

親父から借りた引越の初期費用
調子に乗っていたクレジットカード
お袋から利子をつけるくらいならと
四年間通わせてもらった大学費
そのお袋と火種に燃料をぶっかけ合う大喧嘩で
売り言葉に買い言葉で叩きつけた利子

諸々合わせて千と百万円くらいかな。

私の渾名は限界ヲタク
推しに対しての情熱は振り切っている

-狂喜乱舞踊り叫べ
爪痕残せこの時に-

今スピーカーから流れている曲の歌詞

ヴォーカリストの絶叫
創作キャラクターの尊さ
推しの煌めきと美しさ
時には囀りが咆哮と化す程
青い鳥では狂っているね。

私は病人
昔から予兆はあったんだよ。

小学生の時から家に居たくなくて
県境を跨ぐ家出をやらかして
全校の先生生徒に連絡網が流れ
大迷惑をかけた事があったなぁ。

中学校の時、全てが嫌になって
左腕に鋏を当てたこともあった
母校の居場所を失い
家庭でも大喧嘩の毎日
いつしか隣の旧友達と
馬鹿やってるのが楽しくなったんだ。

高校生の時はそれどころではなかった
鬼軍曹率いる部隊を
大将として引っ張るのに必死だったから
最後の試合が終わった時の涙
自分に対する栄光の涙だったよ。

大学生になって、家を出て寮に入った
同級生と、後輩と、朋輩と出会った
そしてあの娘と出会って
幸せな時を過ごし、苦痛の時を過ごし
体重が半分以下まで下がったことがあった
もがいて、もがいて、
軌道修正に成功して幸せになった。

社会人になって、あの娘と片田舎に住んだ
社会人二年目、採用試験に受かった
そして採用されて二年目の冬
身体が思うように動かなくなった
呼吸は乱れ、身体は重く
心は曇天の真っ只中
いつ消えてもいい、消えたい
そう思って日々を送っていた。

そこに現れた唐辛子
ヌンチャクで雨雲を吹き飛ばす彼は
私にとっての太陽だった
そんな彼は今、気持ちよさそうに
軽い鼾をかいて眠っている。

今の私は一人暮らし
七年近い月日は長くてあっという間
終わりを告げたのは私
涙を流したのは二人
離れてみると、案外干渉しない
それもまた、一期一会だね。

私はとても恵まれている。

素敵で尊い推し
居心地の良い家
支えてくれる友
三人の救いの光
癒しのあざらし

私はよく「寂しいね」と言われる
私はそうは思わない
己は己が一番良く知る
己が寂しいと思った時に
初めて寂しくなるんだよ
手前等が勝手に決める事じゃねぇ。

朝お風呂に使って
アヒルさんと目を合わせて
過去と現在を振り返る
後悔の無い散り際を迎えたい
その為に後悔しても良い
最期のひとときに、
「良い人生だった」
と言いながら
紙煙草を吸い込んで
最後の雑念を
吐き出して散りたいね。

私が足でリズムを刻むから
波に揺られて楽しそうだね
目を合わせてもらうのに
少し時間がかかっちゃったね
いつもありがとう、アヒルさん。

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