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【SNSマーケのよくある誤解】"映えない"からSNSに向いていない?

「うちのビジネスでは、SNS映えするようなキレイな写真は撮れないから、SNSには向いていないんじゃないか」
こんな言葉を聞くことがしばしばあります。

2017年の流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれたこともあって、「映え」という言葉は誰もが良く知るものとなりました。その一方で、SNSについての固定観念もこのころ生まれたように思います。

「"映え"る写真=華やかでオシャレな写真」がSNSでは支持される

これは完全に誤りとは言い切れませんが、ちょっと違和感のある言葉です。
私がこの言葉に感じる2つの違和感について書いてみようと思います。

SNSによって"映える"写真は違う

まず感じる違和感は、「SNSでは」と一括りにしてしまっているところ。

Twitter、Instagram、Facebook、TikTok…、これらはSNSの文脈で頻繫に登場しますが、それぞれ個性は全く異なっていて、支持される投稿も違います。

たとえばTwitterでは、全然"映えて"いない投稿の方が、逆に伸びる傾向にあります。

1.8万回もリツイートされた、キングジムさんのこのツイート。

写真がちょっと暗いし、背景にオフィスの風景が映り込んでいます。
スマホでパシャっと撮って、ササっとツイートしたような雰囲気が感じられますね。
いわゆる"キレイな写真"ではありません。

しかし、テプラ(ラベルが作れるキングジム製品)でプリン容器に貼られた、「お前のじゃない」という文字の強いインパクト、そして(これで安心だ)というセンスある文章が秀逸です。

あるいは3.4万回もリツイートされたこちらのツイート。

街中の店舗外観を撮影した、なんの変哲もない写真です。
全然悪い意味じゃないんですが、店構えもおしゃれではなく、普通のビルの1階に入っている、普通のお店って感じです。映り込んでいる自販機がリアル。

しかし「ゴリラによる人間のためのバナナジュース」という店名と、店が閉まっていたことを「今日はゴリラ居なかった」と表現するところは絶妙です。

これら2つのバズツイートに共通するのは、「誰かがさっき撮影したようなリアルさ」と、「投稿本文と写真に一貫性があること」

これらの写真が、もしInstagramで投稿されていたとしたらあまり伸びなかったでしょう。

Twitterでは「キレイな写真」よりも、「リアル感」のほうが重要であると分かります。素人っぽい写真のほうが、Twitter的な”映える"写真なのかもしれません。

Instagramで支持されるのは「キレイな写真」ではない

もう一つの違和感は、"映え"=キレイな写真 という考え方です。

恐らく多くの人が「Instagramはビジュアル重視のSNS」だと認識していると思います。これは私もその通りだと思います。

しかしビジュアルの内容には、今大きな変化が見られます。
Instagramといえばキレイな写真、というのはもはや過去のものです。

「インスタ映え」が流行語大賞に選ばれた2017年。このころのInstagram投稿のイメージと言えば、

・専用アプリで目を強調した自撮り写真
・カラフルに盛り付けられた料理
・ナイトプール
・フォト専用スポット

など…。カラフルで華やかで、タイムラインでぱっと目を引くような「非日常感」のある投稿が、Instagramで支持されるんだというイメージがあったと思います。

しかし今インスタで支持されているのは、そんな完成された投稿ばかりではありません。
たとえば#スタバカスタム のハッシュタグを見てみると…

#スタバカスタム

文字ばっかりです!!!!

どれもキレイな写真ではあるんですが、写真で勝負!って感じではありません。
どちらかというと、プレゼン資料の1枚のような印象…?

こういった文字入れされた画像は、2017年ごろから増えてきて、最近は文字入れするのが主流といってもいいくらいの状況です

なぜ文字入れ画像の投稿が主流になってきたのか?
理由は大きく分けて2つ。ユーザー心理に合っていることと、Instagramのアルゴリズムが関係していると思われます。

もともとInstagramは「情報収集のため」に使う人が多いSNSです。
良いモノを探すときには、もはやGoogle検索ではなく、「ハッシュタグ検索」です。

たとえば女友達と表参道に出かけるため、素敵なカフェの情報を知りたい時。まずはInstagram内で「#表参道カフェ」などハッシュタグ検索し、良さそうな投稿を見つけてから食べログで検索…といった具合です。

そんな時、文字入れ画像なら、ひと目で内容が分かります。
欲しい情報が載っていそうな投稿かどうか判断しやすいく、ずらっと並んだ画像の中では、ついクリックしたくなります。

また、良い情報を見つけたら、あとから見返すために、投稿を「保存」しておきます。文字入れ画像なら情報がまとまっていて見やすいので、保存される数が伸びやすいのです。

そして保存数が多い投稿ほど、Instagramの発見タブ(個人の趣向に合わせたオススメ投稿が表示される箇所)に掲載されやすくなります。
つまり、文字入れ投稿は発見タブに掲載されやすいのです。

「ユーザーごとに最適なオススメ投稿」を表示するInstagramの仕組みも、文字入れ画像が増えた要因の一つと考えられます。

Instagramでは投稿のビジュアルが大切です。しかしそれは必ずしもキレイな写真を投稿すべきという意味ではありません。

ユーザーも、Instagramも、「写真自体の美しさ」より、「その写真は有用かどうか」で良し悪しを判断しています。
だからInstagramでは「サムネイルで興味を惹くビジュアル」が重要なのです。

結局映えって何なのか?

結局、SNSで受けるのは「映える写真=キレイな写真」だけではありません。

・リアル感のある写真が伸びるTwitter
・サムネイルで興味を惹く投稿が伸びるInstagram

など、SNSによって、支持されやすい投稿はさまざまです。

また、人によってどのSNSが向いているかが違うこともあります。
Instagramはうまくいかなかったけど、Twitterを始めたらセンスを発揮!といった場合もあれば、Instagramでは数万人のフォロワーがいるけど、Twitterでは全然…なんてケースもざらです。

SNSによって、支持される投稿、求められるコミュニケーションは異なります。
SNSとすべて一括りにせず、利用したいSNSごとのトレンドをしっかりつかむ投稿が、2020年の"映え"といえるのではないでしょうか。


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