折り紙の可能性を広げる「折り紙プロダクション」
起業家の卵のアイディアを伝えるメディア「名刺代わり」。第一弾は、折り紙の魅力を伝えるために活動するれなくまさんこと、くまざわれなさんを紹介します。
多くの大人にとって「子どものおもちゃ」程度の認識しかない折り紙に、いったいどんな魅力が隠されているのか。れなくまさんが折り紙で起業しようと考えたストーリーと共にお届けします。
企業と折り紙作家のミスマッチを防ぎたい
ーまずは、れなくまさんが実現したいアイディアを聞かせてください。
私のビジョンは「折り紙作家たちのポテンシャルが認知されること」です。折り紙は今も次々に新しい折り方が考案されていますが、その折り方を創造しているのが折り紙作家の方たち。彼らの手にかかれば、どんなものでも折り紙で再現でき、中には100工程以上を要する複雑な作品もあります。その魅力を世の中に広げるのが私のミッションです。
そのために考えているのが、折り紙作家さんと企業のマッチング。現在もノベルティやイベントのコンテンツとして折り紙を活用している企業はいますが、その数は決して多くありません。より多くの企業に折り紙を活用してもらうことで、それだけ折り紙の魅力が広がると考えています。
ー現状は企業と折り紙作家さんたちのマッチングに、何か課題があるのでしょうか。
少なからずミスマッチが起きていると感じます。折り紙作家さんたちには、それぞれ得意なジャンルがあって、こども向けの簡単な作品が得意な人もいれば、100工程以上の複雑な作品が得意な人もいます。生物を作るのが得意な人もいれば、無機物を作るのが得意な人もいるのです。
企業のニーズと、折り紙作家さんの得意ジャンルがずれていると、作家さんのポテンシャルが100%発揮されません。また、優れた作家さんやニーズに合う作家さんが企業の目に触れずに埋もれているのももったいなく感じていて。そのようなミスマッチを防ぐために、折り紙のプロダクションを作り、企業の課題にマッチした作家さんと共に解決していきたいと思います。
ーなぜ、れなくまさんのアイディアでミスマッチを防げるのか教えてください。
企業と作家さんのミスマッチが起きるのは、企業が一人もしくは少数の作家さんしか知らないからです。他に作家さんを知らなければ、企業のニーズと作家さんの特性が合わなくても、その作家さんに依頼するしかありません。
もしも折り紙のプロダクションがあれば、私が企業のニーズをヒアリングし、マッチした折り紙作家さんを紹介して、プロジェクトのディレクションまで行えます。折り紙作家さんにとっては創作に集中できますし、企業にとってもよりよいアウトプット出してもらえるので双方にメリットを提供できるはずです。
ーノベルティやコンテンツの活用以外に、折り紙で企業のどのような課題を解決できるのでしょうか。
一つは「待ち時間」を解消できます。たとえば、待合室のようなスペースに折り紙があれば、遊んで待ってもらえるため満足度が高められるはずです。折り紙なら、年齢に関係なく安心して遊ばせられますし、プラスチックを使わないためSDG'sの観点でも企業イメージを損ないません。
また、あまり知られていませんが、近年は様々な産業で折り紙の「折り方」が注目されています。ファッションや医療、宇宙産業に至るまで、折り紙の知識が活用されているのです。たとえば地図などに使われている「ミウラ折り」は、衛星の太陽光パネルをコンパクトに収納・展開するために採用されました。
今後、様々な業界で折り紙の技術が使われるよう、多くの方に折り紙の可能性を発信していきたいと思います。
「作家の名前が残らない問題」が起業の原点に
ーなぜ折り紙で起業しようと思ったのか聞かせてください。
栃木県上三川町のまちづくりに携わったのがきっかけです。上三川町は日本における創作折り紙の第一人者・吉澤章氏の出生地で、折り紙を使った町おこしに力を入れています。それまで折り紙に興味のなかった私も、町おこしに協力していくうちに、自然と折り紙に触れる機会が増えていきました。
町おこしでは、折り紙のワークショップが定期的に開かれていたのですが、そこで私が気になったのが「著作権」です。間違って法律に抵触すれば自治体に迷惑がかかると思い、折り紙に関する著作権について調べ始めました。
そこで驚いたのが、折り紙の著作権は「あってないようなもの」だったこと。素晴らしい折り紙を創作し、それが様々の場で披露されたとしても、作家さんには収入が入らないどころか、誰が考えたものなのか知ってもらうこともできません。その時に覚えた違和感が、起業の原点でした。
ー「あってないようなもの」とはどういうことでしょうか。
厳密には、折り方を示した「折り図」には著作権が認められています。しかし、著作権をとるハードルが高い上に、折り図通りに折った様子を撮影して公開しても、著作権侵害には当たらないのです。カメラマンをしている私にとって、自分の作品が自分自身と切り離されて広められてしまっているのが気になってしまって。
誤解しないでほしいのは、全ての折り紙作家さんたちは不満を持っているわけではありません。ただ、リスペクトしている折り紙作家さんたちの存在が知られないままでいる現状に、私が我慢できなかったのです。作家さんたちにはおせっかいと思われるかもしれませんが、もっと世の中に折り紙の可能性を広く知ってもらうために活動を始めました。
ー事業の現状についても教えてください。
現在は、折り紙作家さんたちをまとめた「タレント名鑑」のようなもの作っています。少ないながらも、10名ほどの折り紙作家さんに賛同していただき、小さな「折り紙作家名鑑」を作りました。それぞれの作家さんが、どんな作品を作っているのか分かるように、作品の写真をファイルにまとめたものです。
今後は、掲載する作家さんの数を増やしていくと同時に、ユースケースも増やしていかなければなりません。企業の課題を聞きながら、折り紙にどんな可能性があるのか私自身も模索していきたいと思っています。
そのためにも、ノベルティのネタ不足やイベントなどでのコンテンツに困っている企業は、ぜひ話を聞かせてもらえると嬉しいです。
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