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不機嫌出したりしまったり。

先週末くらいから体調を崩してしまってじっとしています。
投稿したという事実が重要なのであって大事なのは内容ではないよう・・・

この文章は、わたしが10年前の2009年3月から一年間、中国に留学していた頃の回顧エッセイです。毎週火曜19時に更新しています。

帰国も目前に控えた12月。市場はどこも春節(旧正月)の準備でにぎわっている。2010年の干支は寅年。これは日本も中国もかわらない。

春節のお飾りはどれも派手できらきらしていてこれぞ中国!という感じで可愛い。若くて浅はかだったわたしたちは、帰った時のお土産は絶対これがいいよね、といってこぞって買いあさっていた。

市場でのお買い物は値切りが基本。ふっかけてくるのが当たり前だからだ。何件目だろうか。若いお姐さんのお店でのことである。

「うちの商品を値切るとは何事だ!!二度と来るな!!」

値切る金額が大きすぎたからか、腹の虫の居所が悪かったからなのか、火山が爆発したかのように怒り出してしまったのだ!

他のお店の人も止めに入るくらいの怒りようで、もうびっくりしてしまってわたしたちは逃げるようにその場を離れた。

といっても中国で値切って怒られることは日常茶飯事。さすがに止めに入られたときは驚いたけれど。

すごく偏見というか肌感覚なのだけれど、中国で出会ったタクシーの運転手とかお店の人は皆、割とすぐ怒るのだけど後に引きずらないタイプが多いのだ。わたしは怒っています!お前の言うことが気にいらない!と表現して発散。

だけど実は不機嫌はそこでおしまい。後には引きずらない。

自分の「いやだなあ」という気持ちを押し込めてにこにこ機嫌のいいふりをしてしまうわたしにとって、それは羨ましくもあった。家に帰ってやっぱり納得がいかないな・・・とぐちぐち悩んでしまうから。不機嫌をうまく発散できずに引きずってしまうのである。

そんなわたしと違ってカラッとしている中国人だもの、もう機嫌も直っているよね!気を取り直しやっぱりほしいということになって戻ってみると、

2、3件先からでも、怒っているのが見える。めちゃくちゃ引きずってる!

いやこれ無理でしょう。
そう思ったのだけれど一緒にいた子がどうしても欲しいというのでしぶしぶ再度交渉にでる。

「とっても精巧に作られているの!あんたたちに安くなんて絶対しない」

どうしよう・・・そう思ったときである。

「でもこれ裏にはなにも細工がないけど」

表面こそ細かい細工だけど友だちがくるっと裏返したら、ただのボール紙。

「あれ?本当だ。ごめんね、いいよ3枚50元で」

今までの不機嫌はどこへやら、それをみたお姐さんもくるっと表情をかえてあっという間に交渉成立だ。

えー!さっきまであんなに怒っていたじゃん!

自分の不機嫌を隠して、後でやっぱり納得できないとぐちぐちしてしまうくせに、一度不機嫌を表に出してしまったらなかなか元に戻せないわたしにとって、自分の非を認めたときのその潔さは、やっぱり羨ましかった。

このくらい自分の不機嫌を簡単に出したり引っ込めたり、できたらいいのにな。

あまりの機嫌の温度差にお店の人とうちとけてしまって、結局予定よりもたくさん購入してしまったのだった。

む。実は商売上手、なのかもしれない。

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