「ZOOMと全く同じ機能をwordpressで実装した時の概算見積もり下さい」発言にできるだけツッコミを入れてみた
出社したら「ZOOMと全く同じ機能をwordpressで実装した時の概算見積もり下さい」って怪文書が置いてあったので会社爆破した
というツイートがバズっていました。
この発言はかなりツッコミどころが多く、個人的にも一つ一つ突っ込むくらいなら爆破したほうがいいなと思ったのでこの方の対応は正解だと思っています(?)
とはいえ、ちょっと思考実験として面白い題材かなとも感じたため、個人的にこの怪文書にツッコミを入れていこうと思います。
関西弁でガッツリキツめの言い方で書いていくため、関西弁に耐性のある方のみご覧ください。太字の見出しになっているところがツッコミです。
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まずはwordpressっていう手段を指定してきているとこからツッコんでいくで〜!
なんでwordpressやねん!!
まずはこれや!wordpressって指定さえなければこのツイートはそんなにバズってないとすら思うねん。「ZOOMと全く同じ機能を実装した時の概算見積もり下さい」・・・うん。これやと並の失言やな。
なんでwordpressって指定されなあかんねん。ええか、この怪文書を書いたのはエンジニアではないと思うけども、悪いこと言わんから
実装方法まで指定するな!!
どう作るかを考えるのはエンジニアの仕事や。
wordpressで作ればコストを削減できるみたいな固定観念があるかもしれんけど、そもそも
wordpressでZOOMと同じ機能を作れるならZOOM社がZOOMをwordpressで開発してるやろ。
悪いこと言わんから実装方法まで言及するのはやめたほうがええ。誰も幸せにならん。
別の例えを出すとしたら、最近PWAが話題だから自社サイトみんなPWAにしようとかね。
ほんとにwordpressでZOOMが作れるならプロのエンジニアならこぞってwordpressでZOOMをとっくの昔に作って遊んでるやろうし、PWAにするのが絶対解なら世の中のサイトみんなPWAになっているっちゅうねん。
技術選定の判断はプロに任せなはれ。
料理に例えたら、せっかくプロの料理人を呼んできて作ってもらうのに、材料もレシピもこっちが指定して料理してもらうようなもんやで。
もったいないやろ。自分が料理人やったら意味わからんわ。
あんたらは
「なぜそのサービスを作ることで自社が差別化できるのか」
「具体的にどういった機能でユーザーに価値を提供できるのか」
「どれくらいの年代層、リテラシーのユーザーに使ってもらうのか」
といった事業戦略的価値、ユーザーにとっての価値、ユーザー像をもっと解像度高くしていかなあかん。
そうせんとイタリアン料理店なのに高野豆腐が出てくるみたいにチグハグになるで。この例えはちょっと微妙やな。
そう考えると改めて思うんやけど、
ZOOMと全く同じ機能ってなんや!!!
全くってなんや全くて。ほんならZOOMでええやないかい。なんでわざわざ内製する必要があるねん。依頼するということはZOOMじゃダメな理由があるんやろうけども、ほな
顧客がZOOMを使わない理由を説明せんかい!!
開発したとして顧客に提供する時に
これならZOOMでもいいですねって言われたらどうするねん!
多分このツイートに現れてないだけで実際の現場では何らかの説明はあったと思いたいけども。
考えれば考えるほど、全く同じ機能ってどういうことなんやろな。機能って何をもって機能と言っているのかもあるけども、非機能要件まで含めた広義の機能として考えたら世界で数億人が同時に使っても動作が重くならない程度のインフラ基盤、セキュリティ対策も組んどけってことですかね。
ZOOM買い取った方が早いし安いやろな!
デザインも全く同じで組むってことやんね?
wordpressでやるくらいだからデザインに費用かける気もないやろし。ほなデザインそのままロゴとドメインだけ変えて作りましょか〜ってなるな。
さすがに丸パクリは問題ちゃう?
こういうことをエンジニアが回答するとな、「いや、インフラやセキュリティはほどほどでいいよ。デザインも真似しなくて適当で」とか言うんやろ。
責任取れるんかそんな姿勢で!
インフラとセキュリティを手抜くってやばいで。まあそういうことはエンジニアが考えるべきことではあるから、もう少しどういうユースケースで使われるツールになるのかとか、一般公開するのかしないのか(特定企業にクローズドで提供するなら利用者数のスパイクは読めなくてもいいからな)とか教えてもらったらなんとかなるやろうけども。
にしてもZOOMと全く同じ機能という表現を具体的にしてほしいと思うわ。
ほんまに全く同じ機能でよければZOOMでええからな。何回でも言うけど。
さて、ワシは文句ばかり言って改善案を提示しないのは嫌やから、仮に俺がIT知識がそこまでないPMで、役員から「うちもZOOMみたいなツール出して売上伸ばそう」みたいな支離滅裂要件降ってきたとしてエンジニアメンバーに話を持ちかけないといけない、という場面で何いうか考えてみたで。
ワシならこう言うな
まずはどういったユーザーが利用するのか明言した上で、初期段階で必要と確定している機能、そして確定していないとしても今後必要になるかも知れない機能を確実にチラつかせるんや。そうなったらエンジニアとしても、技術選定をするときに企画側とメリデメの交渉ができるねん。この方法で開発したら1ヶ月でいけますけど□□は不可能になっちゃいますとかな。
ではここで改めてツッコミを。
将来的な機能の拡張や運用の見立てについても言及せんかい!
次も重要なんやけど、普通に考えたらWebサイトを開発する技術とZOOM等のビデオ通話ツールを開発する技術は違っていても不思議やないんやから、その点に言及することやな。
冒頭の怪文書でwordpressと指定しているということは舞台となった企業はWeb事業の会社である可能性が高い。となると、最初に考えるべきは自社のアセットで開発可能なプロダクトかどうかや。
怪文書はエンジニアやったらなんでも開発できると思っている人間の発言やろうけど、それが問題やな。エンジニアと一口に言っても、Webアプリケーションを開発するスキルと、工場で動く機会に組み込みのプログラムを書くスキルはほとんど別物や。機械学習だってそうやな。
それぞれ一本に絞って食っていってるプロがそれぞれいる業界なんやから、簡単に横断できると思うほうが間違いや。
鹿島アントラーズにいきなりプロ野球リーグに参加させるようなもんや。もちろん基礎体力や走力はあるやろうけどもプロレベルで野球することはさすがに無理やろ?そういうことや。
ではここでまたツッコミを。
Web技術とビデオ通話ツールの技術が異なる可能性くらい考慮せい!
ほなどうしたらええんやって話なんやけど、ここでのワシの回答は下記のセリフや。
ビデオ通話ツールの場合、TwilioやWherebyがAPIを提供していると聞いたことがあるし、APIが提供されているならWebエンジニアでも操作はできる。しかし、逆に言えばそれぞれのAPIで提供される機能に、開発されるプロダクトが制限されるということでもあり、その点をハッキリさせてほしいと伝えるんやな。
そして、その気になれば追加で人員も採用しますといった選択肢を提供するのが大事や。鹿島アントラーズがプロ野球リーグに殴り込んだ場合、多分、必要最低限エースで4番が1人でもいたら走力を駆使してロースコア勝負に持ち込めるんじゃないかと思うんやけど、そういったピースを開発側に提示させる選択肢をもたせる。
例えばWebエンジニアが5人いたとしても、5人のビデオ通話ツール開発素人で開発するよりも、3人を受託開発等のお金稼ぎに回して、残りの2人と外部から採用した経験者1名で開発するほうが遥かに効率的ということは起きうる。受託開発したお金で経験者を雇うということやな。自社サービスの企業だったらCV向上に全振りした施策を振るとかで採算性をなんとか担保するように知恵を絞れたらええなと思う。
重要なのは未経験者5人よりも経験者1名のほうが仕事も早ければ成果物のクオリティが高いなんてことはよくあるし、それが同じエンジニアというカテゴリ内でも起こりうるという共通理解や。
そりゃあ現実問題そんな人員配置できへんわって言われるかもしれんけども、
その程度の配置換えをする覚悟がないならいつまでも今のビジネスの延長線上で事業をやればよろしい。
逆に、エンジニアのほうも、自分のスキルセットと異なる案件を振られそうになっても調査期間を提示するなどめげずに対応するんも必要やなと思うな。ワシも肝に銘じておくわ。
自分が扱っている技術だけやなくて、周辺技術についてもキャッチアップ程度はしておいて、なにか案件が起こったときに危惧すべきところくらいは明言できるようになりたいな。ならなくちゃ。絶対なってやる。
お互い無知は恥ずべきことやないし、無知やと自覚してからがチームプレイの始まりやからな。
なんかええ感じにしめくろうとしたけどうまくいったかわからん。
ほなこのへんで。
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