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猫のジャイアン

 たまに散歩に行く近所の公園で、偶然、地域猫活動のボランティアをしている人達と知り合った。猫カフェのライブ配信を毎日見ているほど猫好きの私は、画面内ではなくリアル猫と身近に会えるようになり、とても嬉しい。

 ボランティアさんから聞いた話によると、この公園では今、6匹の猫たちが生活しているらしい。何も用事のなかった休日に、じっくり猫たちを観察してみた。

 人への警戒心が強くて、知らない人が近づくと逃げてしまう猫もいる。おとなしくて人慣れしていて、こちらに近寄ってくる猫もいる。

 6匹のうち1匹は、とても体が大きくて性格も自己中心的。ボランティアさんは「ジャイアンのような子だよ」と言っていた。おとなしい猫たちに餌をあげながら日向ぼっこをしていると、横から「シャー」と威嚇して、自分にも餌をよこせと主張する。

 元飼い猫で、捨てられてから日の浅い猫はとても甘えん坊。撫でてもらいたいようで、スリスリと近寄ってくる。この子を撫でていると、またジャイアンが近寄ってきて、通路をふさぐようにデーンと横になった。でもジャイアンは撫でようとすると、また「シャー」っと怒り出す。

 この様子を見て、人間とそっくりだなぁと、私は思わず笑ってしまった。構ってもらいたい、注目されたい、でも素直になれなくていつも怒っている。私が付き合うのに苦労していた元同僚と、まるで同じ行動だ。

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 帰宅後に「地域猫活動」について検索してみて、飼い主のいない猫たちの存在をめぐり、いろんな考えがあることを知った。地域には、猫が好きな人、嫌いな人、興味のない人、アレルギーなどで苦手な人、糞尿などで迷惑を被っている人、いろんな立場の住民がいる。

 日本動物愛護協会のサイトによると、「地域猫活動」とは、不妊・去勢手術によって望まれない命は作らない、作らせない、でも生命を受けている猫たちは、地域環境の中で出来るだけ快適に長生きできるように、猫と地域の共生を目指して活動すること。

 私は散歩に行く時に、猫に会えるのを楽しみにしているだけの人間。無責任な「エサやりさん」とならないように、ボランティアさん達に、この地域の方針をよく聞いておこうと思う。

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