2021/06/19; 遊び心

遊び心というものが大好きだ。何か作品を作る際、まじめにストイックにやるというのも大変素晴らしいことだが、終始ストイックに傾倒するとどこか味気ないものになってしまう。ここにちょうどいい塩梅 (これが難しいのだが) で遊び心を混ぜ込むと、温かい手触りの、より愛おしい作品となる。作品の持つ雰囲気を表情で表すとするなら、遊び心とはいわば笑顔だ。普段は堅苦しくても、時折見せる笑顔によってその人の魅力が引き立つのだ。

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遊び心の最たる例は、コミックスのおまけのページである。本編のものっすごいシリアス展開を読み切って、この後どうなる??!と興奮する中、訪れるおまけページ。こんなすごい物語を作る作者も自分と同じ人間なんだと実感し、親近感が湧く。ひいては作品への愛が強まる。おまけページが人気獲得に果たす役割は大きい、と私は考えている。

というわけで、私はおまけページを本編と同じくらい楽しみにしている。だから完結した漫画が「完全版」などと装い新たにした時、大抵おまけページが割愛されることに憤りを隠せない。私が完全版を購入した作品「金色のガッシュ!!」、「鋼の錬金術師」、「ARIA」、全ておまけページがカットされていた。おまけページを無くして何が「完全版」か。

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遊び心とは、何事も面白く捉えようというポジティブな姿勢そのもので、創造力の源泉ではないかと思えてくる。

例えば遊び心の全くない世の中を想像してみる。その世界では、全てがマニュアル化された業務を、作業者が粛々とこなしている。小説や漫画はどんなものだろうか。きっと誰もが何とな〜く面白いと思うような、画一的な王道ストーリーばかりだろう。音楽も、スポーツも、全て色褪せて白黒に見える。つまらない世界である。

しかし今想像した世界が、私たちが生きるこの世界の本質である。自然な世界というものは、ただ摂理に従って、粛々と時間だけが過ぎるものなのだ。ここに人間が持つ遊び心が加わって初めて、新しい文化や解釈が生まれ、楽しいとか面白いとかそういう感情が湧き出してくる。少しでも楽しく生きようとする人間の遊び心が、新しいものを生み出す原動力になる。

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遊び心がすごい理由はもう1つある。それは「遊び心」という言葉の持つ強さだ。

この言葉はすごい。自分の行動の理由を問われた時、「遊び心だ。」と一言返すだけで、「コイツ、俺にはよく分からんけど情趣を解してやがる…」と相手に思わせ、納得させることができる。運が良ければ、「面白いヤツだな」と思われて勝手に一目置かれることもある。とりあえずマジックワード「遊び心だ。」を言っておけば大抵上手くいくのだ。

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遊び心を忘れずにこのnoteも書いていきたいな、と思いながら、6月19日の夜は更けていくのであった。

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