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『ラブひな』赤松健先生が語る、ラブコメの誕生と「週刊少年マガジン」におけるラブコメの隆盛

1959年創刊された、講談社による漫画雑誌「週刊少年マガジン」。昨年「ひよってるやついる?!」で日本中を席巻した『東京卍リベンジャーズ』やアニメ化を控えている『ブルーロック』など、まさに"少年"にふさわしいヒット連載作を抱える「週刊少年マガジン」だが、実は連載作の半分がラブコメになっていることをご存知だろうか?

はじめの一歩(森川ジョージ先生)
iコンタクト(伊賀大晃先生 / 月山可也先生)
青のミブロ(安田剛士先生)
あひるの空(日向武史先生)
💖甘神さんちの縁結び(内藤マーシー先生)
EDENS ZERO(真島ヒロ先生)
💖えるのわ!~恋愛弱者とペケ天使~(スズモトコウ先生)
炎炎ノ消防隊(大久保篤先生)
ガチアクタ(裏那圭先生 / 晏童秀吉先生)
💖カッコウの許嫁(吉河美希先生)
💖彼女、お借りします(宮島礼吏先生)
💖カノジョも彼女(ヒロユキ先生)
💖黒岩メダカに私の可愛いが通じない(久世蘭先生)
シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~(硬梨菜先生 / 不二涼介先生)
SECOND BREAK!!(稲木智宏先生)
戦隊大失格(春場ねぎ先生)
💖それでも歩は寄せてくる(山本崇一朗先生)
ダイヤのA actⅡ(寺嶋裕二先生)
💖男子高校生を養いたいお姉さんの話(英貴先生)
東京卍リベンジャーズ(和久井健先生)
💖化物語(西尾維新先生 / 大暮維人先生)
不滅のあなたへ(大今良時先生)
ブルーロック(金城宗幸先生 / ノ村優介先生)
💖女神のカフェテラス(瀬尾公治先生)
黙示録の四騎士(鈴木央先生)
*連載一覧はこちら

ラブコメ作品にはわかりやすく頭に「💖」を付けてみたが、実に25作品のうち10作品がラブコメ作品である。『化物語』はラブコメに分類して良かったのだろうか...。あと、私は『それでも歩は寄せてくる』『カノジョも彼女』が大好きです。とまぁ、私の余談は置いておいて。

『ラブひな』『魔法先生ネギま!』を代表作に持ち、ハーレムラブコメ作品の巨匠と言っても過言ではない赤松健先生がTwitterのスペースにて"「週刊少年マガジン」連載作の半分がラブコメになった理由"について語られていた。

こちらのスペースでは、「週刊少年マガジン」で『カノジョも彼女』を連載中のヒロユキ先生や『はじめの一歩』の森川ジョージ先生、同誌で『徒然チルドレン』を連載後、現在は『幸せカナコの殺し屋生活』『ぱちん娘。』を連載中の若林稔弥先生、『くちべた食堂』の梵辛先生、『こういうのがいい』の双龍先生がスピーカーとして登壇。今回のテーマである「週刊少年マガジン」の最新号発売1時間前にも関わらず、多くの漫画家さんやファンが集まり大いに盛り上がっていた。

本記事は、赤松健先生がスペースの前半で語られていた"ラブコメの誕生と「週刊少年マガジン」におけるラブコメ作品の隆盛"についてまとめたものだ。この機会にスペースの中で紹介されていた作品を読んでみて、今や一大ブームとなった「ラブコメ」の歴史を辿ってみてはいかがだろうか?

『あしたのジョー』『巨人の星』...スポーツ漫画大全盛期

1959年創刊された「週刊少年マガジン」は、ヤンキー、そしてスポーツ漫画の時代が長かったと赤松健先生は語る。同誌は『あしたのジョー』『巨人の星』によって大繁盛したものの、この2作品の連載終了と共に低迷機に陥ってしまう。

『翔んだカップル』『うる星やつら』『みゆき』...ラブコメ創世記

その後、柳沢きみお先生の『翔んだカップル』の登場によって、今やラブコメの基本である「三角関係」の物語が誕生する。

本作の登場によって、「週刊少年マガジン」は再び人気を取り戻すが、時を同じくして小学館の「週刊少年サンデー」でレジェンド・高橋留美子先生の『うる星やつら』、そしてその2年後に『めぞん一刻』の連載がスタートする。

加えて、あだち充先生の『みゆき』の登場により「romantic comedy」という和製英語から派生した「ラブコメ」という言葉(ジャンル)が定着したそうだ。

その後、1981年にあだち充先生の『タッチ』が連載開始したことをきっかけに「週刊少年サンデー」は"ラブコメのメッカ"となる。美少女が描ける漫画家さんはサンデーへ!という風潮も生まれる。

赤松健先生「ラブひなからマガジンはおかしくなった」

週刊少年サンデー」によって確立されたラブコメムーブは、集英社の「週刊少年ジャンプ」でも見られ、1984年に連載開始した『気まぐれオレンジロード』では今やラブコメに欠かせない三角関係の要素が強く見受けられる。

そして、いよいよ「週刊少年マガジン」にもラブコメの波がやってくる。1987年に『胸キュン刑事』、1989年に『彼女はデリケート!』など、赤松健先生曰く「アニメっぽい絵柄」のラブコメの連載がスタートする。

ヤンキー、そしてスポーツ漫画の時代が長かった「週刊少年マガジン」にやってきた黒船(ラブコメ)。その後、1992年に『BOYS BE・・・』の連載がスタート。

以降、本誌のラブコメといえば『BOYS BE・・・』の天下だったが、いよいよ1998年に赤松健先生の『ラブひな』が登場する。

『ラブひな』で描かれるのは、1人の男性が複数の女性から好かれる、またはアプローチされるいわゆる「ハーレム型ラブコメ」。赤松健先生曰く、ギャルゲーから輸入したと語るこの方式は「週刊少年マガジン」に革命を起こす。

当時、本誌には「表紙の中心には絶対男性キャラを描く!女性キャラはNG」という決まりがあったそうだが、『ラブひな』の登場によってこの決まりが崩されたそう。(すげえ)

その後、言わずもがな『ラブひな』は大ヒットを飛ばすのだが、赤松健先生は「ラブひなからマガジンはおかしくなった」と語る。

現在に続く、ラブコメ隆盛期

『ラブひな』に続くように、『School Rumble』や『ツバサ』など、従来の「週刊少年マガジン」では見かけなかったタイプの作品、あるいは漫画家さんが登場し始める。

2006年には、吉河美希先生が『ヤンキー君とメガネちゃん』の連載をスタートさせ、女性漫画家さんによるラブコメも登場するように。

現在は『カッコウの許嫁』を連載されています。

そして、「週刊少年マガジン」のラブコメを語る上で忘れてはいけない瀬尾公治先生の存在。『涼風』でお馴染みの瀬尾公治先生だが、その前に連載していた『CROSS OVER』の最後に描いたチアリーダーのキャラクターが人気になったことをきっかけに『涼風』が生まれたそう。

そんな『涼風』の登場によって『AKB49~恋愛禁止条例~』『五等分の花嫁』...と更なるラブコメ扇風が「週刊少年マガジン」に巻き起こり、現在の形に至るのだそう。

と、ここまでが週刊少年マガジン」の連載作の半分がラブコメになるまでの歴史である。

ラブコメの本質とは...?そして、ラブコメの隆盛によって「週刊少年マガジン」はどう変化していくのか...?気になる全容は、ぜひ赤松健先生のスペースを視聴してみてほしい。

最後に。赤松健先生・ヒロユキ先生・若林稔弥先生・梵辛先生・森川ジョージ先生・双龍先生、素晴らしい作品を生み出してくださり、そしてこのような貴重なトークをありがとうございました!

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