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#怪談牡丹燈籠 現代語訳

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三遊亭円朝の速記本『怪談牡丹燈籠』の口語文体を現代語訳しています。江戸の風に吹かれようではありませんか。
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記事一覧

【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第14話(全22話)

三遊亭円朝の傑作『怪談牡丹灯籠』の現代語訳です。この作品によって、言文一致運動が展開され…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第13話(全22話)

三遊亭円朝の傑作『怪談牡丹灯籠』の現代語訳です。もともとこの作品によって、言文一致運動が…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第12話(全22話)

三遊亭円朝の傑作『怪談牡丹灯籠』の現代語訳です。圓朝の語り自体が、ある種の叙述トリックに…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第11話(全22話)

十一 二十四日、飯島様はお泊り番でした。飯島の妾であるお國はただ寝ても覚めても、どうにか…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第10話(全22話)

十 さて、かの伴蔵は今年三十八歳、女房おみねは三十五歳、二人の貧乏所帯でしたが、萩原新三…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第9話(全22話)

はじめに蛇足 この『怪談牡丹灯籠』の記事をアップロードすると、必ずフォロワーが微減するの…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第8話(全22話)

八 萩原のうちで女の声がします。伴蔵が覗くと、びっくりして、ぞっと足元から頭まで総毛立ちました。何も言わず、白翁堂勇齋のところへ駆け込もうとしましたが、怖いから、まず自分のうちへ帰り、小さくなって寝ました。夜が明けるのを待ち、白翁堂のうちへやって参りました。 「先生、先生!」 「誰だのう?」 「伴蔵でごぜえやす」 「なんだのう?」 「先生、ちょっとここを開けてください」 「たいそう早く起きたのう。おめえには、めずらしい早起きだ。待て待て、今開けてやる」 勇齋は掛

【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第7話(全22話)

七 飯島家にては忠義の孝助が、お國と源次郎の悪だくみの一部始終を立ち聞きしてしまいました…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第6話(全22話)

六 萩原新三郎は、独りくよくよと、飯島のお嬢様のことばかり思いつめていました。そんな新三…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第5話(全22話)

五 話は替わります。飯島平左衞門は凛々しく、智慧に優れ、諸芸にたしなみ、とりわけ剣術は真…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第4話(全22話)

四 さて、萩原新三郎は山本志丈に連れられ、一緒に臥竜梅へ梅見に行き、その帰り際、かの飯島…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第3話(全22話)

三 さて、飯島様のお邸の方では、妾のお國が腹一杯のわがままを働くうちに、草履取りの孝助を…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第2話(全22話)

第1話はこちら。 二 さて、飯島平太郎様は、二十二歳のときに悪者を斬り殺しても、ちっとも…

佐藤芽衣
1年前
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【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第1話(全22話)

一 寛宝三年(西暦1743年)の四月十一日、まだ東京を江戸と申しました頃、湯島天神の社にて聖徳太子の御祭礼がございました。そのとき、たいそう参詣の人が出て大混雑を極めました。ここ、本郷三丁目には、藤村屋新兵衞という刀屋がございました。いい代物が並べられた店先をある一人のお侍が通りかかりました。そのお侍、年の頃は、二十一、二ぐらいに思われ、肌の色はあくまでも白く、眉毛は美しく、目元がきりっとして、少し癇癪持ちに見えます。鬢の毛をぐっと吊り上げて結わせ、立派な羽織に結構な袴に雪駄