『おかあさん』という呪いを解いた話
Twitterで『あたしおかあさんだから』という歌が話題になっていた。
歌詞の内容を要約すると、こうだ。
ーー
あたしは『おかあさん』だから、
オシャレも好きなことも、
色んなことを我慢して、
子どもために頑張るの。
だって、子どもが大好きだから。
ーー
たぶん、これが作詞者の『おかあさん』像なんだろう。
これを読んで、私は実母を思い出した。
毎日ご飯をつくり、家のことをやり、夕刊の新聞配達をしながら、畑仕事と牛の世話もこなす。
母親とはそう言うものだと思っていた。
私は未だに実母がどんなことを好きで、どんな趣味をもっていたのか知らない。
だからこそ、私は子どもを産んだ後、産後うつのようになった。
好きなこと、やりたいこと、全てを投げ出して家族のためになることをするべき。
家のことをする、子どもの世話をする、そのためだけのロボットになるしかない。
本気でそう思い込んだ。
絶望だった。死にたいくらいだ。
だって、好きなことをするために、田舎を飛び出したのだ。
会社が倒産して、給料が払われなくなって、仕事がなくなった時だって「絶対なんとかしてやる!」と生き抜いたのに、だ。
母親になるのって、こんなに絶望することなんだろうか。
本気でそう思った。
そのことを夫に話したら、めちゃめちゃに怒られた。
苦手な家事を手伝ってくれた。できる限りで育児を代わってくれた。
そして、私に好きなことをする時間をくれたのだ。
そうやって、私はなんとか呪いを解いた。
ぶり返すこともあったけど、その度に夫に怒られた。
叱ってくれる夫で本当によかったと思っている。
おかげで今は、本当に好きなことをしている。
二次創作だってしてるし、仕事の打ち合わせで遅くなる日もある。
先日の『鉱石展』だって、Twitterで見かけて、
私「ちょっとこれ行ってきたいんだけど」
夫「行ってくれば〜」
これだけのやりとりで、4時間後には現地にいたのだ。
私は『おかあさんだだから』好きなことしかしていない。
やりたい仕事をして、好きなものを作って、子どもを育てている。
全部が自分で、全部が好きなことだ。
たまに『おかあさんだから』を乗り越えても、押し付けてくる人もいる。
でも、人によって『おかあさん』のイメージは違う。
そんな人の話は聞かなくていい。聞き流していい。
どうせ無駄だから。
私の目標は、子どもが将来誰かに「君のお母さんは何が好きなの?」って聞かれたら、
「いっぱいありすぎてわかんない」
って答えてくれるような、そんな『おかあさん』になりたい。
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