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ツイッターで事実無根の誹謗中傷をしている例。ただし犯人は、アメリカ大統領

ツイッターやFacebookといったSNSにおける誹謗中傷に対する批判、危機感が高まっています。

そうしたなか、明らかに利用規約に反する中傷ツイートを効果的に取り締まることができていない運営のありかたにも批判が向けられています。

そうした運営のスタンスに対する踏み絵になりかねない事例が、アメリカで話題になっています。しかもツイートしたのはトランプ大統領本人です。

問題となっているのは、大統領が元下院議員でMSNBCの人気番組「モーニング・ジョー」のホストであるジョー・スカボロー氏に対して行ったツイートです。

このジョー・スカボロー氏が議員だった2001年に、彼のもとで働いていたLori Klausutisというインターンの女性が亡くなるという事件がありました。検死の結果、死因は心不全によって意識を失い倒れた際に頭部を負傷したせいだと断定され、事件性はないと結論がでています。

しかしトランプ大統領は自分に対して批判的なジョー・スカボロー氏を攻撃する目的で「実は女性は殺害されたのだ」「もっと捜査をするべきだ」という根拠のない陰謀論を2017年にもつぶやき、そしてここ最近でもつぶやいたのです。アメリカ大統領がです。

(ツイートの内容はあまりに品がないので引用しません)

今回、そのなくなった女性の夫だったTimothy Klausutis氏がツイッターCEOのJack Dorsey氏に書簡を公開したことで、ツイッターがどのように対応するのかが注目されています。

「トランプは、私の妻の思い出に対して手を出して、政治的な利益を得る目的でそれを捻じ曲げたのだ」と訴えるこの文章には、胸に迫るものがあります。

この手紙について著名なITジャーナリストのKara Swisher氏がオピニオン記事を書いており、Jack Dorseyはこのツイートを削除することで、虚偽や中傷に基づいた政治的ツイートに終止符を打つべきだと主張しています。

この議論には背景があって、大統領のような世界のリーダーは普通のユーザーと違って、多少脅迫的なツイートをしたとしても例外的に扱われることが2018年からツイッター自身によって発表されています。

しかしいかなるツイートをしても削除されないことを逆手にとって、トランプ大統領のツイートは過激さを増すばかりです。

また、最近は直接削除されないように他人の過激なツイートをRTすることで「俺が言ったわけではない」と言い逃れができるようにしてあるという狡猾さも見せるようになってきました。

最近だと、「保守層のツイートは不当に差別されている」と主張することでツイッターやFacebookに対して「ネットにおける検閲の中立性を調査する」と主張することさえしています。もちろんここでいう「中立」とは、政治的に自分にとって都合のいい中立です。

政治的な意見や立場はいくらでも対立していてもかまわないと思いますが、せめて嘘と中傷とに基づいた言論は排除されてほしいと思うものの、それでは誰がその嘘と中傷とを判断するのかと考え始めると頭の痛い問題です。

個人的には、なくなった女性の尊厳を守るために書簡を送った人の思いくらいは、どこかに届いてほしい。そうでなければ、いったいなにを土台にしてわれわれは語り合うことができるのかすらわからなくなってしまうと思って、祈っています。

Jack Dorseyがこの書簡に応じるのか。なんらかのアクションがあるのか。世界が注目しています。

(アップデート)

ツイッターはツイートの削除を拒否し、「こうした問題に対処できるように今後もサービスの改善に努めます」との声明を発表しました。

"Have You No Sense of Decency, Sir?"


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