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偽書斎写真というジャンルがあると知って心を震わせている

私の書いているものを長く読んでいるかたならば、わたしが偽引用文の収集家であることを知っていると思います。

偽引用文というのは、たとえば「人々はしばしば不合理で、無分別で、自己中心だったりします。 それでも、彼らを愛しなさい」で始まるあの言葉が、マザーテレサのものだと紹介されているようなやつですね(実際はケント・キース博士という人物が若者のときにパンフレットに書いた文章)。

偽引用文は間違った名言が誰に紐付けられているのか、その先入観や、引用することで虚勢を張っている感じが面白いとともに、偽引用文自体がミームとしてネット上で伝染して生き延びているところが魅力的です。

ところが今日、この分野に写真のものがあるということをしりました。それも「偽書斎写真」です。

このツイートは「ウンベルト・エーコのミラノの書斎」だという写真ツイートを引用しているのですが、「それは違う」と指摘しています。

実際にはこの書斎はジョン・ホプキンス大学の去年亡くなられたRichard Macksey教授の有名な書斎です。

しかもこのツイートのリプ欄をみると、ビル・ゲイツの書斎として紹介されている写真も複数あり、まさにジャンルとして存在するらしいのです。

たとえばその一つがこれ。「秘密のバーが仕掛け本棚のうしろに隠れている」といううんちく付きですが、実はフェイクという。こんな芳醇な世界があったとは...!

人が書斎に対してもっているあこがれと、あの大富豪や碩学ならばこういう書斎をもっているはずという妄想が結実した、素晴らしい世界というほかありません。

もう決めました。私はこれから偽書斎写真を集めることにします。また一つ、知的な収集の趣味が増えましたね。


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