「物語」を、世界に、自分に語る

「ことば」には不思議な力があって、

文字に、音にすることで

自分でも気づかなかった「物語」を知ることができる。


腹の中でうごめていた「怪物」も

思い切って太陽の下にさらしてみると、あれほど怖かった感情が、半分消えることがある。

怖がっていた自分がどこか愛おしく、

もうそのときの自分ではないことに、ふと気付かされる。

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今、NHKの「100分で名著」でミヒャエル・エンデの『モモ』をやっている。

私は『モモ』の話が大好きだ。

今回の指南役は心理学者の河合俊雄さん。

『モモ』の話をカウンセラーの視点から、このように述べていた。

物語は必ず誰かに語られる必要がある。人に語ることによって初めて真実になり、解放される。

そもそも物語が語られない理由はたくさんあるだろう。

聞いてくれる人がいない。恥ずかしい。とんでもない奴だと思われたくない、などなど。

河合先生は、「SNSで発信する理由は、周りに聴いてくれる人がいないからでは」と言っていたが、

私たちは周りの人、そして何よりも、自分の話を聴けているだろうか。

言語という「うつわ」

私は翻訳する作業が好きだ。

そして時々英語で話してみることも。

自動翻訳機にかけたらきっと同じ内容のことも、言語によって雰囲気が全く変わる。

音や文字、そして受け取り手の想像力が、色付け作業をしてくれるのかもしれない。

そして後天的に身に付けた言語を使うとき、自分の無意識と向き合わざるとえないことがある。

日本語という「うつわ」から一旦中身をとりだし、

新しい言語の「うつわ」に入れてあげる。

そこでは意識的な観察作業が生まれる。

無意識に託していた意図を見つけ、新しい容器に丁寧に折りたたんで入れる。

その作業が何よりも好きなのかもしれない。

日本語ではない、別の容器に入れることで

自分の感情を客観的に観察したいのかもしれない。

英語でNVCシェアをしてみると

英語という言語でNVCをシェアするときの自分は、

もっと正直。きっと世間体を気にしなくても良いからだろう。

その「物語」をもっと多くの人に伝えること、聴いてもらうことは

実は人類の財産にもなると、私は思っている。

その一方で、英語を話すことに対して抵抗を感じる人も多いだろう。

なので、まずは自分から。

誰かが一歩を踏み出すきっかけになることを願って。

ニーズの美しさを感じるワーク

ロバート・ゴンザレスの講座で紹介されていたワークをもとに、NVC的なシェアを書いてみた。

背景は、なかなか人に頼れない、リクエストができない自分を責める気持ちにフォーカスした。

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I shouldn't make a request to anyone. 

「誰にもリクエストしてはいけない」

Everyone is too busy to take care of me. 

「みんな忙しすぎて、私をかまってくれない」

Especially, I don't want to bother my dad. 

「特に父を煩わせてはいけない」

I don't want to cause him more pain and distress with my request. 

「私のお願いによって、苦しませたくない」

I am not worthy of love and attention.

「私は愛や人の注意に値しない存在」

My request will never be heard because we don't have enough money. 

「うちにはお金が無いから、私のお願いは叶えられない」

My request is so trivial, so small. 

「私のリクエストは取るに足らないほど小さい」

My value is so small, so I am not worthy of care because people will reject me if they see my true self. 

「私の価値も小さい。本当の私の姿を見たら、拒否される。だから大事にされる価値がない」

I am ashamed of it. 

「本当の姿が恥ずかしい」

ニーズ

At the same time, I want to be seen fully, and accepted. 

「それと同時に、本当の姿を見てもらいたい。受け入れてもらいたい」

I want to feel safe so that I can show my true self. 

「本当の自分を見せられる安全を感じたい」

I want to be heard. 

「私の声を、聞いてもらいたい」

I felt so small. 

「自分がとても小さく感じていた」

憧れとつながる

I couldn't make a request because I knew what my dad was going through.

「リクエストができなかったのは、お父さんが何で大変だったかを知っているから」 

I wanted to support him. 

「サポートしたかった」

I feel I am unhelpful, and I am not strong enough. 

「お父さんをサポートできなくて、弱い自分」

I need to grow up fast so that I can shoulder what he is going through. 

「お父さんが背負っているものを私も少し担えるように、早く大人にならなきゃいけない」

I wanted to save him from the pain and the struggle. 

「お父さんを痛みや困難から救うために」

考察

こうやって英語で語ってみて、気付いたことがある。

それは、悲しみを消化していくうちに、過去形が入ってくること。

そこから、経験が過去のフォルダに少しずつ移行していく様子が分かる。

そして、「I」を主語にすることで、「誰かによってこうなった」ではなく、「私がこう感じている」ということがはっきりとしていく。

自分の感情を自分のものだと感じることもNVCでは大切なポイント。

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英語で内面の気付きをシェアするのは難しいようにも思われるが、

実はそんなに難しい文法や単語を使っていない。

もちろん、慣れが必要ではあるが、「習うより慣れよ」

少しずつでも、自分の気持ちを自分や世界に語れるようになってほしいと思う。



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