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「違国日記」 ❍おすすめ漫画


1巻 page.2より。

「あなたは 15歳の子供は
  こんな醜悪な場にふさわしくない
  少なくともわたしは それを知っている
  もっと美しいものを受けるに値する」
「わたしは大体不機嫌だし
  あなたを愛せるかどうかはわからない
  でも わたしは決して あなたを踏みにじらない」

一連の台詞で、これは素敵な作品の予感!と思った。


子供の頃に感じていたこと。
「こんな大人にはならない」なんて思っていても、いつの間にか、なりたくない大人になっていたり、嫌だと思っていたはずの親の性格を、自分自身が一番受け継いでいることに気が付いたり。

妹から見た、姉への劣等感。
姉から見た、妹への羨望。

他者との間に築き上げてきた今日という日は、
知らず知らずのうちに、ある種の呪いとともに在る気がする。

「人生、うまくやっていくってどういうことだろう。」

うまくやっていると思っていたあの人の知らない一面。
皆、他人のことなんて、本当のことはわからない。

感情の機微が、どこまでもリアルに描かれていて、
大人になりきれない大人も、
大人になりかけの子供も、
他者と自己認識の間でもがきながら、
不器用にも現実と向き合い、生きていく二人の姿に、
自分の過去現在、そして未来への赦しを与えられたような気がした。

まだ完結していないけれど、
是非とも読んでほしい漫画です。


* * *

<あらすじ>

少女小説家の高代槙生(こうだいまきお)(35)は姉夫婦の葬式で遺児の・朝(あさ)(15)が親戚間をたらい回しにされているのを見過ごせず、勢いで引き取ることにした。しかし姪を連れ帰ったものの、翌日には我に返り、持ち前の人見知りが発動。槙生は、誰かと暮らすのには不向きな自分の性格を忘れていた……。対する朝は、人見知りもなく、“大人らしくない大人”・槙生との暮らしをもの珍しくも素直に受け止めていく。不器用人間と子犬のような姪がおくる年の差同居譚。

違国日記 / ヤマシタトモコ




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