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大人になってから恋愛映画とホラー映画はおなじ楽しみ方だと気づいた

「恋愛映画なんてイケメンと美女がいい感じになって、最終的に病気になって感動を誘うだけでしょ?」

世間で言われ飽きているような錆びきった毒舌を学生時代に自信満々に吐いていた。今、思い返すと典型的な「学校の中だけでしか面白くない井の中の蛙」で恥ずかしい限りだ。

高校生のときは特に2ちゃんなどの意見に影響されて変に性格が歪んでいたのかもしれない。かばんの中に入ったイヤホンくらいこじらせまくっていた僕の思考は成人になるまで続き、つい最近まで恋愛映画をあまり見ることはなかった。


『君の膵臓をたべたい』を見て号泣する


そもそも恋愛映画を楽しめるようになったのは君の膵臓をたべたいという映画を見てからだ。



1人でダラダラと深夜まで残って会社で仕事しているときに「映画でも見ながら仕事するか〜。恋愛映画なら内容も薄いし集中力いらないからちょうどいいだろ」と思って見てみることにした。


気づいたらラスト30分ずっと嗚咽をもらして泣いていた。会社で。


もうそりゃボロボロ。30分間ずっと「うぇっ、うぇっ」と米津玄師の歌に出てくる合いの手の謎の声のようにリズムよくえずき、「おっおっおっお〜〜〜〜〜〜」とドラクエのブオーンのように声を上げた。

そしてそのまま立ち上がれずに、家に帰れなくなって会社に泊まった。


映画を見終わったあとに浜辺美波のことが心配になりすぎて「浜辺美波 生きている」「浜辺美波 死んでいない」で検索して生存していることに安心した。

今でもテレビで浜辺美波を見ると「ああ、よかった。この世界線の浜辺美波は生きているんだね」と心からほっとする。


君の膵臓をたべたいを見たことで初めて気づいたのだ。

ああ、これが恋愛映画の楽しみなんだ……と。学生時代にネットを見て歪んだ感情の呪縛から解き放たれ、キレイな心で恋愛映画を見られるようになることができたのだ。



恋愛映画はホラー映画に近い感情で楽しむもの


恋愛映画とは最初から「はいはい、死ぬんでしょ?」と斜に構えて見るものではない。平穏な日常を愛くしみ、そこからジェットコースターのように急落下をしていく緊張感を楽しむものなのだ。


男女が出会う

ケンカやぶつかり合いがある

二人が結ばれる

幸せな日々

恋愛映画においてここまでは前座だ。ここに至るまでに「あ〜〜〜〜、この二人を一生見守りてぇ〜〜〜〜〜」という気持ちになることが大切だ。この気持が生まれていなければもうその映画は見る必要はない。次の恋愛映画を探すべきだ。


さて、この平穏なシーンから次になにが起きるか。それは生か死かだ。

ここまでで二人を一生見守りたい気持ちの準備ができていると、以下のシーンが来たときに、グッと心臓をわしづかみにされたように動悸が止まらなくなる。


・急にシーンが暗転して「キキィー!!」という車のブレーキ音がする

・手紙が部屋に置いてある

・バイクなどで2人乗りをする

・主人公が胸を抑えて苦しみだす

・急に音楽や映画がスローモーションになりゆっくり時間が進むような描写になる

・病院で先生が病気について話しているのを聞いてしまう



これらのシーンがあると「え?え?もしかして事故?病気!?嫌だ!二人の仲を切り裂かないで!嫌だ!!嫌だ!!!!!!!!!」と、超サイヤ人になりそうなくらいの感情の爆発に襲われる。そしてそのまま涙腺がかめはめ波によって破壊される。つまりは泣くのだ。


この急降下なのだ!!この急降下を楽しむことこそが恋愛映画の醍醐味なのである。


つまり恋愛映画はホラー映画と同じなのだ。

幸せな状態から「不幸にならないでくれ…このまま幸せでいてくれ……」という気持ちができているところに、ワッと不幸が急に襲ってくる。この感情のジェットコースターを楽しむことこそが恋愛映画を楽しむ秘訣なのだ。

恋愛映画とホラー映画の違いは、幽霊がでるか事故が起きるのかの違いだけなのである。


そして恋愛映画を漁る日々へ






↑はここ最近で見たやつ。ちなみに3/4の確率で泣いている。学生時代に変な歪んだ気持ちが入って恋愛映画を見ることができなかったが、どうやら感情移入して恋愛映画を見る才能が自分にはあるらしい。

「モテナイやつが恋愛映画を見るのは恥ずかしい」という変な偏見まじりのプライドなぞもう捨てた。歪んだ思考など僕にはもうないのである。キレイな心で恋愛映画を純粋に楽しめるようになったのだ。

ああ、恋愛映画って最高だ!この感情のジェットコースターをみんなにも楽しんでほしい!!!!


……

というような内容の話をついこのまえ友人にしたら、


「いや、恋愛映画って自分の青春時代と重ねたりして懐かしんだり、将来こういう恋愛したいっていう憧れで見るもんだよ。そんな怖い楽しみ方してる人いないよ。歪んでるよ、怖いよ


と言われて胸を刺されたような気持ちになった。

学生時代の恋愛映画に対する歪んだ考えは、大人になってさらに折れ曲がって歪んだまま斜めに突き抜けていったのだけなのかもしれない。恋愛映画がホラー映画などではなく僕自身の思考がホラーだったのである。

キミ ノ スイゾウ ヲ タベタイ……



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