俺は平手友梨奈が好きなのかもしれない

自分の感情に気がつくのはいつもなにかが終わってからだ。

平手友梨奈が欅坂を卒業してから早いもので半年が経った。卒業発表はわりとすぐに受けいれることができた。あんなに摩耗するなら卒業して自由になってほしい、と。

もちろん卒業をすべて手放しで喜んだわけではない。グループにいてほしいファンとしてのエゴと、卒業して楽になってほしいという理性の天秤に感情を揺らした。

ただ、僕はグループ在籍時には平手友梨奈のことがアイドルとして好きではなかった。好きなメンバーを挙げろと言われたら候補には確実にでてこない。

もちろん嫌いなわけはない。欅坂を見ている以上は彼女の存在は絶対的なものであり、欅坂のすべてとも言えるかもしれない。しかし、平手友梨奈は自分が好きなアイドル像とはかけ離れていたのである。

僕は基本的にアイドルは箱推しだ。というか芸人、俳優、男性アイドルのなんでもいいのだけれど、それらが大勢でわちゃわちゃと楽しんでいる空間を見るのが好きなのである。

だから坂道グループが今やっているバナナマン✕乃木坂、澤部/土田✕欅坂、オードリー✕日向坂などのテレビ番組は僕からしたら大好物なのである。

平手友梨奈は初期こそはこういった番組に対応していたが、途中から明らかに笑わなくなり番組にも出演をしなくなっていった。つまり僕が好きな路線からはどんどんと外れていってしまったのである。

卒業をしてからは応援することもないだろうな…と思っていた。

しかし、だ。

卒業をしてから平手友梨奈の情報が入ってくると、予想以上に自分が胸をときめかせていることに最近になって気がついたのである。

動画をかじりつくようにすべて見ているわけではないし、情報を隈なく探しているわけでもない。ただ、平手友梨奈の新しいニュースを見る度に安心感で包まれるような感覚になっていた。ああ楽しそうでよかった、と。

今まで僕は特定のアイドルや作品にハマったときは、動画を見て曲を聴いて歴史を調べて……と猪突猛進にコンテンツを漁って見ていた。しかし、平手友梨奈はそういった感覚はまったくなく、心の縁の方にちょこんと座っているような存在なのである。

恋愛感情はないのだけれど、学校の教室にいたら目の端では意識してしまうような。

好き、というよりも愛おしいという感情に近いのかもしれない。平手友梨奈という存在がどこに歩いているのか、何をするのか、どう終わるのかを見守っていたいのだ。

願わくば平手友梨奈が結婚をして、芸能界を引退して、子どもを生んで、誰にも知られないところで幸せに過ごしてほしいとさえ思う。

平手友梨奈のファンとは言えないかもしれないけれど、遠いところから見守っていたいという気持が自分の中にあると最近になって気づいたのである。



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