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お母さん呼びましょうか?

妊娠が分かった時から、育児はワンオペだろうなと思っていた。
私のパートナーは仕事100%の人なので、平日は深夜まで仕事をし、土日も必ずどちらかは仕事、というのが当たり前だった。

しかし、有難いことにそうはならなかった。

通常の家事(炊事/掃除/洗濯など)は100%私が担当しているものの、子の沐浴や保育園の送り迎え、寝かしつけなどは率先してやってくれている。
非常に嬉しい誤算。

さらに、子の予防接種や検診にほぼ欠かさず同伴。
住んでいる区が主導で行う4か月検診ももちろん一緒に行った。
4か月検診に母親と父親両方来ているのは20組中1-2組だったと思う。私はパートナーの協力的な姿勢がとても嬉しかった。

検診会場は区役所の別館で、小会議室のようなスペースにベビーベッドがずらっと並び、そこで子どもたちが着替えをし、流れ作業的に診察に臨むスタイルだった。
ここで、検診を取り仕切る職員の方から、保護者は1名まで入室できます、と告げられる。

「なぜ?」と心の中で思ったけど、感染対策のためなんだろう。私は迷わずパートナーに「行ってきて!」と言って、待合室のベンチで待つことにした。

職員の方は私の顔を一瞬見て、「あれ…お母さんが行かないのか」と思ったようだけれど、すぐに他の方の案内にまわっていた。

しばらくすると、検診会場から子の大きな泣き声が聞こえてきた。不思議なもので、子の泣き声は他の子の泣き声に決して混じらない。遠くても、良くこちらに届く。凄く泣いているなと思ったけれど、スマホを見ながらベンチで待った。

10分くらい経っただろうか、パートナーと子が会場から出てきた。2人とも汗びっしょり。ただでさえ空調の効きが悪い空間に15,6人の赤ちゃんがひしめいているのだから、蒸し風呂状態だったと思われる。

「どうだった?」と聞くと、「検査は問題ないって。ただ暑かったのか、●●(子の名前)も凄く泣いちゃった」とパートナー。

そしてボソッと「泣いてる最中、頑張ってあやしてたんだけど、近くにいた職員の人に何度も『お母さん呼びましょうか?』って言われたよ…」と教えてくれた。

何なんだ、この「お母さん呼びましょうか?」って。


目の前でパートナーが我が子をあやしているのだから、彼が落ち着いて対応できるような声かけをすべきじゃないか、そしてなぜその職員の人は母親が一緒に検診に来ている前提だったんだろうか。。

私がパートナーの立場だったら、「母親はいません、僕がこうして対応してます」とか言ってしまいそう。

本当に何気ない一言だし、これを言った人は善意しかなかったと分かっているけど、少なくともパートナーは少し感傷的に、お役御免感を味わっていた気がする。

子が生まれて4か月、パートナーは私にとって戦友以外の何物でもない。

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