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東京パラリンピックの視覚障がい競技 まとめ

2020年の東京オリンピック・パラリンピックが近づき、チケット予約などもすでにはじまっています。これを機に、様々な障がい者スポーツへの関心が広まってくれればいいと思います。今回は東京パラリンピックの視覚障がい者競技を中心に紹介していきます。

追記2021年の東京パラリンピック開催直前までです。記事を書いた当初はまさかこんなふうに世の中が一変するとは思ってもみませんでした。
開催される各競技の見えない選手がプレイするための工夫を中心に紹介したいと思います。

パラリンピックの起源は、1948年のロンドンオリンピック開会式と同日に、イギリスのストーク・マンデビル病院(第二次世界大戦で負傷した兵士のリハビリ科があった)で行われた、ストーク・マンデビル競技大会とされています。

1952年には国際大会となり、1960年にオリンピックの開催されたローマで行われた第9回ストーク・マンデビル競技大会が、第1回パラリンピックと呼ばれています。1964年東京オリンピックに合わせて第2回パラリンピックが開催されています。来年第16回を数えるパラリンピックが再び東京に帰ってくるのです。

東京パラリンピックで、視覚障がいの方が参加できる競技には、陸上競技、自転車競技、馬術、5人制サッカー、ゴールボール、柔道、ボート、水泳、トライアスロンの9つがあります。競技や開催される障がい区分などは大会によって異なります。9つの競技について、それぞれ解説していきます。

1 陸上競技

盲学校でも、地区盲学校陸上大会や通信陸上大会が行われています。陸上競技はトラック、フィールド、マラソンの3つに分けて説明していきます。競技については日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!陸上競技ガイド」も参考になります。

パラリンピックの陸上競技は障がい種別ごとにクラス分けがあり、視覚障がいは重度のT/F11から軽度のT/F13の3つの区分があります。

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(画像は日本ブラインドマラソン協会より)

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(画像は東京2020より)

1.トラック競技

トラック競技には、100m走(T11〜13 男子/女子)、200m走(T11〜12 女子)、400走(T11〜13 男子/女子)、1500 走(T11・13 男子/女子)、5000 走(T11・13 男子)、走幅跳(T11〜12 男子/女子、T13 男子)があり、それぞれ視力や視野の程度によってクラス分けがされています。

全盲の選手などは、目の代わりとなり、視覚から得られる情報を補う伴走者(ガイドランナー)とロープを握り並んで走ります。ガイドランナーは選手の安全を第一に、コース状況やタイム、周囲の様子などを言葉で伝え、フィニッシュラインへと導くのです。ただし、選手を先導したり、フィニッシュラインを選手より先に越したりすると失格となります。

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(画像はジャパンパラ競技大会より)

伴走者(ガイドランナー)と並んで走るトラック種目ら、1選手につき2レーンが与えられます。そのため、決勝には予選レースを通過した4選手しか出場できず、4人で3つのメダルを競うことになります。ガイドランナーの力量も問われる種目で、短距離種目では選手とともに磨き上げ、スタートからフィニッシュまでピタリと同調した走りも見どころです。

走幅跳では、T11〜12の選手は目からの情報を補うアシスタントと競技を行うことが認められています。選手を助走開始地点に導き助走の方向付けをするエスコートと競技中に助走の方向や踏切地点などを手拍子や声で伝えるコーラーを伴います。T11の選手のアシスタントは2つの役割を2人で担当しても1人で兼務してもよいことになっています。競技に支障がなくルールの範囲内なら、声かけの方法やコーラーが立つ位置などは自由です。走幅跳では、踏切板ではなく少し幅の広い踏切エリアが設けられているのも特徴です。

またT11(全盲など)の選手のみ、見え方の違いによる公平性を保つためアイマスク着用が義務付けられています。暗闇の中でコーラーの発する音声だけが頼りになるのです。声のする方へ、助走路をできるだけ真っ直ぐに思い切り走り、「ここ」と信じる位置で踏み切り、空中へ跳び出す。恐怖に打ち克つ勇気を得るには日々の練習で互いの信頼関係を高めるプロセスが欠かせません。手をたたき続ける、歩数に合わせた数を数えるなど、それぞれの方法を見比べるのも面白いですね。

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(画像はBS朝日「Withチャレンジド・アスリート〜未来を拓くキズナ〜」より) 

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(画像は東京都オリンピック・パラリンピック準備局より)

2.フィールド競技

フィールド競技では、円盤投げ(F11 男子/女子)、やり投(F13 男子/女子)、砲丸投(F11 男子、F12 男子/女子)があります。

F11、12クラスの選手はアシスタントを伴うことができますが、エスコート役とコーラー役を兼務することが条件となります。跳躍競技同様、投てきサークルに選手を導き、手拍子や声かけで投げる方向を知らせます。

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(画像は日本パラリンピック委員会より)

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(画像は東京オリンピック・パラリンピック準備局より)

3.マラソン競技 

視覚障がいクラスは、T11(全盲など)の選手は必ず、目の代わりとなって視覚から得られる情報を補い、安全に導く伴走者(ガイドランナー)と走らなければならず、T12の選手は単独走か、伴走者と走るかが選択できる。

そのため、レースには単独走の選手と伴走者とのペアの選手が混在する。ペアで走る選手は伴走者とロープを握り並んで走るので、フォームを合わせるなどコンビネーションを磨くことが大切だ。選手より先に伴走者がフィニッシュラインを越すと失格となるなど、伴走者はあくまでも選手のパフォーマンスをリードではなく、サポートする存在でなければならない。

現行のルールでは2人の伴走者が認められており、コース上の決められた地点で交代できる。選手は、コースの凸凹や起伏、曲がり角など、緊張感をもちながら走っている。

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(画像は日本ブラインドマラソン協会より)

2 自転車競技

パラサイクリングとも言われる自転車競技は、トラック(バンクと呼ばれる自転車競技専用の走路)競技とロード(一般道)競技とがあり、それぞれ複数種目が行われます。オリンピックとほぼ同じルールで行われますが、より公平な競技を行うため、障がいに応じて四肢障がい(C)、下半身不随(H)、脳性まひ(T)、視覚障がい(B)の4つのクラスに分かれ、さらに障がいの程度によって細分され、男女別に競います。協議については、日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!自転車ガイド」が参考になります。

視覚障がいを対象とするBクラスは、見え方によるクラス分けはなく、1クラスのみで行われます。2人乗りのタンデム自転車を使い、パイロットと呼ばれる晴眼の選手が前の席に乗ってハンドル操作などを担い、後ろにストーカー(機関車の燃料に薪をくべる方法のことで、自転車にパワーを伝えるという意味)と呼ばれる視覚障がいの選手が乗ります。前後のペダルは連動しているので、両者は息を合わせて漕ぎ、ペースアップやコーナー手前の減速などのタイミングも合わせねばならず、ミスすれば、転倒・落車の危険もあるのです。陸上競技競技のガイドランナー同様、日頃の練習で磨いた阿吽の呼吸のコンビネーションに注目です。

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(画像は東京オリンピック・パラリンピック準備局より)

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(画像は朝日新聞デジタルより)

3 馬術

馬術の対象は肢体不自由の選手と視覚障がいの選手。男女の別はなく、障がいの内容や程度に応じてグレードIからVまで5つのクラスに分かれて競います。肢体不自由の選手と視覚障がいの選手が互いに争う競技は馬術だけです。

種目として、個人課目と、選手3名で構成される団体課目(音楽付き)があります。また、個人課目の結果が上位の選手のみが出場できる、「馬のバレエ」とも呼ばれ、選手が考えたオリジナルな動きのパターンを組み合わせ音楽に合わせて乗りこなす自由演技課目の3つがあります。

視覚障がいの選手はグレードIVやVにクラス分けされますが、「コーラー」がマークの位置を声で知らせ、競技をサポートすします。このコーラーは最大13人までつけられますが、欧州などのトップ選手は、馬場の外に2人つける程度で演技ができ、それぞれ異なる音を発するピーコンと呼ばれる電子機器を使って練習しているそうです。こうしたアシスタントとのチーム戦も見どころです。視覚障がいの選手は数が少ないのですが、観戦するときはコーラーの音の邪魔にならないよう、静かに観戦することを心がけましょう。

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(画像はパラサポWEBより)

4 5人制サッカー

5人制サッカーは別名「ブラインドサッカー」としても知られる、視覚障がいのある選手を対象とするサッカーです。1チームは4人のフィールドプレーヤーとゴールキーパーで構成され、ゴールキーパーは晴眼(視覚障がいの無い選手)、または弱視の選手が務めるのですが、フィールドプレーヤーは視覚障がいのある選手でなければなりません。

フィールドプレーヤーは個々の見え方による有利不利をなくすため、アイマスク(目隠し)着用の義務があり、視覚を遮断した状態でプレーします。チームにはフィールドプレーヤーの目の代わりとなる「ガイド」と呼ばれるメンバーがいて、相手ゴールの裏に立ち、ゴールまでの距離や角度などの情報を声や音で伝える役割を担います。それ以外にも視覚障がいのある選手がプレーできるよう工夫されています。

例えば、サイドライン上には選手やボールが飛び出さないよう、高さ1メートルほどのフェンスを立てます。フェンスは選手が触って自分の位置を知る目安にしたり、ボールを意図的に蹴ってバウンドさせ、その跳ね返りを利用してパスしたりする目的でも使われます。

またボールを持った相手に向かっていくときは衝突を避けるため、守備側が「ボイ」と声をかけるルールがあり、違反するとファウルになります。

フィールドプレーヤーに情報を与える役割は味方チームの3名が担う。ゴール裏から「8メートル、45度、シュート」のように、ゴールの位置などを伝えるガイド、主に守備に関する情報を与えるゴールキーパー、そして、監督(コーチ)がサイドフェンスの外からピッチ中盤の選手に指示を出します。それぞれ声をかけられる範囲が決まっており、範囲外の選手に声をかけるとファウルになるのです。

ボールは中に鉛が仕込まれた特製のボールで、転がると「シャカシャカ」と音が鳴ります。選手はボールの音やガイドの声などを頼りにプレーするのですが、想像以上に激しく、スピーディーなプレーに驚かされます。

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(画像は日本ブラインドサッカー協会より)

周囲の音声に耳を傾ける選手を妨げないよう、観客にはプレー中、静寂が求められます。ただし、得点が決まったときは大きな歓声で選手を称えてもオッケーです。このメリハリある観戦スタイルも、5人制サッカーの醍醐味です。日本ブラインドサッカー協会のブラインドサッカー観戦ガイドや日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!ブラインドサッカーガイド」を参考にしてみてください。

日本ブランドサッカー協会のホームページ公式ツイッターにも豊富な情報が掲載されています。


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(画像は東京2020より)

5 ゴールボール

ゴールボールは、視覚障がい者を対象にしたチーム球技です。全盲から弱視の選手まで出場できますが、公平に競技を行うため、全員アイシェード(目隠し)を着用します。バレーボールコート大(18メートルx9メートル)のコートを使い、1チーム3人の2チームで対戦。鈴の入ったボールを転がし、相手のゴールに入れて得点を競います。守備側は3人で協力し、全身でゴール(幅9メートルx高さ1.3メートル)を守ります。1試合は前後半12分ハーフで、延長戦(前・後半各3分)になった場合は「ゴールデンゴール方式」で行われます。
ラインの下には糸が通してあり、触ると凹凸を感じることができるようになっています。

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(画像はSPORTRAITより) 

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(画像はジャパンパラ競技大会より)

攻撃側は、スピードボールやバウンドボールを用いてディフェンスしづらいコースを狙ったり、できるだけ音を消してボールの出所が分からないように投球するなどの駆け引きがある。この音のフェイントが醍醐味の1つです。

守備側はボールの中の鈴の音や相手選手の足音やボールがバウントした位置により、ボールが転がってくるコースを瞬時に察知し、身体を横たえ守備の壁をつくってボールを止めます。ボールは1.25キログラムとずっしり重く、高速で投げられるボールが当たるとかなり痛いのです笑。

コートは自陣ゴールラインから3mごとに3つのエリアに分けられています。ゴールラインから2区間がチームエリア、センターラインを挟んだ2区間がニュートラルエリア、そして相手のチームエリアに大きく3分割されていて、投球する時は必ずチームエリア内でボールをバウンドさせなければなりません。もし、チームエリア内にファーストバウンドしなかった場合は「ハイボール」、更にセンターラインを挟んだニュートラル・エリア内でセカンドバウンドしなかった場合は「ロングボール」という反則(ペナルティー)になります。

「10(テン)セカンズ」は、守備側選手に最初にボールに触れた時点から10秒以内にセンターラインを越えるよう投げ返さねばならないというルールです。できるだけ素早く、確実にキャッチして攻撃に移るなど時間の管理も欠かせないのです。

反則を犯すと、相手チームの「ペナルティスロー」となります。反則した側が9mのゴールを1人で守り、ペナルティスローを受けなければならないのです。サッカーのPKのように、攻撃側にとっては得点の大きなチャンスであり、駆け引きも見どころです。

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(画像はジャパンパラ競技大会より)

選手がボールや味方とのコミュニケーション、相手側の足音など音と気配を頼りにプレイするので、観客には静かに見守ることが求められます。他にも様々なルールがあります。日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!ゴールボールガイド」も参考にしてください。また日本ゴールボール協会のホームページにも様々な情報が掲載されています。

6 柔道

視覚障がい者だけで行われるパラリンピックの柔道は、陸上競技や水泳のような障がいの程度に応じたクラス分けはなく、オリンピックと同様に男女別・体重別の階級制で行われます。アイマスクなどは使わず、全盲や弱視など見え方の異なる選手同士でも、そのまま対戦します。 

ルールはオリンピックとほぼ同じですが、大きく違う点は試合の始め方。両選手が互いに相手の襟と袖をつかみ、組み合った状態から「はじめ」となります。組み手争いの時間がないため、試合開始から技の掛け合いになり、開始早々の一本勝ちも珍しくありません。力と力のぶつかり合いです。全力での激しい技の応酬により、選手の体力の消耗は激しく、集中力と持久力が必要になります。

途中で両手が離れた場合は、「待て」がかかり、選手は組んだ状態に戻されます。故意や不注意の場合には場外指導が与えられるのですが、オリンピックに比べて緩やかに適用されています。主審は選手が場外に近づいたら、畳の中央付近から「場外、場外」と声を出すことで選手に正しい方向を知らせます。もし場外に出た場合は、中央に戻って組み直しとなります。

コーチは試合中、コーチ席から選手に指示を与えることが認められているのも、オリンピックの柔道とは違う点です。選手の目の代わりとなり、残り時間や視覚からの情報を補うようなコーチングを行ってもよいのです。

日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!柔道ガイド」も参考にしてください。

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(画像は東京2020より)

7 ボート

ボート競技の舵手つきフォアには視覚障がいの選手が出場できます。舵手つきフォアは、男女2名ずつの漕手に加え、舵取り役のコックスも同乗し、5人で一組となります。この漕手には視覚障がいの選手は2人まで参加できます。

オリンピックで使うボートと同様にシートはスライディング式で、膝の曲げ伸ばしも使うことができ、1人1本のオールを両手で持ち、左右交互に座って漕ぐのです。

身体障がいと視覚障がいという異なる組み合わせでのチーム戦もボート競技の面白いところです。舵手つきフォアは4選手の呼吸や漕ぐスピード、タイミングなどをそろえることが重要です。ボート競技はオールの位置が1センチズレただけでも力の伝わり方=推進力が変わるそうです。それぞれの選手が自分に合った漕ぎ方の工夫をしているところも観戦ポイントです。

コックスが多くの役割を担い、号令をかけて漕手の動きを合わせたり、ボートが波や風の影響でまっすぐ進まない場合に舵を切って進路をコントロールしたりします。コックスは健常者が務めてもよく、漕手がボートで乗る位置などはチーム戦略に合わせて自由に設定できます。
日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!ボートガイド(バラローイング)」も参考にしてください。

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(画像は東京都オリンピック・パラリンピック準備局より)

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(画像は日本経済新聞より)

8 水泳

パラリンピックの水泳競技は、陸上競技同様に障がい種別ごとにクラス分けがあり、視覚障がいは重度のS/SB/SM11から軽度のS/SB/SM13の3つの区分があります。プールは一般と同じプールを使用します。

種目は、50m自由形(S11・S13 男子/女子)、100m 自由形(S11 女子、S12 男子/女子)、400m自由形(S11・S13 男子/女子)、100m背泳ぎ(S11〜S13 男子/女子)、100m平泳ぎ(SB11〜SB13 男子/女子)、100mバタフライ(S11〜S12男子、S13 男子/女子)、200m個人メドレー(S11・S13 男子/女子)があります。

視覚障がいクラスの選手の中には、自分の位置を目で確認することが難しい選手もいます。そのため、まっすぐ泳げずにタイムロスすることも少なくありません。練習を繰り返し、バランスの良いフォームを身につけたり、左右どちらかのコースロープに身体を触れさせて位置を確認したりするなど、自分なりの方法を体得していくのです。バランスは考えずにパワーで泳ぎますと話している選手もいました。個性あふれる泳ぎ方を見比べて、それぞれの工夫を知ることも面白さの1つです。

また、プールの壁を目で確認できない選手もいます。そのため、ターンやゴールのときに壁にぶつかってケガをしないよう安全のため、コーチなどがプールの上から選手に合図を送ります。特にS11(全盲)クラスの選手には合図を送ることが義務付けられていて、合図は選手の頭や身体に棒でタッチ(タッピング)して行います。合図を送る人を「タッパー」、合図を送る棒を「タッピングデバイス」と呼びます。選手はタッパーのおかげで、恐怖心を取り除き、思い切って泳ぐことができるのです。
日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!水泳ガイド」も参考にしてください。

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(画像は朝日新聞デジタルより)

9 トライアスロン

1人で3つの種目(スイム、バイク、ラン)を連続して行い、その合計タイムで競うトライアスロン。パラリンピックでは、リオデジャネイロ2016大会から正式競技となっています。レースの距離はオリンピックのちょうど半分となる「スプリント・ディスタンス」で、スイム(750メートル)、バイク(20キロメートル)、ラン(5キロメートル)の計25.75キロメートル。レースは男女別、クラス別に行われます。

視覚障がいクラスPTVIは、競技全体を通して同性のガイド1名と競技を行います。またPTVI1(IBSAのクラス分類によるB1、全盲)とPTVI2(IBSAのクラス分類によるB2、弱視)、PTVI3(IBSAのクラス分類によるB3、弱視)というサブクラスが設定されていて、より公平に競えるよう、時差スタートか一斉スタートの場合はより軽度のクラスの実走タイムに、規定の補正時間を加算するのです。

スイムパートでは、視覚障がいの選手は同性のガイドが横を泳いでサポートします。

バイクパートでは、自転車競技と同様に、タンデム(2人乗り)自転車を使い、ガイドが前、選手が後ろに座り、協力して漕ぎます。

ランパートでは、陸上競技と同様に、ガイドとロープでつながって走ります。

このように3つのパートで視覚に障がいのあるPTVIの選手を支える「ガイド」は、選手の目の代わりとなり安全にフィニッシュまで導く役割を担います。選手と同性で、全パートを一人でサポートしなければならないため、トライアスリートとしての高い競技力と、さまざまな状況に応じた的確な判断力などが求められるのです。

日本障がい者スポーツ協会の「かんたん!パラトライアスロンガイド」も参考にしてください。

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(画像はつなひろワールドより)

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(画像はYahoo!ニュースより)


まとめ

視覚障がい者の参加するパラリンピック競技のまとめどうでしたか。この記事や参考にしたサイト以外にもいろいろなところにパラリンピック関連の情報が流れていると思います。パラリンピック競技には他にも、アーチェリー、バドミントン、ボッチャ、カヌー、パワーリフティング、射撃、シッティングバレーボール、卓球、テコンドー、車いすバスケットボール、車いすフェンシング、車いすラグビー、車いすテニスがあります。またパラリンピック競技になっていない視覚障がいスポーツもまだまだあります。

何も知らずに観戦すると、「すごい」の一言だけで終わってしまいます。もちろんすごいのですが、選手は超人であっても魔法使いではありません。競技には、目が見えなくてもできる工夫がそれぞれに隠されています。そんな工夫を知ることが、身近な世界の障がいのある人との関わりを具体的に考えるきっかけになるのではないでしょうか。

僕自身も視覚障がいスポーツを全盲プレイヤーとして経験する中で、見えない・見えにくい視覚障がいについての考え方が変わり、子どもたちが自分でできるようになるためにどんな指導や知識、感覚、工夫が必要なのかを具体的に考えられるようになりました。

そういった視点でも、観戦してもらえるといいかなぁと思います。もちろん単純に面白くて興奮するのですが笑。ただ競技によっては音を頼りにしているので、静かに観戦することが求められるものもありますので、観戦・応援の際は気をつけましょう。

参考にしたサイト

東京2020 パラリンピック競技一覧
日本障がい者スポーツ協会
ジャパンパラ競技大会
東京都オリンピック・パラリンピック準備局パラサポWEB