見出し画像

体験記事「遠隔援護サービス リモートアシスト」

以前の記事、『音でわかる工夫 まとめ』『体験記事 「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019〜」』でも紹介した、遠隔支援カメラ リモートアシストを実際に体験し、代表の方にお話を聞く機会がありましたので今回紹介していきます。

リモートアシストとは

リモートアシストは、頭部に着用できるウェアラブルカメラで撮った視線映像を専用機器で送信し、サポーター(オペレーター)が利用者の代わりに見て、読み上げるなどの応答をする月額制(Wi-Fi環境があれば月5,000円〜)のサービスです。

画像1

(画像は遠隔支援カメラ リモートアシストより)

利用者のニーズとしては、賞味期限や服の色、家電やインターホンなどのボタン、郵便物の内容や手紙の読み上げなどを想定されているようです。

画像2

(画像は遠隔支援カメラ リモートアシストより)

リモートアシストのオススメポイント

リモートアシストと同じようなサービスといえば、別の記事『体験記事「アプリ Be My Eyes - Helping blind see」』でも紹介したアプリ、Be My Eyesが思い浮かびます。Be My Eyesは、スマホやタブレットのカメラを通して世界中のボランティアが応答してくれる無料のアプリです。
また文字や色、明かりの認識で言うと、多機能な視覚支援アプリ、Envison AISeeing AIなども比較対象になるかもしれません。

これらのアプリと比較した際のリモートアシストのオススメポイントを紹介します。

①簡単、単純な操作

起動はウェアラブルカメラに1つだけのボタンを押すだけ。それ以外に必要な動作は、専用端末(Androidスマートフォン)の充電とウェアラブルカメラの有線コードを専用端末に繋げるだけです。

またサポーターがカメラの動画の拡大縮小や静止画撮影などの操作をしてくれますので、こちらでカメラ位置を何度も調整する必要はありません。

②スマホが使えなくても大丈夫

上記の内容と重なりますが、操作が簡単なのがリモートアシスト。Be My Eyes もEnvison AIや Seeing AIもスマホアプリなので、液晶画面に抵抗がある、スマホに慣れないなどでスマホを使えない方でも使用できます。

というかスマホを使えない方がメインターゲットなのかなとも思います。

③専用のサポーターが対応

サポーターが対応ですので、Envison AIや Seeing AIが苦手な、立体物の文字や手書き文字も読み上げることができます。Be My Eyesと違い、サポーター側が動画の拡大縮小などの操作も対応してくれます。

また全く知らないどこかの誰か(それもBe My Eyesの魅力ですが)より、サポーターの方が安心できる方には合っているのかもしれません。手紙や封書の宛名や内容など個人情報に関わるものも安心してお願いできますね。

④月額制の有料サービス

無料アプリの方がいいという方もいるかと思いますが、有料サービスの方が気兼ねなく使えて安心という方にも合っているかもしれません。

リモートアシストが届いてほしい人

こうしてリモートアシストのことを分析し、また代表の方にお話を聞いてみると、高齢の方や糖尿網膜症などで指先の感覚に難がある方の利用が比較的多いようです。

しかし、ここで問題があります。それは特に高齢の視覚障がいの方は、リモートアシストのような支援を必要とされているのに、その情報を入手する機会がないということです。

パソコンやスマホなどを活用されている視覚障がいの方はたくさんいらっしゃいますし、その方々はどんどん情報を手に入れられていきます。

一方で、視覚障がいは情報障がいとも呼ばれるようにいろいろな情報が届きにくい面があります。パソコンやスマホを使えないとなると…情報の入手先は病院や福祉施設、ラジオや知人・友人などになるのでしょうか。正直、メインターゲットになる、ネットやスマホの情報に疎い視覚障がいの方へどうやったら必要な情報が届くのかわかりません。

この記事を読まれた方で、病院や福祉施設関係の方がいらっしゃったら、ぜひスマホなどを活用していない視覚障がいの方へ情報を伝えていただければと思います。生の声やテレビ、ラジオ以外の情報は届がないかもしれないのです。

リモートアシストQ &A

それ以外にもリモートアシストに関する情報を紹介していきます。

Q1 費用はいくらかかりますか?
A1 Wi-Fi環境有りで自宅内のみ利用可だと月額5,000円、Wi-Fi環境なしで外出先でも利用可だと月額7,000円です。またオプションとしてイヤホンマイク月額200円、カメラスタンド月額300円もあります。また1ヶ月分お得になる2年分前払いもあります。

Q2 使用できる時間や回数はどうなっていますか?
A2 利用時間は8:00〜20:00(年末年始・お盆は除く)、利用回数の制限はありません。

Q 3 自分のスマホは使えますか?
A3 専用アプリや初期設定のため、自分のスマホは使えないようです。

Q 4 日常生活用具の給付対象ですか?
A4 現在のところ、日常生活用具の対象にはなっていません。機器が給付対象になるよう(サービスは現在のところ給付対象に認められていないため)様々な自治体へ交渉されているそうですが…なかなか進まないようです。

Q 5 対面朗読のようにサービスを活用できますか?
A5 本を読み上げる対面朗読のようなサービスでオペレーターを長時間利用することは想定されていないそうです。手紙の読み上げなどは対応されているそうです。

Q6 歩行時の移動支援にサービスを活用できますか?
A6 現在対応はされていませんが、盲導犬ユーザーの方への対応を検討中とのことです。

Q 7 本当に操作は簡単なのですか?
A7 ウェアラブルカメラにボタンは一つしかありません。ボタンを1回押すとオン、もう一度押すとオフになります。あとは専用端末へ優先コードをつなぐことと、専用端末を充電コードで充電するだけです。

Q8 家にWi-Fiがなくても使えますか?
A8 SIMカードをセットすれば屋内でも屋外でも使用可能です。SIMカードは月額2,000円になります。

Q9 メガネを着用しているのですが、ウェアラブルカメラを装着できるでしょうか?
A9 専用のメガネタイプのものがあるそうです。

Q10 使わなくなったらどうすればいいのですか?
A10 現在はサービス利用終了後に、ウェアラブルカメラと専用機器は返却する形になっているようです。

Q11 機器のセッティングはどうなっているの?
A11 初期設定など可能な範囲で対応してくださるそうです。

Q12    サポーターはどんな人ですか?
A12    遠隔援護協会に所属するボランティアです。守秘義務や個人情報についてもしっかり守りますとのことです。

Q13    サポーターは募集していますか?
A13 日本視覚障害者遠隔援護協会に登録された方がサポーターとなられるそうです。詳細は遠隔援護協会のホームページから確認ください。

まとめ

以前書いた記事『体験記事 「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2019〜」』では、これから専用機器とスマホアプリが競合していくのではないかとまとめました。

しかし、今回の体験を通して、スマホアプリではカバーできない層が一定いらっしゃることに気づくことができました。そのような方々向けに、シンプルに機能を絞った専用機というニーズがまだあるのかもしれません。

今回リモートアシストを体験して思ったことがあります。

それは、情報障がいとも言われる視覚障がい者の中でも、ネットや展示会などでいろいろな情報を得ることが難しい方にどうやったら情報を届けることができるのかということです。

僕にはいいアイデアが思いつかないのですが、もしそのような方が身近にいられる場合には、いろんな情報を伝えていただければと思います。

リモートアシストのホームページだけでなく、問い合わせは電話(06-4980-3579)でも対応されています。

リモートアシストだけではありませんが、支援や機器の情報が本当に必要とされている方に届きますように。

参考にしたサイト

遠隔支援カメラ リモートアシスト

日本視覚障害者 遠隔援護協会


表紙の画像は遠隔支援カメラ リモートアシストより引用しました。