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ランドセルは必要ですか?

僕はランドセルは必要ないと考えている。すべての児童に対して開かれたものである公教育という性質上、そこへ通うことに対してかかる経費というのはできるだけ抑えるべきであると考える。

ランドセルの価格帯は4万円〜かなと思う。高いものでは10万円以上のものもあるそうだ。個人の趣味であるのならば、何も言う事は無いが、ランドセルはそうではない。

地域差があるものの、学校によってはほぼ全児童が問答無用でランドセルを使用している。そこに各家庭の思いなどは入る余地がない。学校の先生ですら「小学生はランドセルで来るもの」なんて思っているのかもしれない。

京都府発祥のランリックというものがあることを知った。地元企業のマルヤスへ届いた一通の手紙。そこには家庭の貧しさからランドセルを買ってあげることができない親からの悲痛な叫びがしたためられていたそうだ。それがきっかけとなりランリックの製造が始まり、今では年間に一万個も作られているそうだ。

ランリックは価格が1万円ほどで強度も十分。容量もランドセルのそれを上回る。京都の小学生の通学風景はランドセルではなくランリックがスタンダードだそうだ。

この事実に驚く小学校教員も多かろう。僕も勤めて10年になるが、ランドセル以外を背負う小学生の通学風景は見たことない。

つまり、自分の子どもが通う小学校の児童がランドセルを背負っているのならば、ランドセルというのは「必ず買わないといけない学用品」になり、4万円〜の出費は確実になるのだ。

これは贅沢のできない家庭にはなかなか酷な話である。僕が使っているカバンは2000円である。強度バッチリで毎日の通勤にも2年間耐えてくれている。ちなみに4万円のカバンなど買おうとも思った事は無い。

「自分の子どもには不便な思いをさせたくない」。そんな保護者心理や少子化の影響も相まってランドセルの高価格化は進んでいくかもしれない。

ランドセルを語る上で必ず出てくるキーワードは、安全面と耐久性。

安全面で言うのならば、児童が転けた際には頭部を守ってくれると言うものが多い。確かに、後方へ転けた場合は頭部を衝撃から守ってくれる事は想像にた易い。

しかし、児童の安全が第一であるのならば児童の登下校時のヘルメット着用を義務付けたらいい。ランドセル使用の目的はあくまで「学用品の運搬」であるのならば、ランドセルの安全面の話はその趣旨から逸れるような気がする。

耐久性はどうだろうか。確かに、小学生が雑に扱っても壊れることが少ないのがランドセルである。投げても蹴ってもぶつけても、雨にも風にも雪にも耐える素晴らしい耐久力を発揮してくれる。

しかし、それは4万円〜という価格だからでは無いか。そして、そこまでの耐久性が果たして求められるのだろうか。先ほどの話で言うのならば、僕の通勤カバンは2000円である。もちろん投げたり蹴ったりはしないから比べる事はできないが、子どもが毎日身につけるものにやはり4万円〜は高い気がする。仮に2000円のカバンでも多くの児童は1年間使い続けることができるだろうし、毎年買い替えても総額12000円で済む。コストパフォーマンス的にも4万円〜は6年間で元が取れないのでは無いだろうか。

こう考えると、小学生が一律に買わないといけない学用品としてのランドセルには違和感だらけである。

僕はランドセルは小学生に必要ないと改めて思った。