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コミュニティとしてのメンバーシップビジネス


私の故郷、京都には祇園という他の飲食業界とは一線を引いた特殊な街があります。その軒先には看板らしい看板もなく、暖簾と表札があるだけ。或いは小さく「会員制」というプレートが掛かっています。「いわゆる一見さんお断り」というやつです。誰かの紹介がなければその扉の向こうには入れない、外界とは一線を引いた闇の世界…。外から見ればそんな印象だって持ちかねませんが、しかしいったん中に入って仕舞えば、そんな印象もたちまち消えてしまうでしょう。もちろん敷居は少し高いですが、なぜか足はそちらに向いてしまう。客は女将と会うことを楽しみにしているし、女将はそれに心からのもてなしで返してくれる。気がつけば客同士にも縁が生まれる。互いにこの店が気に入り、女将が好きなわけですから、客同士も話が合うし、やがて気心もしれて非常に居心地の良い空間になっているのです。これがメンバーシップビジネスであり、コミュニティとしての飲食業の雛形だともいえます。オフラインマネジメントによるオフラインマーケティングの構築…と言えるかもしれません。そして私たちはこれにオンライマネジメントを取り入れる。そうすることによって可能になるのは拡散力の効率化です。人々の暮らしの中にこれだけ浸透しているSNSツールを、苦手意識で片付けていたらどうなるでしょうか?

サブスクリプションサービスの導入もコミュニティビジネスの新しい形です。月間や年間その期間を定めて、利用し放題の特典を設ける。ただ特典だけではなく、何かしらの特別な権利を設ける。そのメンバーシップだけが知り得る情報や権利を設ける。その情報はSNSを通じて常に更新され、ただ代金のお得感だけではなく、「私たちだけ」の空間を創造し、繋がりを演出していくのです。この演出ができるかどうかは、かなり重要なウェイトを占めますが、ここにかけるウェイトを軽んずれば成功までの距離は遠ざかるのではないでしょうか?

今多くの事業主には何を手にし、何を捨てるかを迫られている。そんな時代に来てしまっています。まさに試される時代なんだと思います。


つづく→

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