見出し画像

新型コロナウイルスと戦う医師として思うこと②〜実際に検査できる人の基準〜

個人情報保護のため、一部情報を隠した記事になっております。

この記事を書かせていただこうと思った理由は『メディアの情報に流されている方』が非常に多く、日々増えている「自称コロナウイルス患者さん」で救急診療が圧迫されそうに感じたからです。

そのような患者さんみなさんに共通して言えることは、大変よく勉強されているということです。そのような方に向けて、「この症状では新型コロナウイルスの可能性が低いという安心の材料になったら」と思い記事を書かせていただきました。

早速ですが、

新型コロナウイルスが疑われる症状は以下になります。

(1)発熱(37.5℃以上)
(2)倦怠感(体のだるさ)
(3)のどの痛み
(4)鼻水
(5)咳(せき)
(6)痰(たん)
(7)息苦しさ
(8)臭いがわかりにくい
(9)味がわかりにくい
(10)吐き気・嘔吐
(11)下痢

このように、普通の風邪や胃腸風邪などでも起こってしまう症状を含んでいます。
今回は、「こんな病気(?)」「こんな体の状態」でも、上記の症状が起こるよ!という風に書いていきたいと思います。

(1)発熱(37.5℃以上)

新型コロナウイルス肺炎で検査できる可能性が高い方は、この37.5℃以上の熱が長く続く方になります。数日だと普通の風邪やインフルエンザの可能性もあり、感染症など体の中で炎症が起こると熱が出るので、一概にはいえません。ほとんどが普通の風邪です。夏場だと、熱中症でも熱が上がります。

(2)倦怠感(体のだるさ)

こちらも圧倒的に風邪で体のだるさが出ることが多いです。また、熱が出ると比例して体もだるくなります。寝不足やストレスでも体のだるさは出ますので、普段の生活に何か変化がなかったか思い当たることがないか思い返してみてください。便秘や花粉症でも体がだるくなります。

(3)のどの痛み

風邪で喉が痛くなることが圧倒的に多いです。ちょっと昨日寒かったからとか、クーラーを付けっ放しで寝たりすると喉が痛くなります。お酒をたくさん飲んだ翌日や、たくさん話をした後も喉が痛くなります。

(4)鼻水

アレルギーのある人は年中出ているのではないでしょうか?花粉症もアレルギーです。風邪でももちろん鼻水は出ます。鼻水が出ているからといって新型コロナウイルス肺炎ではありません。

(5)咳(せき)

咳は風邪でも出ますし、細菌性肺炎でも出ます。また、血圧の薬であるACE阻害薬を飲んでいても咳が出たり、何か誤嚥してしまった時にも咳が出ます。咳だけ出る新型コロナウイルス肺炎は非常に非常にごく稀でほぼないと言ってもいいでしょう。

(6)痰(たん)

痰は気道の中の分泌物が多いと出てきます。気道の炎症が原因で、気道の壁にある細胞から分泌物が出てきます。それが口から出てきたものが痰です。ちょっとした風邪や肺炎でも出ますし、タバコを吸っている方も出ますね。

(7)息苦しさ

外来で診療していて「コロナウイルスが心配です!」という方に一番多い訴えになります。そのような方は、ストレスの信号が出てしまい息苦しさを感じてしまっています。息苦しさは、サウナのように蒸し暑かったり、食べすぎたりでも起こります。息苦しさで怖いのは心臓が原因の病気です。もともと心臓が悪いと言われている方で、ヒューヒュー言っていたり、特に横に寝ている時に呼吸が苦しいと心不全が疑われます。

新型コロナウイルス肺炎では、症状が軽度だと息苦しさはおこらない方が多いです。むしろ息苦しさが出ていて、熱が継続してずっと出ている状態であれば、即日入院するレベルの状態だと思います。

(8)匂いがわかりにくい

鼻が詰まっていること、特に花粉症やアレルギー疾患が原因で、匂いがわかりにくくなることがあります。

(9)味がわかりにくい

亜鉛障害が有名ですが、年齢とともに味覚が少しおかしくなったりもあるようです。新型コロナウイルス肺炎の症状として、味がわかりにくいと言う人は全体の数パーセントと言う論文が出ています。わかりやすい症状ではあるので、メディアでよく流れています。味覚障害はある意味特徴的な症状かもしれません。

(10)吐き気・嘔吐

食べすぎたりすることで吐き気や嘔吐が起こることはないでしょうか?お酒を飲みすぎた時もそうです。熱が出て同様の症状が出ることもよくあります。

(11)下痢

お腹が冷えてしまったり、水を飲みすぎたり、牛乳を飲んだり、ちょっとした食中毒だったり、熱が出るだけでも、いろんな理由で下痢が出ます。


最後に『PCR検査』をする人はどんな人か。

新型コロナウイルス肺炎の検査をする方は、上のような症状がしっかりと出ているだけでなく、ポイント要素としては、

「濃厚接触者である。もしくはその可能性が少しでもある。」

が挙げられます。濃厚接触者は即でPCR対象になることがほとんどです。
(病院で検査したいからと嘘はつかないでくださいね!)

また、病院での問診票では以下も聞かせていただくことが多いです。以下の問診の答えも含めて、PCR検査をするかどうかを総合的に判断します。

・「2週間以内に県外や海外へ行っていた方」
・2週間以内に「海外や香川県以外に行ったあと、発熱と咳がでてきた人」 と一緒にいた
・2週間以内に、50名以上が集まるイベントに参加しましたか?
・不要不急の外出がある。具体的には、2週間以内に県内・外によらず、いわゆる”3密“(換気の悪い密閉空間、多くの人の密集する場所、近距離での密接な会話)の機会はありましたか?例:複数人での飲食、家族以外の複数人での飲食、集会参加、集合しての運動、カラオケ、ライブ参加、パチンコ、マスクなしでの満員電車、満員のバスへの乗車など

自分がコロナウイルスかなと心配になる方は多いと思います。
私も接している以上、少し体調を崩してしまった時心配になりました。
医師でも心配になる理由は、コロナウイルスが目に見えないからです。

検査する人の基準ができているのはPCR検査の数に限られているからで、PCR検査による陽性が増えて医療崩壊を防ぐためです。

皆さんの冷静な判断で、コロナウイルスと日本国民全員で戦いましょう。
自分で判断できないときはまず保健所に電話をしましょう。
自粛に疲れ始めている時期だと思いますが、気を緩めるのはまだまだ早いです。

meduonでは5/10から
「医療者と飲食店を手助けするクラウドファンディング」をします!
以下のリンクから賛同していただける方はサポートお願いします。
https://camp-fire.jp/projects/view/264274