患者さんが次々とブログで「VRリハビリ入院レポート」を発信する背景は? 第5回カグフェッショナル・岩砂病院・岩砂マタニティ
現在、アメーバブログで「VRカグラ」と検索すると、VRリハビリ入院をされた方のレポートがたくさんヒットします。その多くが、岩砂病院・岩砂マタニティでVRリハビリ入院された方のもの。同院には、ブログを読んだ方からの問い合わせが多数寄せられているといいます。こういった現象が起こる背景には、一体何があるのでしょうか。
第5回カグフェッショナルでご登場いただいたのは、岩砂病院・岩砂マタニティカグラチームのメンバー7名。VRリハビリ入院の体制と広報戦略、実際の症例や大事にしていることについてご紹介いただきました。
カグラチームを結成し、対象疾患や効果判定方法、広報戦略を決定
森先生:本日はこのような発表の場をいただきありがとうございます。昨年の6月にリハ医学会で原先生の講演を聞き、「うちの病院にもmediVRカグラを入れるしかない」とすぐに準備を始め、11月に導入しました。それからちょうど1年。まだ試行錯誤しながら使っている段階ですが、患者さんが回復し喜ぶ姿を目の当たりにして、本当に導入してよかったと思っています。今回はせっかくの機会ですので、カグラチームのメンバー全員で交代しながらお話させていただきます。
藤岡先生:まずは簡単に、当院の概要を説明します。岩砂病院・岩砂マタニティは岐阜県南西部にあり、内科・リハビリテーション科・産科・婦人科を有する病院です。一般病床・地域包括ケア病床・回復期リハビリテーション病棟・産科病棟のベッド数は132床、そのうち回復期リハビリテーション病棟は40床。リハビリテーション部には、理学療法士22名、作業療法士19名、言語聴覚士7名が所属しています。
藤岡先生:回復期リハビリテーション病棟は岐阜市内にある岐阜県総合医療センター、岐阜大学付属病院、岐阜赤十字病院から紹介いただくことが多く、脳血管リハビリテーションが120〜130件、運動器リハビリテーションが60件前後、心臓リハビリテーションが15件、廃用症候群などその他の病状が50件前後となっています。
矢代先生:当院がmediVRカグラを導入したのは、従来のリハビリでは十分な効果が得られなかった症状を改善し、患者さんの今後の生活・人生をより豊かなものにできる可能性があると考えたからです。当院が岐阜県初の担い手となって適切にmediVRカグラを運用し、その効果を経験してもらうことを目指しました。
導入にあたり、まずはプロジェクトを立ち上げました。当院では10年前にも最新リハビリ機器を導入したのですが、誰を対象にどうやって運用するかをちゃんと決めていなかったため、うまく活用できなかったのです。そこで今回は、スタッフに意気込みを文章にしてもらってカグラチームのメンバーを選定し、設置場所や対象疾患、実施頻度や効果判定方法、広報戦略などを詰めていきました。2023年11月の導入当初は当院入院患者さんに絞って実施し、2024年1月からかかりつけ患者さんへと対象を広げ、4月以降はかかりつけ以外の方、遠方から問い合わせしてくださった方も受け入れています。
プレスリリース配信、県民公開講座、患者さんのブログ発信、近隣病院への訪問により、mediVRカグラ導入が広く知られていく
矢代先生:広報戦略についてお話すると、導入後にプレスリリースを配信したところすぐに岐阜新聞の取材が入り、元日に大きく掲載されました。また、岐阜県理学療法士協会が主催している県民公開講座で講演を行い、mediVRのみなさんのご協力のもと体験ブースも設置しました。これにより多くの方に知ってもらえたと感じています。当法人の機関紙でもmediVRカグラを特集し、近隣クリニックやケアマネジャー、患者さんへの周知を図りました。
矢代先生:さらに、こちらが意図したわけではないのですが、VRリハビリ入院をされた患者さんがブログでレポートをしてくださって、その文章を読まれた方から「自分もVRリハビリに挑戦したい」と当院に問い合わせがあったり、同じようにレポートしてくださる方が続いたり、という嬉しい反響がありました。日々のリハビリの内容だけでなく、スタッフの姿勢や想いなども汲み取って書いてくださっていて、嬉しい限りです。
綴られている文章を読むとみなさんの想いが伝わってきて、「なんとか力になれたら」と心から思いますし、仕事に対する動機づけにもなっています。患者さんやご家族の想いを尊重できているか、常に振り返りながら丁寧にリハビリを進めていかなければ、と襟を正しました。本当に、感謝でいっぱいです。
矢代先生:加えて、近隣クリニック向けにmediVRカグラの簡単な動画も制作しました。患者さんに1分ほどで説明できる資料があるといいだろうと考えたためです。この動画やmediVRカグラのパンフレットを持って26の医療機関を訪問したのですが、興味を持ってくださる先生が多く、「この患者さんにVRリハビリはどうだろう」とご紹介いただけるようになりました。今後も定期的に訪問したいと考えています。
リハビリ入院前後のBBS、100m歩行、TUGの変化の記録
矢代先生:次に、リハビリ入院の流れをご説明します。患者さんからお問い合わせいただいた際は、かかりつけ医から紹介状をいただくようにしています。その後、当院内のカグラカンファレンスで受け入れるかどうかを話し合い、医療連携室で入院調整をして受け入れ準備を行います。
入院時は初日に初期評価を実施します。2日目以降は患者さんによって異なり、午前・午後とVRリハビリをする方もいれば、片方は筋力トレーニングなどをする方もいます。カグラチームでは毎週木曜にカンファレンスを開催して効果や難易度の設定について話し合っています。退院前日に最終評価を実施して終了、というスケジュールです。
矢代先生:共通評価として、歩行評価:10m歩行速度(快適・努力)、バランス評価(Berg Balance Scale、Timed Up & Go test)、精神面の評価(HADS)、動画撮影(立ち上がり、歩行)はすべての患者さんに必ず実施しています。症状や状態に応じて、FMA、MAS、ROMなどを追加することもあります。
伊藤先生:ここからは、昨年11月から今年9月までの患者さんの変化についてご紹介します。VRリハビリ自体はこれまで100名ほどの方に実施していますが、BBS、100m歩行、TUGの3つの評価が揃っている67名を対象に分析しました。
伊藤先生:10m歩行テストの快適速度は、全対象者合わせて平均して5秒短縮しました。骨折の方に限ると6.5秒の短縮です。最大速度でも骨折の方は著しい変化が見られ、全体でも1.9秒短縮しています。
伊藤先生:TUGも同様の結果が出ています。方向転換の滑らかさは一目瞭然で、患者さんご自身も実感されることが多いです。私たちも短期間の入院でこんなに変化が出るのかと驚いています。BBSも+4点と大きく改善していますね。
脊髄小脳変性症、進行性核上性麻痺の症例紹介
萩野先生:私からは症例報告をさせていただきます。まずは、脊髄小脳変性症の60歳代女性の症例について。めまい症状を自覚されてから7年、脊髄小脳変性症と診断されてから3年が経過したタイミングで当院に入院されました。患者さんの主訴はめまいとふらつき。日常生活はセルフケア、家事動作、歩行が自立。屋内ではつたい歩き、屋外ではノルディック杖歩行をされていました。
萩野先生:入院中の治療経過ですが、1回目のリハビリ治療直後から歩行しやすさの実感があり、独歩での左右ふらつきが減少。3日目には1段10cmのリハビリ階段を手すりなしで昇降できるようになりました。また、リハビリ中に頸部回旋をしてもめまいが起きなくなりました。5日目にはめまいが6割程度まで改善し、患者さんの実感としてもかなり楽になったようです。8日目は不整地歩行で独歩が可能となり、9日目には1段20cmの病棟階段を手すりなしで昇降できるようになりました。
萩野先生:動画は左がリハビリ前、右がリハビリ後の立ち上がり動作です。リハビリ前は左右に動揺していますが、リハビリ後はかなりスムーズになっているのがわかると思います。
萩野先生:次に歩行動作。リハビリ前はふらつきがあり撮影していて少しひやひやしましたが、リハビリ後はかなり自信を持って歩かれています。ふらつき、歩行速度が別人のように違いますね。
萩野先生:継ぎ足歩行ですが、リハビリ前は足を合わせる際にうまく身体を支えられていません。リハビリ後もまだふらつきはあるものの、継ぎ足歩行はちゃんとできるようになっています。
萩野先生:最終評価ですが、SARA、BBS、10m歩行テスト、TUGとすべての項目が大きく改善しています。バランスが良くなり、杖よりも独歩のほうが早くなりました。
安藤先生:続いて、進行性核上性麻痺の70歳代女性患者さんの症例を報告します。歩行時のふらつきが出現してから5年、進行性核上性麻痺と診断されてから3年が経過したタイミングで当院にリハビリ入院をされました。患者さんの主訴は歩行時、特に方向転換時のふらつきで、ADL・家事動作・歩行は自立。屋内はつたい歩きもしくは杖使用、屋外は歩行器を使用されていました。
安藤先生:治療経過ですが、初回のリハビリ実施直後から足の軽さ、歩きやすさを感じていただけました。3日目には歩行速度が向上し方向転換が安定。5日目には病棟内で歩行器を使わず独歩で移動されるようになりました。8日目は薬が切れて動きにくさを感じる時間帯にVRリハビリを実施したところ、歩行速度が6秒速くなりました。
安藤先生:動画は、左が入院時、中央がリハビリを2回実施した後、一番右が退院時のものです。入院時は歩行にふらつきがあり見守りが必要だと感じましたが、2回実施した後から方向転換などの動きが別人のように変わりました。
安藤先生:最終評価としましては、BBSが44点から56点に向上、満点になりました。360度回転も右23.6秒/左21.3秒から右3.2秒/左3.2秒へ改善。私たちも嘘ではないかと思ってしまうほど方向転換の動きが良くなりました。10m歩行は独歩と杖で測りましたが、途中から杖が必要なくなっていたため、独歩のみの評価になっています。HADSの結果も良く、ご本人も精神面の改善を実感されていました。
安藤先生:また、学術活動として、今年度は4演題を学会で発表しました。「没入型Virtual Realityを使用し1週間の入院加療を実施した慢性期脳卒中症例(第34回岐阜県理学療法学会学術集会)」「脊髄損傷による下肢痙縮に対してVirtual Reality治療を介して運転支援を実施した症例(第39回岐阜県病院協会医学会)」「没入型Virtual Reality機器を用いたリハビリテーション効果の報告(第39回岐阜県病院協会医学会)」「大腿骨近位部骨折術後患者に対するVirtual Reality治療が有用であった3例(第58回日本作業療法学会)」です。
「驚かされるのはいつもわたしたちのほうです」
安藤先生:当院の課題についてもお伝えします。今回ご紹介した患者さんでは顕著な効果が出ていましたが、すべての患者さんに同様の効果が出ているわけではありません。mediVRリハビリテーションセンター大阪へ研修に行った際、セラピストのみなさんが小さな代償動作も見逃さない目を持っていらっしゃることに驚きました。私たちも、修正すべき代償動作を見つけ、適切に難易度調整ができるようになる必要があります。
そのための取り組みとして、患者さんに最初にVRリハビリを実施する際は、mediVR社にウェブサポートを依頼しています。毎週月・水・金の午後にお時間をいただき、一緒に患者さんの動きを見ていただいています。また、VRリハビリ実施中に動画を撮影し、スタッフ間で「ここではもっとこういう声かけをしたらよかったのでは」といった振り返りを行なっています。来年1月からは、健常者に対してVRリハビリを実施し、代償動作を見つける訓練をしていく予定です。
安藤先生:カグラチームではいつも、患者さんの心身の変化、患者さんの受け止め方、難易度の振り返り、次の戦略などの話題で盛り上がっています。mediVR社のフォトアルバムに、「驚かされるのはいつもわたしたちのほうです」と書かれていますね。私たちも本当に同じ気持ちで、VRリハビリを通して人の持つ可能性にいつも驚かされています。プレゼンは以上となります。ご清聴ありがとうございました。
患者さんに向き合い試行錯誤しながらリハビリを組み立ているから、高いパフォーマンスが出せる
ここからは、参加者のみなさんから寄せられた質問に答えていただきました。
仲上:琵琶湖中央リハビリテーション病院さんから、「入院の際のカグラカンファレンスではどのような内容を話し合われていますか? また、価格設定について、答えられる範囲で教えていただけると幸いです」という質問が届いています。
矢代先生:カグラカンファレンスでまず焦点になるのは、当院がVRリハビリの対象としている疾患かどうか、期限内であるか。そこが問題なければ、ご自宅での状況、かかりつけ医の意向を確認し、当院内の医師や病棟看護師の意見も踏まえて、「この方はこれくらいの期間がいいのでは」と話し合います。入院後に狙った効果が出ていない場合は、どうすればうまくいくか、メンバーそれぞれの視点を持ち寄り、上下関係なく意見を出し合っています。通常の疾患別リハビリの一環として取り入れておりますので、価格設定などはありません。また、自費リハビリは行っていません。
仲上:続いて、ウェルフェア北園渡辺病院さんからの質問です。「ご本人ご家族に説明する際は動画のほかどういった資料を使っていますか?」「動画の撮影、ウェブサポートなどの際に同意書は取られていますか?」「嚥下機能の評価はされていますか?」の3点です。
矢代先生:説明の際はmediVRカグラの公式パンフレットを使用していて、mediVR社からしょっちゅう追加で送ってもらっています。同意書は2部用意し、リハビリの前に必ず署名をいただくようにしています。
安藤先生:嚥下機能については、摂食嚥下の面で当院に入院されている方はまだあまりいらっしゃいません。ただ、当院ではST(言語聴覚士)が評価をしており、構音障害が良くなる症例も確認しています。mediVRリハビリテーションセンター大阪を訪問した際に50音を音読する所要時間を測定されていたのを拝見し、当院でも行うようになりました。
仲上:甲州リハビリテーション病院さんからも複数の質問が届いています。まずは、「再入院される方もいらっしゃるのでしょうか。再入院の時点で能力が継続していたか教えていただきたいです」「再入院を受け入れる場合はどれくらい期間を空けますか」という質問についてご回答お願いします。
伊藤先生:再入院時はやはり退院時に比べると体の状態が若干元に戻っているのですが、初回入院時よりも高い状態を維持できている方が多いです。
矢代先生:再入院の際は数ヶ月から半年空けるようにしています。
原:VRリハビリのキャリーオーバー効果についてはよく質問されるのですが、僕らは疾患によって異なると考えています。整形外科疾患の患者さんは高確率でキャリーオーバーされますね。脳梗塞後は罹病期間にもよりますが片麻痺症状に対する代償動作により痙縮症状は少し戻りやすいです。神経変性疾患で病気の進行スピードが早い方の場合、リハビリの効果が自然経過による悪化で覆されてしまうこともあります。
仲上:次は「脳性麻痺の成人の方がいたら、効果や注意点を教えてください」という質問がきていますが、岩砂病院さんでは脳性麻痺での経験症例があまり多くないと思います。代理で、参加者の西部島根医療福祉センターさん、お答えいただいてもよろしいでしょうか?
西部島根医療福祉センター:当院にいらっしゃる脳性麻痺患者さんはかなり症状が重いのであまり参考にならないかもしれませんが、お答えします。まず効果についてですが、VRリハビリの直後は歩行が良くなり、クローヌスと腱反射は減弱していると感じます。上肢のSTEFや巧緻動作の点数も上がってきていますね。ただ、その効果が継続しているかと聞かれると、まだ私たちがVRリハビリに慣れていないこともあり答えるのが難しいところです。注意点ですが、VRを介したリーチング動作の感覚を掴むのに時間がかかる方、注意が向きにくい方もいらっしゃるので、たくさん声かけをして、手取り足取り行うことを意識しています。
原:子どもの頃から脳性麻痺で、40〜50代になってもう体がガチガチに固まって動かないという方の場合、やはり最初から目に見える効果を出すことは難しいんですね。ある程度の治療回数が必要です。たとえば首が右横で固定している方の場合、僕たちは正面に的を出しません。右横を本人にとっての正面と考えて的を出します。患者さんに合わせて課題を出すことを繰り返すなかで、どんどんクローヌスが取れていく。
また、重症の方の場合、うまくコミュニケーションが取れていないように見えてしまうことがあります。でも、頸部の緊張が高すぎて喋れなかったり、思った方向に首を動かせなかったりするだけで、実はちゃんとこちらの指示を理解して、その通りに動こうとしていることも多いんです。本人が一所懸命動こうとしているときは、改善を信じて続けることがとても重要です。
一方、クローヌスが落ちてくると力が入りにくくなり、転んでしまうことがあるので注意が必要です。子どもだと、痙縮が落ちると身長が数か月で10cm伸びることもあるんですよ。そうすると相対的に筋力が足りなくなるから、筋トレが必要になります。既存のリハビリとVRリハビリを組み合わせ、必要なことを補完しながら患者さんにアプローチすることが必要ですね。脳性麻痺は本当に、総合力勝負だと思っています。
仲上:再びウェルフェア北園渡辺病院さんからの質問です。「mediVRカグラは何台導入されていますか」。
矢代先生:1台で毎日フル稼働しています。2台目の導入も考えていないわけではないのですが、まずは1台でより多くの方に効果を出せるようにするところからですね。
原:1台でこれだけの実績を出しているのがすごいですよね。上手に運用してくださっていて嬉しいです。mediVRカグラは、使えば使うほど得なんですよ。使いまくって壊れたら新品に交換しますから。
仲上:次は心身機能支援サービス「精神と身体と時の部屋」さんからの質問で、「症例ごとにおける狙いをどのように決めていくのか教えてください」という内容です。
萩野先生:リハビリは患者さんと一緒に作り上げていくことを大事にしています。決まった手順はなく、患者さんの訴えをもとに、前後の手応え感も考え、ウェブサポートのアドバイスも参考にしながら狙いを見出しています。
安藤先生:患者さんが何を狙っていきたいか、どこを改善したいかをしっかり聞くところがやっぱり一番ですね。先日も患者さんが「協調的な動きを治すか、歩き方を治すか」ですごく悩まれていて、mediVRさんにも相談して両方とも狙うことにしました。
原:セラピストさんの中には、「こういう場合はこれを何回行う」とスタンダードなプロトコルを作って回している方もいると思います。そうしたなかで、岩砂病院さんがこれだけ患者さんから高く評価され信頼されているのは、一例一例に合わせてリハビリをアレンジしているからではないでしょうか。
「打診」という言葉がありますが、これは患者さんの体を指先などで叩き、その響きや反応をもとに診察するという手法です。医療においては、患者さんに介入をしたときの反応を見て、それによって治療の方向性を決めていくことが非常に重要です。岩砂病院さんは、患者さんの意見を聞きながら、反応を見ながら、色々試してうまくいった方法をどんどん追求していくから高いパフォーマンスを出せているのだと、今日お話を伺っていて感じました。
仲上:参加者の先生からの質問は以上です。みなさん、本当に興味津々の様子でしたね!
原:では、僕からも質問をさせてもらっていいですか。僕が専門とする循環器内科領域では、大動脈弁置換術や心房細動アプレーションなど新しい治療を始めるとき、近隣の病院に宣伝しに行くことが多いんですよ。リハビリ領域でそういうことをしている病院の実例はあまり聞いたことがなかったのですが、岩砂病院さんは地域の病院にきちんと周知しているから患者さんの紹介が得られるのだと思いました。以前からこういう取り組みはされていたのですか?
矢代先生:当院では昔からリハビリスタッフが年に2回は必ず急性期病院に顔を出す伝統があります。今回はそれに加えてクリニックにも訪問しました。
原:興味深いお話ですね。もし集患を積極的に進めたいという施設があれば、ぜひ真似をしてみるといいのではないでしょうか。また、「今後は健常者にVRリハビリを試す」とおっしゃっていましたよね。これはすごく重要です。健常者でもある閾値を超えると必ずだれでも身体動作や認知の異常を検出することができます。健常者に対してうまく負荷調整ができるようになると、患者さんのリハビリはより簡単に感じるようになると思います。ぜひ、ほかの施設でも練習方法として試していただけると幸いです。
仲上:話は尽きませんが、そろそろ終了の時間です。
原:最後にひとつだけ。岩砂病院さんの患者さんのブログを見て、僕は希少難病の治療機器「mediVRカグラTherapeutics(仮)」として保険収載を取りに行こうと思いました。脊髄小脳変性症や進行性核上性麻痺の治験をして保険収載を実現し、全国の病院でVRリハビリを受けられるようにしたい。困っている患者さんに質の高い医療を届けたい。そのことに会社としてきちんと取り組もうと決心できたのは、岩砂病院さんのおかげです。患者さんが喜ぶ姿を見ることが医療者には何より嬉しいことですし、現代医療を前進させていきたいですね。もしよろしければ、岩砂病院さんも治験に参加してもらえるとありがたいです。今日は本当にありがとうございました。
仲上:では、私からも最後に恒例の質問をさせてください。「あなたにとってmediVRカグラとは?」
矢代先生:今日の昼、カグラチームでこの問いかけをされたらどう答えるか話し合っていました。「未来」や「希望」などいろいろ候補が出たのですが、僕は「三方良し」が一番しっくり来ると思っています。患者さんは症状が改善して嬉しく、我々も動機づけされて、地域貢献にもなる。みんなにとっていいものなんですよね。そういう意味でも、mediVRカグラにはいつも驚かされています。
仲上:なんてすばらしいコメント! めちゃくちゃ嬉しいです。みなさま、今日は本当にありがとうございました!
■岩砂病院・岩砂マタニティhttps://iwasa-gifu.or.jp/■mediVR https://www.medivr.jp/
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