アヤワスカ関連論文日本語訳②:アヤワスカはスマートドラッグなのか?

0、はじめに

これはアヤワスカやDMTに関する論文の、ド素人によるドチャクソ大雑把な和訳まとめです!
決してこの和訳だけを妄信せず、引用元の文献リンクをGoogle翻訳等にかけながら自己判断の上お読みください。

さて。
前回は「アヤワスカを長期間使用すると脳の構造が一部変わって、性格が楽観的になって脳機能テストの結果が一部向上するよ」的な論文を和訳してみました。

で、読み返してみて思ったのですが。

クッッッッソ長い上に面白みの欠片も無い文章ですね!!!

そこで今回は、「ここだけ読めばとりあえず分かるよ」というまとめを以下に置きますので、それを読んだら後はもう長いので読まなくてもOKです。
気になった方は「結果」を中心にお読み頂ければと思います。

1、概要(ここだけ読めばOKです)

アヤワスカを長期間使用するとどうなるのかを調べる為、都市部、又はジャングル(田舎の事だと思います)の2ヶ所でそれぞれアヤワスカ長期使用者と非使用者を集めて、脳機能、性格、そして人生に対する価値観や幸福度(人生の意味や目的を見出しているか、社会心理的に幸福か、宗教への信仰やスピリチュアル性があるか)を調べてみました。

結果、細かな違いはあれど都市部でもジャングルでも同じ様に、アヤワスカ長期使用者は非使用者より

・前頭葉の機能が一部向上している
・精神疾患の傾向がとてつもなく低い
・悲観的指向や内気になりにくく、精神的に疲れにくい
・自己責任性・自発性が弱い
・愛着心や人に喜んでもらおうとする傾向がある
・共感的・同情的
・自己超越性(スピリチュアル傾向?)が強い
・人生に対する目的意識が高い傾向にある
・社会幸福度が高い

という違いが見られました。

要は、アヤワスカを何年も飲んでいる人は、
「自分に責任を課さず自発性が弱い一方、落ち込みや疲れ、精神疾患の類になりにくく、人に喜んでもらう事が好きで共感力が高く、また宗教やスピリチュアルに対して受容的な性格になる。
また、社会的な幸福度が高まり、そして前頭葉機能が一部向上する」
という傾向になる、という話です。(あくまで傾向であって、全人類がそうなる訳では無いです。)

ただ一つ問題なのが、この実験ではアヤワスカ長期使用者と非使用者とでIQが同じになるように調整していません。
よって脳機能が向上したのは、アヤワスカを摂取しているからなのか、それとも元のIQが既に高かったのか、どちらが理由なのかハッキリ言う事が出来ません。
(ただ前回の論文ではIQを揃えた状態で比較しており、そこでも前頭葉機能は同じ様に一部向上していたので、やっぱり向上するんじゃないかと個人的には思います。)

という概要です。

で、以下は個人的意見なのですが。

これスマートドラッグになりそうじゃね?

スマートドラッグという言葉をご存じでしょうか。
スマートドラックとは、文字通り「スマート」になる「ドラッグ」、飲むと認知能力向上の助けになると言われている薬の事です。
例えば認知能力に悪影響をもたらす鬱や憂鬱を防ぐ薬、神経の成長を促進させたりダメージから保護したりする薬など、スマートドラッグには色々な種類があります。
「何が何でも頭が良くなりたい」という一部の方々は、こういった類の薬を日々買っては飲んだりしているのです。

さて、アヤワスカ。

アヤワスカはこの論文に示された通り、『飲むと精神疾患の傾向が著しく低くなり、不安や疲れを起こしにくくなり、社会的幸福度が上がる。
そして前頭葉機能のテスト結果が一部向上する。』とあります。

これ、スマートドラッグの必要事項をバッチリ満たしていると思うのですが。
認知能力に悪影響を及ぼす鬱どころか精神疾患全般の傾向を著しく弱め、疲れにくくなり幸福度が増して、そして実際に前頭葉機能テストの結果が向上する事が、実際のヒトを調べた実験で示されたという事です。

これって凄い事では?
飲み続けて前頭葉機能が実際に上がった事まで証明されたスマートドラッグって中々無いと思うのですがどうでしょう。
さらに言えば、細かな話になって来るのですが、アヤワスカは神経細胞の新生促進、ダメージ低減にも関わって来ます。
まぁアヤワスカというかDMTは、元は酸素不足からのダメージを抑える目的で人体から出される物質でもありますしね。
作用機序的にはセロトニン受容体とかシグマ1とかBDNFとか、そういった呪文みたいなタンパク質が関わっているのですが、ここでは割愛します。

とにかく言いたい事としまして、
「アヤワスカは一部ではあるものの、ヒトにおいて前頭葉機能の向上効果を実際に示した物質」という事です。
ここまでハッキリ「前頭葉機能が向上する」という結果がある事を踏まえると、これはもうスマートドラッグの最大手として行けるんじゃないか?と、あくまで個人的には、そう思います。

(注意。
まず、これはあくまで素人の私感です。URLから実際の論文に飛べますので、ご自身の目で見てご判断ください。
次に、この論文では前頭葉機能を測るテストを行っただけで、運動など他の部位の機能は調べていません。
前回の論文の「後帯状皮質の皮厚が薄くなる」という結果を踏まえると、別の部位の機能が衰えている可能性も決してゼロではありません。
(ただし、後帯状皮質ってうつ病で過活動する部位でもあるんですけどね。)
更にこの論文では「自己指向性」に関わる項目は低下しています。
それを踏まえるとおいそれとスマートドラッグを名乗って良いのか気になる所ですが、まぁスマドラってそもそもヒトに飲ませて実際に脳機能が上がるか調べた物が少ないですしね……。)

そして最後に1番大事な事を。

この記事は、幻覚剤を含む全ての薬物の使用を幇助する物ではありません。

むしろ、充分な知識もないままみだりに薬物を使用する事は大変危険であり、薬の飲み合わせによっては最悪死にます。

「面白そうだから」「この記事で頭が良くなると書いてあったから」と、軽率な気持ちで試したりすると、良くて一時的に宇宙空間に精神を放り出され、悪ければ薬の飲み合わせにより死にます。(具体的に言うと、SSRI系の抗うつ薬や覚醒剤と飲み合わせると危険です。)

軽率な薬物使用は、合法な物であれ違法な物であれ危険ですのでやめましょう。


以上!後はもう見なくていいです!解散!

という事で、以下はクソ長ったらしい上にクソつまらない和訳まとめを載せますので、興味がある方、もしくは暇な方のみご覧ください。

2、論文タイトル


Personality, Psychopathology, Life Attitudes and Neuropsychological Performance among Ritual Users of Ayahuasca: A Longitudinal Study
「アヤワスカの儀式使用者における、性格、精神病理学、生活態度および神経学的パフォーマンスの縦断研究」
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0042421

3、実験内容

ジャングル、又は都市部それぞれの地域において、アヤワスカ使用者と非使用者で、性格、生活態度、脳機能を比較しました。
この調査は、初期調査と1年後の追跡調査の計2回行われています。

4、実験手法

①被験者の選定方法
ジャングルに住むアヤワスカ使用者
ブラジルのアマゾネス州にある、セウドマピアと呼ばれる宗教団体から、56人を募集しました。
セウドマピアは、サントダイミ運動の重要な教会である「CEFLURIS」の本部です。
このグループの儀式参加頻度(=アヤワスカ平均摂取頻度)は月に6回で、アヤワスカへの推定平均生涯摂取回数は、360回~1080回です。

ジャングルに住むアヤワスカ非使用者
セウドマピアに最も近い、ボカ・ド・エーカーと呼ばれる町から56人を募集しました。
なおこの56人の内、5人が1回だけアヤワスカを摂取した経験があり、また2人が2回だけ摂取していました。

都市部に住むアヤワスカ使用者
リオブランコ市にある、バルキーニャと呼ばれる別のアヤワスカ宗教団体から、71人を募集しました。
バルキーニャの儀式参加頻度(=アヤワスカ平均摂取頻度)は月に8回で、アヤワスカへの推定平均生涯摂取回数は、360回~1440回です。

都市部に住むアヤワスカ非使用者
リオブランコ市から59人を募集しました。
この内4人が1回だけアヤワスカを摂取した経験がありました。

1年後の人員選定方法
ジャングルにおいては、アヤワスカ使用者から39人、非使用者から49人が選ばれました。
この時、アヤワスカ使用者は非使用者より未婚が多く、アヤワスカ使用者は全員CEFLURISのメンバーで、非使用者は3人以外全員キリスト教の信者であるという違いが見られました。

また、都市部においてはアヤワスカ使用者から39人、非使用者から19人が選ばれました。
都市部の場合、アヤワスカ使用者は全員バルキーニャ信者、非使用者はほとんどがキリスト教の信者という違いが見られました。

②性格の評価方法
TCI
SCL-90-R(精神症状の評価尺度)
この2つの説明、それとこの後出て来る「ウィスコンシンカード分類」の説明は1つ前の記事に記しています。
こちらをクリックしてどうぞ。

③脳機能の評価方法
Stroop課題
Stroop課題は、行動の抑制が出来るかを評価するテストです。
まず被験者は、書かれている文字の色を答えるように指示されます。
出された文字の意味が色と関係あるもので、しかも文字の色と異なる場合、参加者は戸惑います。(例えば赤色で書かれた「あお」という文字、緑色で書かれた「きいろ」という文字など)
この時、被験者は「文字の意味を答える」という行動を抑制し、「文字の色を答える」という行動を実行する必要が出てきますが、これが正確に行われるかを評価します。

ウィスコンシンカード分類
こちらもひとつ前の記事に書いております。先程のリンクからどうぞ。

The Letter-NumberSequencing(LNS)
LNSは、作業記憶(背側、腹外側、眼窩前頭前頭皮質に関わる分野)を評価するテストです。
被験者には口頭で数字とアルファベットが伝えられ、被験者はそれを昇順の数字とアルファベット順の文字で返します。
正解したらより長い文字、数列が提示され、正解出来た最長の文字数が点数になります。

Frontal Systems Behavior Scale(FrSBe)
FrSBeは、前頭葉と脳のシステムの損傷に関連する行動を評価するテストです。
46問のアンケートからなり、無関心/無動症、脱抑制/感情調節不全、および実行機能障害の3つの項目に分けられます。
点数が高い程、前頭機能がより悪くなっている事を表します。

④生活態度の評価方法
The spiritual orientation inventory (SOI)
(日本語の説明が全く出て来なかったので、かなり曖昧です……。)
SOIは、宗教に属している人々のスピリチュアル的な思考を評価する85項目のアンケートです。
評価項目は、超越的な次元、人生の意味と目的、人生におけるミッション、人生における神聖さ、物質的な価値、利他主義、理想主義、悲劇に対する認識(Awareness of the Tragic)、霊性の結実(Fruits of Spirituality)の9つです。

実存心理検査 (Purpose-in-Life Test)
(この文章ではPLT、日本語ではPILと言われています)
実存心理検査(以下PLT)は、その人が人生の意味や目的を見出しているかどうかを評価するテストです。
回答式アンケートと記述問題からなり、それぞれ「個人がどの程度に「自分の人生の意味、目的」を理解しているか」「人生の意味や目的をどのように経験し、あるいは達成しているか」を評価しています。

BIPS
BIPSは社会心理的に幸福かどうかを調べる方法です。
自己受容、自立、社会心理的絆、プロジェクト(project。日本語訳が出てきませんでした)の4つの項目から、個人が社会的にどれだけ幸福化を評価します。

5、結果

性格の評価
アヤワスカ使用者では、損害回避性、自己指向性が弱まり、報酬依存性(他者を喜ばせたい欲)、協調性、スピリチュアル傾向が高まり、新奇性探求性が若干弱まりました。
次ページにTCIの結果を表にしました。詳しくは論文に記載されている表を見て、照らし合わせてください。

↑:アヤワスカ使用者の点数が、非使用者より上がった
↓:アヤワスカ使用者の点数が、非使用者より下がった
↑↑又は↓↓:差がはっきり出た(p<0.01)

アヤ表1


SCL-90-R
アヤワスカ使用者は精神疾患の傾向が著しく低くなっていました。
SCL-90-Rは「4、実験手法」で記した通り精神疾患の重さを測るテストなのですが、表の通りアヤワスカ使用者は精神疾患に関連する諸々の傾向が著しく低くなっていました。

アヤ表2


脳機能の評価
アヤワスカ使用者は全般的に高いテストの点数を取っていました。
StroopテストとLNSでは正解の数、ウィスコンシンカード分類ではミスの数、FrSBeでは前頭葉と脳のシステムの損傷具合を測っています。

アヤ表3


生活態度の評価
SOI

アヤワスカ使用者では、非使用者より高得点を取っていました。
SOIは宗教に属している人々のスピリチュアル的な思考を評価するテストだそうです。
しかし、この項目の意味が私には難解でしたので、もし詳しい方がいらっしゃいましたら是非解説をお願いします。

アヤ表4

(2回目評価の際、理想主義の項目は他の↑↑より少しだけ差が小さくなっていました。)

PLT(表無し)
PLTは、人生の意味や目的を見出しているかどうかを評価するテストです。最初に行ったテストでは、アヤワスカ使用者は非使用者より高い点数を取りました。
しかし1年後に行った2回目の評価では両者に差は見られませんでした。

BIPS
アヤワスカ使用者では社会的な幸福度が増していました。
(プロジェクトの項目については意味を理解する事が出来ませんでした……詳しい方お願いします。)


アヤ表5


今回はまとめを含めた概要を冒頭に書きましたので、まとめは記しません。
と言いますか力尽きました。読まれたい方は論文リンクを開いて「Discussion」「Conclusion」と書かれた項目をコピペしてGoogle翻訳に突っ込んでみてください。

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