見出し画像

「少女漫画」が好きだった幼き頃の悲しみ、そして、今

本日は、幼き頃のわたしの切ない思い出話を書きたいと思う。

小学校時代、わたしは「漫画」が好きだった。なかでも「少女漫画」が特に好きだった。そのため、当時の愛読書は少女漫画雑誌の『りぼん』。もちろん、活字が並んだ本を読むことをも好きだったが、メーコ少女にとって毎月欠かさず『りぼん』を読むことは、日々のささやかな楽しみだったのである。

また、わたしは絵を描くことも好きだった。最初は動物ばかり描いていたのだが、小学校に上がると少女漫画タッチのイラストも描くようになる。そんなイラストを友人と交換したり、わたしの絵を好きだと言ってくれた友人に、自ら「イラスト帳」なるものを作成し、誕生日にプレゼントしたこともあった。

――そう、小学校時代のわたしは非常に地味で、大人しく、静かに少女漫画を愛す子どもだったのだ。


とはいえ、四六時中夢見がちな少女というわけではない。服装はいたってシンプルな、むしろ男の子のようなカジュアルな方だったし、外で元気に遊びまわることもあった。けれど、どちらかといえば、休み時間には絵を描いていたり、図書館に行ったりといった過ごし方を好む、クラスで目立つことのない、地味めな子どもだったのである。

(なお、関西にいた頃は休み時間になると、全力ダッシュでブランコで遊ぶ権利をもぎ取りに行く、最強に元気な活発少女であった。しかし、その後関東に引っ越してからは、内気で控えめな少女になってしまう。風土に馴染めなかったのだろうか…)

そんな静かな子どもだったから、つまらない目で見られたり、からかわれたり、普通にイジめられたりもした。しかし、それ以上に”ボンヤリ”具合も凄まじい子どもだったので、「メーコちゃんって影薄いよね」「コラッ、本人に聞こえちゃうよ」「くすくす」…なんて陰口を目の前で言われていても、「(影が薄いってなんだろう?)」と思いつつ、ニコニコしていた。


少女漫画と絵を描くことを愛すメーコは、当然のように自分で「漫画」を描くようになった。もちろん内容は恋愛モノの少女漫画。まっさらな自由帳にコマ割りの線を書き、一枚一枚ストーリーを紡いでいくことになる。なお、当時わたしが描いた作品の中で覚えているものは下記の2つ。

1つは『シュート!』という作品。女子サッカーに励む少女が、同じくサッカーに励む男子に恋をするという物語である。詳しくは覚えていないが、もしかしたら男女混合サッカーだったかもしれない…。
(当時わたしはサッカーにハマっていて、女子がサッカーを頑張る+恋愛もする、という力技なストーリーを思いついた)

もう1つは、『笑顔でいきましょ!』という作品。こちらはたしか、扉絵と数枚ほどしか漫画を描き進めていなかったと思う。ストーリーの内容は覚えていない。なお、扉絵にはウィンクをした少女と、その隣にはなぜか”キツネ”のような生き物が描かれていた。この生き物を登場させることが、この漫画のキモだったような気もする。
(わたしは昔、キツネやオオカミといった生き物が大好きだった。それらの生き物と共同生活を送る妄想をしたり、イラストにしたりするほど好きだった…)

――わたしは学校の休み時間や自宅で、これらの作品の執筆にあたっていた。


そんなある日、”悲劇”が起きる。
掃除を終えて昼休みを迎えたわたしは教室に戻ってきた。そんなわたしを見つけて、女子生徒2~3名がクスクスと笑っている。彼女たちはいわゆる、クラスの”イケてるグループ”に属する女子たちで、わたしは少し不安な気持ちになった。そして、その中の一人がわたしの耳元に口を近づけ「”笑顔でいきましょ!”」と一言放った。そして彼女らは笑いながら教室を出ていったのである。
わたしは何が何だか分からず、とりあえず自分の机に戻った。すると、その机から自作漫画の紙が乱雑に詰め込まれているのを発見する。どうやら、掃除をするために机を運んでいたら、机の中からわたしの漫画が落ちてきてしまったようだ。それを彼女たちが発見し、「メーコちゃんってこんな漫画描いてるの?!」と、お笑い草になってしまったわけである。

そのときに抱いた気持ちを、今のわたしはまったく覚えていない。恥ずかしかったとか、ショックだったとか、きっといろいろあったと思う。わたしは控えめで、静かで、鈍感なところがある子どもだった。しかし、それでいて繊細な心の持ち主でもあったので、そういった”悲しい気持ち”に蓋をするクセもあったのだ。


そんなこんなで、わたしはその後もそれらの作品の執筆を続けたのだろうか…実はこちらも覚えていない。ただ、卒業式で生徒一人ひとりが”将来の夢”を発表する場面では、「漫画家になりたい」と言っていたので、まだ漫画への愛はあったように思う。しかし、本気で漫画家になりたいという気持ちはほとんど潰えていたように思うし、とはいえ、ほかになりたい職業もなかったため、「漫画家」と言わざるを得なかったような気もする。

そして、中学校に上がってからは、大好きだった少女漫画をパッタリと読まなくなった。その代わり少年漫画にハマり、しかしそれも高校に上がってからは、こちらもパッタリだ。そこからはハマるものは「音楽」だけとなる。


…それから10年ほどの月日が経った今、再びわたしは「漫画」を描いている。毎週月曜、自分が日常の中で見つけた面白かったこと、冷や冷やしたこと、悲しかったこと、嬉しかったこと、それらをエッセイ調で4コマの中に収めている。別に職業が「漫画家」になったわけではなく、しかも描いているものは少女漫画なんかとは全く違うタッチだ。けれど現在のわたしは、小学生だった自分の”夢”をちょっとだけ叶えているのかもしれない。

たぶんわたしは今も、漫画や絵を描くことが好きだ。あの頃描いた作品は笑われてしまったけれど、今はわたしの漫画を楽しんでくれている人がおり、それが自分の幸せにもなっている。つまり、巡り巡って、一周まわって、結局”今の自分”が”過去の自分”を救っている…なるほど、人生捨てたもんじゃないな~!そんな適当なことを思う、今日この頃だった。

▼皮膚科に行きました!/2016年03月12日
(最初に描いた漫画)

▼母の「はい。」について/2019年06月24日
(最近描いた漫画)

(いつも読んでくださってありがとうございます。これからも、わたしのエッセイ漫画をどうぞ楽しんでください!)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?