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詩のまとめです。暗いの多め。
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2014年12月の記事一覧

リミット

リミット

息が出来なくて逃げ出してく
足元にぱっくり開いた穴
少しずつ神経を齧っていく不安
両手で耳を塞いでうずくまった

スピーカー
残響
聞こえない声
探せない僕

見えないなにかが指の隙間から零れ落ちてく

大丈夫と言い聞かせることで乗り越えられる夜はあといくつだ

過去詩発掘 #詩

観測所にて

観測所にて

くるくる回る
くるくる回る
夜に銀笛が鳴り響く
僕はアルビレオの端に立って
すこしだけ目を閉じて星を廻る

望遠鏡は投げ捨てた
僕を書き留める紙とペンだけ握り締めて

本当は知っていた
僕のきもちも君のきもちもなにもかも

何かが砕け散った音が高く澄んで
やさしくやさしく降り注ぐ

滲んだ世界なんて、見えないふりをしたままで

過去詩発掘 #詩

ヘテロドキシィ

ヘテロドキシィ

夜の静寂に落ちていく

青い深い夜の中だけが僕の居場所だった
ゆらゆら揺れる闇に身を浸して
膝を抱えて窓の下、星の音を聴いていた

(明けない夜はないよ、だなんて、絶望にしか聞こえない)

過去詩発掘  #詩

温室

温室

透明な螺旋の中を落ちていく

押し殺された悲鳴 生命の息づくおと
蔓延る蔦は心臓を鷲掴みにして
ああ、ここは見捨てられた廃園だ

逆さまに逆しまに漂うように落ちていく
星を紡いでいたその指先はもうここにはない

静かに揺蕩う水 心臓の蔦は花を咲かせて

さようなら、
呟いた声は水面を揺らして消えた

過去詩発掘 #詩

人魚姫

人魚姫

もうなにも見えない世界
とおい昔のあの人のように
綺麗な泡になんてなれない僕は
こうしてただ諾々と、這いつくばって生きていきます

光の世界に上った貴方は僕のことなんて忘れたでしょう

ねぇ、その場所は暖かいですか
貴方の未来は光に溢れていますか
そこには貴方を支えてくれる人がいますか

それならば貴方が置いてきた残骸のことなど思い出さずに
一生盲目的な光の中で笑っていてください

綺麗な泡になれ

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有理

有理

泣きたいことなんてあるわけがない
あるわけがない
あるわけがない
僕はもう感情をなくしてしまった

怖かったことも寂しかったことも
全部全部なくなってしまった
ブリキでできた心に
どんな言葉ももう突き刺さらない

泣きたいことなんてあるわけがない
死にたいことなんてあるわけがない
あるわけがない
あるわけが、ない
#詩