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2022.1.31

珈琲の淹れ方を覚えた。
引きこもりになって、そろそろ4年。その間にできるようになったこと、初めて知ったこと、興味を持ったことなどいろいろある。その中で一番上達したのが、珈琲を美味しく淹れること。

それまでは会社で、すでに挽いてあるコーヒー豆をフィルターに入れ、ドリッパーを業務用コーヒーマシンにセットするだけの方法でしか淹れたことがなかった。それを「淹れた」と言っていいのか分からない。とりあえず、その作業でコーヒーができたから淹れたことにする。

家にはコーヒーメーカーがなかったわけじゃないけど、すでに挽かれた豆をセットするくらいなら、豆を挽くところからやってみたかったのだ。早速アマゾンで手ごろな手動ミルを探し、続いてドリッパー、サーバーと必要なモノをポチポチ注文した。そして、いよいよコーヒー豆を購入。近所のコーヒー専門店に行き、豆の種類がずらりと並んだ前でどれにしようか考える。すると、ブルーマウンテンは危険だぞ。という小さな声が頭の中に聞こえた。

かつて、十代のころにデパ地下のコーヒー豆販売のアルバイトをしていた経験があるので、だいたいの豆の種類と価格帯が頭の隅にうっすら残っていたらしく、その記憶が高価な豆に手を出すなと言ってきたのだ。
100gで2000円以上する豆は、淹れ方もロクに知らない者が買ってはならない。それに高価な味を知ってしまっては、財布の機嫌が悪くなる。もう一人の自分と相談の結果、その店の名前がついたブレンド豆に決めた。100gで450円である。

アルバイトでは販売だけだったから、実際に豆を手動で挽き、湯加減を見て、ぽとぽとと湯を豆に落とす実務はやったことがないので、すべて一からの勉強である。数年前なら、独学しようとすると、いろいろと本を読んで時間がかかったかもしれないが、今や便利な時代である。何かを始めようと思ったら、とりあえず動画サイトで検索すれば、いろんな人がそれについて教えてくれる。珈琲の淹れ方についても然り。大手コーヒーメーカーが出している動画もあれば、どこかの喫茶店のオーナーが手作り感満載で出しているものもある。お湯の温度、豆の挽き方、お湯の落とし方など、丁寧な動画を上げてくれた人に、お礼を言いたい。ありがとう。

何度か練習して、一丁前に珈琲を淹れられるようになると、もっとコーヒーについて知りたくなった。「もっと知りたい」これは、私のサガである。そこで、地元のコーヒー専門店が月イチで行っているコーヒの淹れ方勉強会に参加し、手網を使って豆を焙煎するところから体験した。手綱を動かす腕が重くなりつつも、白い豆がだんだん知っているコーヒー豆の黒色になっていくのを観察した。その豆を挽き、淹れたコーヒーのマズさといったらもう。この手間を体験したら、コーヒー豆100gが数百円で販売されているのはありがたいと誰もが思うだろう。

それから約3年。週に3回は珈琲を淹れているので、動作に迷いもなく、味の好みも分かってきた。お店の人に「豆のままください」と言えるのもうれしい。最近では、ドリップだけではなくフレンチプレスも使っている。カタログギフトで手に入れたものだが、ガッツリと味わいたいときや、豆をケチりたいときに愛用している。器具を洗う手間以外、フレンチプレスという名前もスタイルも気に入っている。

あくまで独学なので、コーヒー専門店の淹れ方には敵わないだろう。しかし、自分が美味しいと思える珈琲を淹れることがゴールである。どこかで買ったコーヒーを飲んで、自分で淹れた方が美味しいと思えることがあると、ひとり悦に入るのだ。





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