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牧師夫人の徒然なるままに(七七七) 来ようとしている都を求めて」(へブル13・14)

 秋になると私の住まい近くの街路樹が色づきます。春には純白の帽子を被っていたヤマボウシが、秋には鮮やかな深紅の実をたわわに実らせます。イチゴにも似た柔らかなその実は、食用にもなるそうです。
 数年前に友人と一緒にこのヤマボウシの並木を見上げました。その当時は名前も知らなかったこの街路樹でしたが友人が瞬時にスマホで検索をしてくれて「ヤマボウシ」とわかりました。
 今、持ちこたえられそうもないほどに、赤い実でしなった枝を見上げながら、その時に友人と交わした会話や、その後、深夜に下葉を切り取って持ち帰った時のことなどを思い出します。友人にメールで「差し芽をしたくて、夜に一枝盗みに行きます。見つからないように祈ってください」と身勝手なお願いをしたものでした。街路樹から展開される貴重な思い出です。
 私の身近には、たくさんの記憶を秘めた品が置かれています。いただいた鉢植えも、水やりの度にくださった方のことを思い出します。絵をくださった方のことも、視線がそこに向かうたびに偲ばれます。
 さて、やがて迎え入れられる永遠の都・天国にどんな思い出を携えて行くのでしょうか。人々と私を繋いでくれたイエスさまのご愛、たくさんの証、愛し愛された隣人との記憶など、溢れるほどに蓄えましょうね。

安食道子

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