「やってみる前にわかれよ」「短期利得ダイエット」

「信じれば夢は叶う」
それは多分本当だ
但し一文が抜けている
「他のどのライバルよりも1時間長く
毎日 努力を続ければ
ある程度迄の夢は、かなりの確率で叶う」
――――これが正解だ

三月のライオン 山崎順慶

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作品中で1回の出番のみの悪役的なキャラの「世の真理を的確に言いぬいたもの」だろう。

以前、私は「単に周囲の状況に流される漂流物から自分の意志で人生を突き進む船になるための4段階」として「意志(意識・戦意・闘志もとい投資・理由)」「目標(戦略・大局観・目指すべき理想の有無・勝利条件・主張・結論)」「手段(目的・戦術・妥当な方法・速度計算・前提)」「実行(戦法・努力・遵守)」と述べたことがある。

たとえば戦略は戦術の成功ではカバーできない。これがわからない人がいるのがわからない。本来は名古屋から東京に行くべきなのに戦略目標を名古屋から大阪に向けて設定した時点で、そこに行く手段として徒歩や新幹線などの手段をどう工夫したところで目標達成できるわけがない。つまり誤った目標設定はその時点で敗北が確定するということだ。

私が大学生の時に留年したのは最初に建てた授業計画で既に必要な単位を2つ欠いたものだったので、その後の授業でいかに優秀な成績を取っても既に敗北が決定したものだった(笑)。

同様に自分の努力ではどうにもならない目標設定をした時点でその後の努力は全て無駄になる可能性が高くなる。努力すればするほど報われなかった時のダメージは大きい。ゆえに目標設定は重要だ。夢のような職業だとか、高嶺の花な相手だとか。その設定が到底無理なモノだった場合、その瞬間に敗北は決定している。私の留年のように。

「やってみなければわからない」ではなくて「やってみる前にわかれよ」ということだ。

冒頭の言葉は「意志を持ち、目標を持って、方法を知っている」ところまではクリアしているが、その後の「努力」を維持するむずかしさを述べている。私自身が典型的な「口先先行型」であり「思考についてはともかく、実行については怠惰」なのでよくわかるつもりだ(笑)。

努力の維持が難しいのは「目標設定に絶対の自信があるかどうか」に由来する。その目標が本当にすべてに優先するものであれば揺らぐことはない。

たとえばダイエットに何度も失敗するのはダイエットすることと言う長期目標に対して、優先順位の高い目先の誘惑が出てくるからだろう。ダイエットで手に入れる利得は未来のものだ、一方で甘いものの誘惑は目先のものだ。

この時系列のズレを解消せねばなるまいよ。つまり目先に「甘いもの」に負けない「短期利得」を用意することで長期目標を守るわけだ。この短期利得が何になるかは個々人の価値観それぞれなので具体案は示しにくいが、誘惑に勝る短期利得を見つければダイエットは成功するだろう。

痩せた時に着る服を姿見の鏡の前に置いておくとか、体重計を近くに置いて数値の見える化しやすい環境設定をしておくとか。

私の場合は「水飲んで腹の上に重いものを乗せて寝る」とか「苦しさですべてを忘れるくらいの全力疾走」だったかな。あ、より合致する短期利得は「即席みそ汁」と「アメだま」か。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。