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NoCodeでMVPを作ってみた結果

注文履歴を自動共有することで、自分と価値観が合う人たちの中で人気なものをパッと見つけることができるBylistというサービスを始めました。BuyerListの略です。

それで起業の科学なり、Y Combinator のポールグレアムのスライドなりを参考にしながら、仮説検証→顧客インタビュー→ Adobe Xd でプロトタイプ作成と進んできて、「よしMVP(と思えるもの)を作ってみよう」ということで、GlideというNoCodeツール(エンジニアがコードを書かなくてもドラッグ&ドロップでアプリを作成できるサービス)を用いてアプリを作成しました。

このnoteでは仮説検証の良し悪しや技術的なことは書かずに、単純にNoCodeツールという、割と簡単で、かといって「MVPにはこれで十分では?」と言われるツールでMVPをクローズドで出してみたときの感想や教訓などを書きます。

エンジニアはNoCodeと分かると割とテンション下がる

まず、エンジニア以外の職種の方や学生の方に見せると、話していたアイデアが形になってるので「おー、すごい」と言われます。この『アプリを作ったことがすごくても、サービスとして価値を感じてもらえてないとゴミを作ったのと同義である』と分かってはいても、やはり少し認められるのは嬉しくて、やや有頂天になっちゃいます。

逆にエンジニアに見せて、これをNoCodeだ(ネイティブでコードを書いてない)と「え、なーんだ」という反応をされてしまいました。これも検証の本質を突いてないのですがやはり凹みました(笑)。

自分もエンジニアの端くれではあるのですが、なんというかやはりエンジニアの方は「どういう技術が使われているか」「技術力が高いのか」をすごく重視されてる印象を受けます(ハッカソンとか参加してみても)。

僕としては「いや、技術うんぬんよりも、まず最低限でもいいから価値を提供できる(サービスになっている)ことが重要で、NoCodeだろうがバックエンドで手動オペレーションが入っていてもいい(むしろ早く出すことが正義)」と思っていたんですが、結構「え、そこ?」ってところを見られることが多いです。

つまり今回の教訓としては

・ユーザーテストは課題を感じてる/価値を感じて貰えそうな人にすべき
・NoCodeであるとか、手動部分があるというのはやはり隠すべき
・分かってはいても拒否や落胆の声に慣れろ

ということだと思う。

PWAなので対面でないと試してもらいにくい

これはGlideだけかもしれないのですが、基本はPWA(Progressive Web App)というネイティブアプリとWebの中間みたいなアプリが作れます。これは App Store に並ぶのではなくて、Webサイトにアクセスしてシェアボタンからホーム画面に追加することで、更新が必要ない部分はキャッシュされてネイティブアプリっぽく動くものです。

ただこれをFBメッセンジャーなどでURLとともに送ってもエンジニア以外は難しく、サインアップの後にホーム画面に追加したりして「アプリを開くたびにログインが必要だ」という混乱を招いたりします。

オフィスを出てユーザーの元に足を運ぶことこそ良いので、それはそれでいいのですがβ版として遠方の知人に使ってもらったりする場合にはやりづらかったです。

今の時代は細かな部分こそキラーコンテンツ?

今回利用したGlide以外にもBubbleや App Sheet(Google買収)などのNoCodeツールがありますが、この中ではGlideが一番分かりやすく、かつ機能もどんどん追加されている印象でした。実際、指紋認証やFaceIDなんかも使えるようです。

なのでアプリとして割と定番の表示やUIは標準搭載されているのですが、例えば「商品一覧ページにユーザー情報も表示したい」といった場合に、1つのセルにこれ以上情報を表示できなかったりします。

一昔前はアプリでフォローやリアルタイムの投稿ができるのが革新的だったかもしれないのですが、今となってはほとんどの機能が沢山のアプリに当然のように搭載されています。

そんな時代では何かの表示ができるだけでは不十分で「この画面にこういった情報がまとまっている」「そうそう、こういう風に情報を探したかったんだよ」という高度なUXが提供できることこそがキラーなのではないかと感じています。

つまり、ある一定のUXに達しない限りはコンセプトがいくら良くてもユーザーにとってはゴミアプリ(泣)と見なされてしまうのでは…という不安がよぎっています。今は時代はスーパーアプリ(LINEのように1つのアプリ上であらゆるサービスを完結できる)に向かっていることもありますし。

そういった点を踏まえると(NoCodeツールをMVPとして使うという点においては)まだまだ機能的に足りない部分が多いかと思いました。まぁまだ検証途中なのでなんとも言えないのですが。

資金調達や正式ローンチのニュースが流れてるくと凹む

これはNoCodeだからというわけではないのですが、ちょうど計10日間ほどで作成したMVP(と思っているもの)を引っさげて検証をしていた時に知ってる人のサービスリリースのニュースが流れてきました。

もちろん正式リリースなので一般公開で、サービスサイトも綺麗に作られているので、そういったサイトや各種メディアで話題になっているのを見ると「あれ…自分何やってるんだ…何かとてつもないちっぽけなことをやってるんじゃないか」という気分になりました。

スタートアップ(というか新しいサービス)はほとんどが失敗すると言われているので、しっかりとした仮説検証をやらずに「作ってバーン出すっ」手のも未だ多いと思います。

なので本当の勝負はリリースしてから1年〜4年くらいだと思うのですが、今輝かしくリリースされているサービスたちがどういった背景で作られたのか気になりました。もししっかりとした仮説検証に基づいてリリースされてるのであればまだまだ過ぎる自分に喝を入れねばです。

一方で周りばかり見てクヨクヨしたり、自分を見失っても物事は前に進まないので「…が、この後に急速な成長を遂げることを本人はまだ知らない」というTwitterで見つけた良き締め言葉をつけて自分を鼓舞しようと思います!

ちょっとしたアプリを作成するには神かも

後半は僕の弱音みたいになってしまいましたが、改めてNoCodeツールを用いてMVPを構築し検証することに対しては、正直微妙かもというのが僕の感想です。

ただ(特にGlideに関しては)ドラッグ&ドロップとGoogleスプレッドシートさえ使えればアプリができてしまうので、ちょっとしたイベントアプリや趣味グループのアプリにはいいかもです。データの連携や、欲しいデータを抽出するアルゴリズムを組む感覚を少し鍛えれば結構色々できます。

一方で「それってFacebookやLINEオープンチャットじゃダメなの?」という課題に、NoCodeを使っちゃうケースも今後出そうだなと思っていて、やはり「費用対効果を考えてどんなソリューションを使うべきかを剪定できるスキル」は社内人材なりコンサルタントには依然として求められそうですね。

パッと思いつくのは不動産アプリとかは相性良さそうです。写真をカルーセルでみせて、お気に入りができ、フォームで内覧申請などをしてもらう。こういった開発案件はNoCodeで10万くらいでやるって案件が増えそうですね。

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