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かつてあった本屋のはなし 2 ブック・ダイバー(神保町)

はじめに

以前あった本屋の思い出話をつらつらと書いていく「かつてあった本屋のはなし」ですが、2本目となりました。

今回は神保町にあったブック・ダイバー(今はAmazonでのみ販売)を。個人的にはここが一番思い入れのある本屋です。

ブック・ダイバー

神保町のA4出口から出ると、そこは白山通り。ちょうど近くには神保町にゃんこ堂(姉川書店)。そこから1本裏通りへ入るとブック・ダイバーはありました。「ありました」と言ってるのは、店舗もないということもありますが、店舗があったビル(通称川島芳子ビル)も過去のものになったということもあります。

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ブック・ダイバー 外観

DIY感のある看板。初見では少々入りにくそうな店でした。中に入ると玄関みたいなところにも棚が。ここは少々お安め、均一棚ではないですが、探せばいいものが出てくる棚でした。靴のまま店内へ(「靴のままお上がりください」の看板があったのでそのまま中へ)。中に入るとソファと棚。中の棚は人文・社会科学以外にも登山・都市(建築)・映画などなど。オカルトチックな本の棚もあり、わりと何でもありのごった煮(硬派なサブカルチャーとテーマがありますが...)。カウンター近くの棚はちょっとお高めの本でした。その棚の本はそこまで手を出せなかったような記憶があります...ただ、他の棚でもハンナ・アーレントの初版本とかは結構いいお値段だった、はず(6000円くらい...)

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棚の一部(Nikon F2で撮影)

あと、買った本には大体いい香りがついていて、ここで買った本というのが目というよりも鼻で分かってしまいます。つらつらと書いていますが、ここの本屋に入り浸り始めたのは、正直いつからだったかは忘れてしまいました。友人の紹介で店主と話はじめ、そこからでしょう。少なくとも2・3年は特に用事がなくても通ってました。ちょっとした休憩とか、軽い話とか。大学の卒論も、基本は国会図書館で論文を複写しつつ、必要な資料はここで買って(テーマを言ったらいくらか本をピックアップしてもらえたり)なんとか書き上げました(今でも店主の蔵書印が押された本がいくらかあります。というか自分の棚の中の1割くらいはここの本かもしれません)。今でもたまにここで買った『悲しき南回帰線』(『悲しき熱帯』の講談社での邦訳)を棚から出したりしてますし(流石に古いので、中公クラシック版の『悲しき熱帯』を持ち運んでます)、すでに手放してしまったのですが『メタボリズムの思想』(黒川紀章のサイン入)なんかも買っていました。

2006年頃から年中無休でやっていたらしいこの店も、2015年の11月をもって閉店。これ以降はAmazonでのネット販売のみとなりました。最後の最後、ちょうど古本まつりの時期に店の棚など、色々と撮る機会をいただきかなり撮影してました。

今でもたまに神保町に行くと、ここの跡地つい行ってしまいますが、何もないことを確認して他の店へ行ったりしてます。今でもずっと記憶に残っている古本屋です(まだ営業自体はやってますが)。



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